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No.6 スワンボートデート

緊急事態宣言の中、久しぶりに外出をした。

夏休み、家族が揃う貴重な一日。長男の希望で箱根へと。

大涌谷から芦ノ湖へ、箱根神社でお参りをして湖畔をドライブ。

珍しく、次男が「スワンボート」に乗りたいとリクエストしてきた。

中学生、高校生になると、なかなか自分から「あれがやりたい、これがやりたい」と言うリクエストが減ってくる。

「べつに」「やらない」「どっちでもいい」「行かない」

そんなワードが帰ってくることが多い日々。

積極的リクエストは叶えてあげたい。

「スワンボート」とは、何人乗りだい?

誰が一緒に乗る?4人は乗れないよね?

スワンボートに乗るなんて、何年ぶりだろう。子どもたちが小さいころに、長野で乗って以来だ。

結局、長男、次男、私の3人で乗ることなった。

ノリノリではしゃぐ次男。「赤いスワンがいいな~」「箱根神社の鳥居までは行こう。一番端まで行って帰ってこられるかな?」

ハンドルを握り、足でペダルを踏む。風を感じ、湖水の水をすくい上げる。

鳥居と一緒に写真撮って!海賊船とも写真撮りたい!

無邪気に楽しむ次男の姿は、まだ彼の多くの部分に子供らしさが残る少年を感じた。

学校生活の難しことに、自分なりの意見や感じたことを上手く発することができず、悶々とする日々を送っている彼からは見られない笑顔。

嬉しかった。

この年になって、少年たちとスワンボートでデートできるなんて、母は幸せ。

もっともっと、広い世界を見せてあげたい。

小さな閉じられた世界の矛盾なんて、広い世界に出てしまえば大した大事ではない。

そんなことは気にするな。外に目を向けて、自分の感じたことをそのまま表現すればいい。

君の鋭い視点を信じて進めよ。

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