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【たいようのマキバオー】読感(12巻~16巻・全部ネタバレ)
前回の続きとなります。
その前に一つ作品へ向けて謝罪を。正直たいよう11巻まで読んだ時点でマキバオーと高知組はともかくアマゾン、あとは別の意味でモッコス以外のライバル達のキャラ立ちがいまいち薄く、強豪馬たちは軒並み古馬という事もありマキバオーとの絡みもあまりないため、何となく話が盛り上がってこないな…と思っていたのは事実です。
初代11巻と言えばもう有馬記念が始まる巻数、いよいよクライマックスと言うところなので比較してしまうと余計に…
が、マキバオー達も明け4歳、ダートは古馬になってからが本番というべくたいよう無印最終巻へ向けて一気に盛り上がって来ました。(以降はたいようのマキバオーWにタイトル変更してあと20巻続くらしい。)そんな12巻からについて。
・ストーリー
マキバオー・フィール・アマゾンが4歳となった劇中2008年初頭からダート戦線上半期の総決算となる帝王賞までが描かれます。
マキバオー出走レースは佐賀記念、黒船賞、かきつばた記念、帝王賞。その他フェブラリーステークスもねっとり描写されます。
・キャラ立ちについて
先に全体的にキャラ立ちが薄いと述べましたが、これはある意味意図的なものではなかったものかと。(違ったらすみません…)無印のようにマキバオー・カスケード・ワクチン・アマゾンと主要キャラに重点的にスポットを当てた展開だと確かに個性は立つのですが「言うてメインキャラの誰かが勝つんだろ?」みたいな展開になりがちです。世代戦を描いた無印だと特に。
しかし世代内外でアマゾンスピリットを圧倒的な存在として描き、古馬戦へ舞台を移したたいようでは話が変わってきます。アマゾン以外絶対的な存在がいない、そのアマゾンもドバイ遠征が決まったことにより不在となった作中において、「主要キャラ不在」は「全員が主要キャラ」へと変貌します。
去年のイクイノックスのような絶対的強者が存在せず、誰が勝つかわからない、「物語のお決まり・お約束」の存在しない現実の競馬のような予測不可能なストーリー性がそこには生まれるわけです。(とはいえ時にお約束のような物語が紡がれることもあるのが競馬なのがままならない)
事実劇中で描かれた重要レースはどれも最後の最後までどの馬が勝つか全くわからない展開が続きます。最終回の帝王賞など結果が電光掲示板に出たところで終了し勝ち馬の名前すら出ない始末。読んだときはマジでどっちが勝ったのかわからず出馬表見返しました。
・作中描写
大井競馬場の直線長っげえええええええええええええええ(以下386m)
地方の小回り競馬場と大井や東京の大箱の描写の違いがさすが、と唸らされます。実際、南関見てても大井だけデカいですからね。漫画がうまい。
また栗東トレセンも出てきましたがトレセン自体の規模も見開きドーンで半端ではないのですが坂路の規模が改めて凄いですね。あんなの4本もやってたんです?ミホノブルボンやっぱ化け物だよ… 黒船賞に中央トップの馬なんてそうそう呼べないですよね…よくてJBCスプリント勝ち馬…桜花賞馬が来たことある?御冗談を…その桜花賞馬の孫がBCディスタフ勝った?冗談キツいて…漫画じゃないんだから…
フェブラリーステークスに有力馬が集うのもまた時代か、なまじ勝ち負けして当たり前なまでに日本ダート馬のレベルが上がったおかげで今やこぞってサウジドバイでスカスカ面子なのが当たり前ですからね…皮肉な… 最後フィールが宝塚に向けて頑張るぞ!で終わったため時間軸が?と思ったのですが2008年は「帝王賞:6/25」→「宝塚記念:6/29」とたまにある帝王賞先行日程だったためこのようになったようです。
・主要キャラについて
・ヒノデマキバオー(高知)&金太(?)
