【爆走兄弟レッツ&ゴー】勝者の条件!
爆走兄弟レッツ&ゴーファンならずともアニメ好きなら耳にしたことはあるかもしれません。1996~98年末に放送されたミニ四駆ホビーアニメ「爆走兄弟レッツ&ゴー」シリーズ最高とも謳われる伝説の神回です。
この回、サブタイトルが「勝者の条件」と明示されているにもかかわらず、その条件が何なのか最後まで視聴者の判断にゆだねられるストーリー構成となっており、作中で明確な答えが出ることはついぞありません。ただ、結果としてカルロが烈に、烈がミハエルに勝利した。その理由についてできるだけ具体的に謎を解き明かしていきたいと思います。
0.第1セクションでの順位(WGP46~47話)
まずは決勝戦第1セクションから話を始めていきます。
・劇中13:00に第1セクションスタート
決勝第1セクションスタート時点で、予選リーグ獲得ポイントに応じてスタート地点のGPXドーム内のオーバルコースを
アストロレンジャーズ・ロッソストラーダ:1周
アイゼンヴォルフ:5周
TRFビクトリーズ:7周
してからスタート。オーバル1周約1分なので周回数分の分数、つまりアイゼンヴォルフに4分、ビクトリーズに6分のハンデが生じるというわけです。
ドームを出て左折、隣に高速の走る産業道路を走り、橋を超えると正面に横浜ベイブリッジ。恐らくスタート地点のGPXドームは海にも近いことから現実の鶴見海岸部、JERA横浜火力発電所の近辺が所在地と推測できます。
第一セクションは小田原まで約70km(100km近いとファイターは言っているが東京小田原間は100kmもない、日本橋から箱根ターンパイクの入り口でも85kmである。)そしてここでもうひとつ肝心なのが、4チームがゴールした時点でまだ青空だ、という点。舞台は12月。日の入りは概ね16:30頃であるため第1セクションは70kmをおよそ2時間~2時間強で走り切った計算となる。つまりグランプリマシンの最高速度はバッテリー交換2回という制限を加えられた状態で70km走り表定速度35km/h、瞬間的であれば40km/h程度は軽く出せる程度のスペックという事になる。確かに当時現実のミニ四駆のスピードが20km/h強なためこれではグランプリマシンに歯が立たないのは当然だ。
このうえで第1セクション終了時点では
1位 アストロレンジャーズ 対アスレンタイム差 対スタート時タイム差
2位 アイゼンヴォルフ +4分11秒 (+11秒)
3位 ロッソストラーダ +4分59秒 (+4分59秒)
4位 TRFビクトリーズ +4分59秒3 (-1分1秒3)
第1セクションを最速で走ったのはやはりビートマグナム擁するビクトリーズだったという事。逆にヘボ3人のロッソストラーダはスタート時のアドバンテージをすべて吐き出し事実上最下位と言っていい状態に。
1.第2セクション前半戦(WGP48話)
続いて肝心の第2セクション
・劇中10:00に第2セクションスタート。
しばらくは箱根ターンパイクを芦ノ湖方面へ登っていくアップヒルの続く高速テクニカルコース。
ハマー・ミラー凍結路面でクラッシュ、アイゼンヴォルフに抜かれる。白銀山の手前、S字の続くエリアでしょうか?その後白銀山から大観山までほぼ直線だとブレットに伝えられパワーブースターで追撃。その2分後ろをロッソ・ビクトリーズが追う。
大観山のT字を右折し県道75号椿ラインへ。カルロの勢いが落ちないことに疑念を抱き始めるTRFの不安げな表情で引き。この回ではアイゼンヴォルフがアストロレンジャーズを抜き、下位2チームも2分差以内とスタート時より差が縮まってきている。
2.第2セクション後半(WGP49話)
先頭のアイゼンヴォルフが大観山を抜け芦ノ湖市街地へ向け県道75号線を下っていくシーンからスタート。
※以下タイムスタンプはyoutube再生時間に対応
1:48 アイゼンヴォルフが県道75号箱根ターンパイクのダウンヒル突入
2:23 アイゼンヴォルフスローダウン
2:53 アストロレンジャーズスローダウン
3:20 カルロダウンヒル突入、ノンブレーキで追撃
5:03 カルロ、アストロレンジャーズに追いつく、同時にビクトリーズも
4チームほぼ差のない状態に
6:26 ピットポイントは道の駅箱根峠
6:42 カルロ後輪バースト、最下位に後退
