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Photo by
kuzu_yu
切ないカルピス
火垂るの墓のシーンで、どこがいちばん辛く切ない気持ちになるか。
お母さんの死がわかったとき?
おばさんの家でいじめられたとき?
西瓜を盗んだとき?
骨をドロップ缶へ詰めたとき?
僕は、清太が平和な夏の頃を思い出しているときが、いちばん苦しかった。
夏の浜辺で節子と遊び、お母さんが呼びに来る。
素麺を食べながら、うちわで扇がれ、「カルピスもあるよ」と微笑まれる。
戦争孤児として生きる現在との対比が、あまりに切なかった。カルピス、今でも高級品なのに。お金持ちだったんだろうなあ。お母さん、美人さんだなあ。様々な考えが渦巻き、僕はスーパーでカルピスを見るだけで切なくなるセンチメンタルボーイとなった。