年明け早々フィールの骨折を知ったマキバオー、失踪したかと思いきやひょっこり馬運車に乗って戻ってきましたがそこには〇金のメンコをつけたもう一頭のサラブレッド。そう、骨折したあのフィールオーライでした。
高知から飛行機で千歳へ向かい、厩舎からフィールを誘拐、その後のことは描写されていませんがおそらくマキバコ一家のスジ者の伝手で馬運車を調達してそのまま高知に戻ってきたのでしょう。この誘拐するときの演出がいいんだ…
さすがにマスコミも騒ぎ出した中、あのフィールが高知にいるとばれてはまずいため金太という偽名でなんとなく居候することに。(とはいえ関係者は気がついていたようで、そのうえで静観していたようですが。)
マキバオーの始動戦は佐賀記念から。順調に運ぶも覚醒した2頭に差し切られ3着まで。続く黒船賞では苦戦するもミドリマキバオー山本菅助の必殺騎乗「きつつき戦法」の片鱗を見せ差し切りなんとか勝利。かきつばた記念ではそのきつつき戦法をもってしてもキングアナコンダに届かず2着。
帝王賞では地方有力馬として出場。中央馬と真っ向戦い最後はケイオスと写真判定の上、結果は…君の目で確かめてくれ!。
高知へ来た金太フィールは足のリハビリがてらマキバオーのトレーナーのような役回り。マキバオーに自身の武器であるコーナーではピッチ走法、直線ではストライド走法という独特の走法を指導することでレベルアップを図ります。(コース・馬場によって走り方を変える?そんな器用な三冠馬がいたような、あいつは勝手にやってただけですが…)
黒船賞の後に騎乗のため高知に来ていた滝川ジョッキーにもバレ、故障もほぼ癒えたことから栗東へ帰厩、現役続行・そして凱旋門賞挑戦を宣言します。さらに名古屋から大井へ連戦するマキバオーを栗東に留め置き一緒にトレーニングさせてあげる始末。やさしいか?優しいんだよなあ…尊い…
・ライバル達
・アマゾンスピリット(船橋)
東京大賞典勝利後どこへ向かうのか…と思っていましたがやはりドバイでした。国内は使わずマクトゥームチャレンジをステップにドバイワールドカップへ…のはずがマクトゥームチャレンジ敗戦後緊急帰国、その後は一切出番なし。謎。
ドバイのダートがオールウェザーだったからこんなもんダートじゃねえとブチ切れて帰国したのか?と思ったのですが2008年当時はまだAW開催以前でした。本当に謎です。
・トータルケイオス(JRA)
別名「砂のカスケード」、その名の通りカスケード産駒。鞍上はフィールと同じ滝川正和。いわゆる武豊。
ここまではあまり見せ場のないアマゾンの噛ませ犬のような立場でしたが、佐賀記念で最後方からの追込に脚質転換をすることでまさしく「黒い疾風」カスケードを彷彿とさせる末脚が覚醒、勝利。その後はフェブラリーステークスへ向かうもマウンテンロック山本菅助の前に2着。
当然帝王賞にもJRA勢の一頭として出走しゴール前でマキバオーと大接戦の末結果は…君の目で確かめてくれ!。
嶋島が帝王賞の馬券買って血が滾ってましたが実質10年前のマキバオーVSカスケードの夢の続きのようなもの、今でいえばドゥラメンテ産駒VSキタサンブラック産駒みたいなもの?マキバオーがマキバオーである以上そんなもんじゃ済まないか、ファンからしたらそりゃたまらんでしょうね。
・マウンテンロック(JRA)
作中でも古豪と呼ばれる強豪馬、鞍上はあの山本菅助。
フェブラリーステークスでは出走馬中唯一トータルケイオスを警戒する中、ゴール直前ブロックバスターを競り落とし、「黒い疾風」の追撃を凌ぎきり復活勝利。勝てた理由が「山本菅助はあの黒い疾風を知っていた」からなのがまたいいんですね…菅助、脳焼かれすぎだろ。
・ブロックバスター(JRA)