7:17 ビクトリーズがアストロレンジャーズに並ぶもアクシデントでビクトリーズ再度3位後退、藤吉負傷
8:37 アイゼンヴォルフ・アストロレンジャーズピットイン
ピット作業のあれこれでAパート終了
10:55 Bパート開始直後降雨
コースはおそらく箱根新道を湯本まで下り、再度の山登りで強羅駅前まで。
この時点でトップはアイゼンヴォルフ、以下アストロレンジャーズ、ビクトリーズ、ロッソストラーダ。
11:23 ビクトリーズがアストロレンジャーズをオーバーテイクし2位浮上。
11:55 スピンバイパー・EVO力不足の失速
12:28 アドルフ・ヘスラー猛追してくる烈のブロックへ
13:03 アイゼンヴォルフ2台をパスして烈が2位浮上
アドルフ・ヘスラーがパスされたのはおそらくここのヘアピンでしょう
13:40~ ミハエルVS烈のマッチレース開始
16:01 三枚橋を渡り国道一号箱根の山登りルートへ
16:13 烈・ミハエル所在不明、山登りに入っていることから塔ノ沢は抜けている可能性高し
16:15 J・藤吉の3.4番手グループは早川を越えるところ
16:53 カルロ覚醒スタート
湯本駅の角度から恐らくこの時点でのカルロはこの辺り
17:09「行くぞ!ディオスパーダ!」
この瞬間のカルロとミハエル・烈の差はおおむねこの程度と推測されます。
意外と差がない…ことにお気づきでしょうか…単純にカルロが烈・ミハエルより12%~余裕をもって16%ほど速く走れれば数字上は勝てます。とはいえ烈もミハエルもトップ級のレーサー、そんなことが可能なのか?可能です。
前提としてサポート性能に特化したアドルフ・ヘスラー2人がかりでも烈は止められない+ミハエルのマシンは本質的に豪のビートマグナムをもスリップでパスするほどの超高速マシン。つまりミハエルのベルクカイザー自体がこのウエットコンディションのテクニカルコースと非常に相性が悪いのに対し、烈のバスターソニックは高速性能を持たせたままホイールベースを変化させることでソニック特有のコーナーリング性能を詰めたグランプリ最強クラスのテクニカルマシン。このマシン特性差でそれでもゴール前まで烈とデッドヒートを繰り広げられたのはひとえにミハエルが天才だったからとしか言いようがありません。
そしてこの二人がマッチレースなどすれば当然ミハエル側に合わせてレースペースは落ちる。落ちるといってもアストロレンジャーズの2人やJ・藤吉よりは速いでしょうがリスクガン無視全開で追撃してくるカルロ相手では…先ほど第1セクションは70kmのコースをピット2回で約35km/hで走ったと述べましたが第2セクションは山登り下りまた登りを約50kmにピットは箱根峠展望台の1回のみ。路面コンディションやマシンにかかる負荷等考えると最後の登りは出せて30km/h。烈とミハエルはバトル中なのでさらに遅いでしょう。おそらくブロックしかけるような局面では25km/hも出ていれば上等。ベルクカイザーは最後にパワーダウンで力尽きますがよくバスターソニックとアウェー環境でここまで戦ったと褒めてやりたいですね。
ではなぜディオスパーダだけは30km/h強程度のフルスピードで最後まで追撃できたのか、明確な理由は不明ですが仮説としては
1.芦ノ湖から湯本までの下りをノンブレーキで流したことでバッテリーのパワーが温存されたままスパートに入れた
2.ピット後は最下位からごぼう抜きしていった結果バトルらしいバトルが発生せず、他者に振り回されない自分の走りに専念できた
3.そもそもカルロのレーサーとしてのスペックが烈ミハエル相手以外では役不足、雨の登りをまともに走れないなんてのは三流のレーサーだけ
4.カルロのやる気スイッチが入った
やる気、大事ですからね。特に叫べばマシンが空を飛ぶレッツ&ゴーの世界では。
このうえで第2セクション終了時点では
1位 ロッソストラーダ
2位 TRFビクトリーズ
3位 アイゼンヴォルフ
4位 アストロレンジャーズ
タイム差は不明ですが1~3着まではほぼ僅差、アストロレンジャーズは…
カルロと烈のタイムはほぼ互角、ミハエルは40秒のリードを吐き出しているので見た目以上に負け。アストロレンジャーズは…どうしようもない。
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