無-重力世界へ
重力は私を生かしてくれる。
力に押さえつけられているから、生きられる。
空に飛んでみよ。
宙に浮かんでみよ。
私はただちに消え去ってしまう。
いかな抽象的観念も、
私を生かしてくれるなら
甘んじて受け入れよう。
と、きっと生は言うだろう。
私の愚理性は、それを拒否する。
全てから解き放たれて宙に浮きたいと主張する。
そこには死があるのみ。
合理的に、直線的に、理性的に、無限的に、融解していく私の生をいざみよ、
そのとき、生は空間をも溶かして
陳腐な「苦しみ」とか「幸せ」とかの観念は雲のようにちりじりになるだろう。