東京大賞典でこそアマゾンに敗れるもその実力は間違いなく国内トップクラスの強豪馬。鞍上は石田光成、なんかウザイやつなんで池添モチーフなのかと思ったのですがどうやら光成→こうせい→三浦皇成らしいです。言われてみれば確かにそんな顔立ち。
実力こそトップクラスなのは間違いないものの東京大賞典ではアマゾンに、フェブラリーステークスではロックに敗れるなどイマイチ勝ち切れず。その結果石田はフェブラリーステークス後に馬主からバスターを下ろされてしまい(ここの馬主の不興を買う描写、本気で怖い)頭を剃って厩舎の下働きに精を出してやり直し…というところ。いずれ捲土重来の機会もあるでしょう。以降が楽しみな一頭と一人。
・キングアナコンダ(JRA)
ペースを操ることで後続馬を攪乱するレースメイクを得意とする頭脳派逃げ馬。この馬もまた作中強豪古馬の一頭と言える存在。かきつばた記念ではマキバオーを翻弄、きつつき戦法で追い詰められるものの「ゴール板が50m先にあったらあったのレースをするまでよ」と底を見せない余裕ぶり。
しかしアナコンダもまたおつらい馬でした、オーナーの経済苦により他の所有馬は売却され、アナコンダはその売却先すら見つからず小銭稼ぎのために本来目標としていたかしわ記念ではなく確実に賞金の稼げるであろうかきつばた記念へと出走してきたという事実。舞台は2008年、あっ…おつらい…
・フラットビッキー(佐賀)
初登場はマキバオー3歳時の荒炎賞。その後ロータスクラウン賞でも対戦していましたがその頃は佐賀四天王より一歩劣るまあ…イキのいい小物のような奴でした。
しかしトータルケイオスがカスケード産駒ならこのビッキーもまたカスケード産駒。佐賀記念、最後方でトータルケイオスをマークし他地方勢のアシスト…に徹していたのですがケイオス覚醒と同時にビッキーのカスケードの血もまた覚醒。「黒い疾風」となってケイオスとともに前を猛追、地元佐賀のファンの前でケイオスの2着となる「負けてなお強し」の競馬を見せつける結果となりました。こちらも以降に期待。
・ジオーハチマン(川崎)
川崎の強豪馬。「南関の始発列車」と呼ばれる生粋の逃げ馬であり作中ファンからの人気も抜群。当然交流重賞に出てくるレベルの南関馬、人気だけでなく実力もありさきたま杯を逃げ勝ちするなど結果も十分。最近の南関で例えるならサルサディオーネくらいの馬ですかね。個人的にダート牝馬路線好きなんですが、サルサディオーネもまた好きでしたね。
またハチマン様の魅力はそのレーススタイルのみにあらず、本人の性格も作中トップレベルに立ちに立ちまくり。東京大賞典では中央勢に対し「なめるな国鉄め!」、帝王賞ではハナに立たず何か作戦があるのか?と警戒する周囲の馬相手に…
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これです。最高かよ。
・あとがき
そして16巻は上記のとおり帝王賞が終了し、それを見たフィールが復活の宝塚記念へ向けてがんばるぞ…で終了。
あまりにもアマゾンが出番がなさ過ぎてどうしようもなかったためサトミアマゾンの意思を継ぐ者ことフリオーソ(ウマ娘)にサムネに出演いただいたというわけです。同い年ですし…フリオーソは本質的にアマゾンだった?
アグネスデジタル「何を言ってやがる、違わねぇよ!芝とダートだ!そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!」
アマゾンスピリット「違うのだ!!」
2008年日本ダービーボロ負けした謎の馬「!!!!!!」
そういやもう宝塚ってことはダービーどうなったんですかね?ダービー大敗してJDD圧勝する「!!!!!!」はいるのでしょうか?皐月でボロ負けしたスマートファルコンは?なんだこの世代…