初めてのツーブロック


このお話は続編を書こうと思っています。



ある日の午後、春の陽気が心地よく、桜の花がまだ少しだけ残っている季節。あかりは長い間思い続けていたことを実行に移すため、美容室に足を運んだ。インターネットや雑誌を見てずっとやってみたかったがなかなか決心がつかず、何ヶ月も経ってしまったが遂に自分の髪型を変える決心をした。どうしてもツーブロックにしたいという思いが膨らんでいたのだ。

美容室のドアを開けると、女性美容師の佐藤さんが迎えてくれた。佐藤さんは、あかりが座った椅子の前でにっこりと微笑み、少し明るめの声で話しかけた。
「こんにちは!今日はどうなさいますか?」
あかりは少しだけ緊張しながら言った。
「ツーブロックのショートにしたいんです。ずっとやりたかったんですけど、ちょっと勇気が出なくて…」
と探しておいた画像を佐藤さんに見せた。
「なるほど!とてもいいですね。お似合いになると思いますよ。」
佐藤さんは、あかりの話を優しく聞きながら、髪をさわりながらアドバイスをしてくれた。
「バリカンでガッツリ刈る感じでいきますね。大丈夫、心配しないでください!」

佐藤さんは明るい笑顔を浮かべながら、あかりの髪をブロッキングしていく。肩下くらいの少し茶色がかった綺麗な髪をまず左右こめかみくらいの高さにブロッキングし、その後左右に繋がるように後ろの髪をブロッキングした。ブロッキングが終わるとすぐにバリカンを手に取る。スイッチを入れて充電を確認した時、あかりはその音を聞いて、心臓がドキドキと速くなるのを感じた。「それでははじめますね。バリカンは初めてですか?」「はい、初めてです。緊張しますね。。」「大丈夫ですよ。心配しないでください。」そういうと、早速バリカンをサイドに近づけた。バリカンが髪に当たる瞬間、少し後悔の気持ちもあったが、同時にその刈られる感覚が楽しみでもあった。
「さあ、いきますよ。」
佐藤さんは軽やかな手つきでバリカンをあかりの髪に潜り込ませた。まずは、耳の上から刈り始め、ジョリジョリと髪が短くなっていく音が心地よく響く。

あかりは目を閉じて、その感触に身を任せた。バリカンが髪を刈り取るたびに、髪の重みが少しずつなくなっていき、最初はドキドキしていた心がだんだんと落ち着いていった。
「すごい、あっという間ですね。」
あかりが感心して言うと、佐藤さんはさらに楽しそうにバリカンを動かしながら、「はい、あっという間ですよ!」
と笑顔で答えた。
左右を入念に刈り上げて、下の方をさらに短いアタッチメントで刈り上げられた。地肌が透けて見える。その後襟足に進むと、鏡では見えないが長い髪が一気に刈り取られていくのを感じた。後ろの髪が刈り取られていくのを感じながら、あかりは少し後悔していたが、バリカンが動くたびに、頭が軽くなっていくと、だんだんと念願のツーブロックになっていることが嬉しくなっていた。

そして、数分後、佐藤さんはバリカンを置いて、鏡をあかりに見せた。
「こんな感じです!どうですか?」
あかりは鏡の中の自分を見て、少し驚きながらも、うれしそうな表情を浮かべた。左右から後ろにかけて繋がった裾のほうはうっすらと白く刈り上げられた髪型に満足していた。
「すごい!こんなにイメージ通りになるなんて…」
あかりは思わず笑顔になった。佐藤さんも満足そうに微笑み、
「よかったですね!」
と言って、ブロッキングを外していった。

ブロッキングを外すと、刈り上げたところは見えなくなり、見た目は刈り上げていないように見えるが、刈り上げた髪に上の髪が触って少しくすぐったかった。
「それでは、上の髪を切っていきますね。」
少しスプレーで濡らした髪をコームで入念に整える。
「それではハンサムショートにしていくので、再度はまっすぐに切っていきます」そう言うとまだ長い再度の髪をコームで整えながら、ハサミが真横に入っていった。ハサミが閉じられるたびに長い髪がバサバサとケープの上に落ちていった。左右の髪が耳たぶのあたりでまっすぐに切り揃えられると、次は後ろの髪を一気に首のあたりでまっすぐに切り揃えた。切り揃えられた後ろ髪をショートの形に整えていくと、ツーブロックにした刈り上げが結構見えてしまった。

「はい、以上ですがいかがでしょうか?」
「とても良い感じです。思っていたことが叶いました」
「よかったですね。ありがとうございます。」
ケープを外すと大量の髪が床に落ちていた。それをみてあかりは少し驚いてしまった。あかりは美容室を出るとき、心から満足感を感じていた。ドキドキしながらも勇気を出してやったことが自分を少し成長させたような気がした。

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