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【ウマ娘】グランアレグリアを曇らせたい

 競馬に「もしも」は無い。なんか毎回言っている気がしますね。
その「もしも」が見られるのがウマ娘、だから好きなのかもしれません。

この記事の主役、もとい被害者は記憶にも新しい名牝グランアレグリア

 こいつが本記事諸悪の根源です。見ての通り極めて邪悪な奴です。

 競馬ファン、そして最近競馬に触れたウマ娘ファンにとっても改めて語るまでもないでしょうがグランアレグリアについて簡単に説明を。

 牝馬最強世代と謳われる2019年クラシック世代の牝馬であり、桜花賞をはじめG1・6勝、恐らく同時代に香港に君臨したG1・10勝の最強マイラー、ゴールデンシックスティとも互角に戦えたであろう、いやそれどころか…とまで語られる日本競馬史上トップクラスのマイラーです。
 今マイラー、と言いましたが勝ち鞍はマイルに留まることなく、2020年のスプリンターズステークスでは驚異の末脚で16頭立ての後方15番手から残り200mで前方全頭を聖剣の一振りで撫で斬るがごとく一気に差し切り快勝。


 当然マイルでの戦いぶりも凄まじく、2020年の安田記念では当時の歴代最多タイである芝G1・7勝馬アーモンドアイを筆頭にG1馬10頭が揃った超豪華面子の中直線スッと抜け出しそのまま後続をちぎって2.1/2馬身差の圧勝。
 前走ヴィクトリアマイルを公開調教と言わんばかりに4馬身差圧勝し参戦してきた三冠牝馬をぐうの音も出ないほど叩きのめし「牝馬最強はわたしー」などという迷実況を生み出した名レースでした。

 
 極めつけは2020年マイルチャンピオンシップ。
直線残り200mの時点でグランアレグリアは前を行く前年春秋マイル王・インディチャンプ福永祐一と二度の敗北を喫した同期のライバル・アドマイヤマーズ川田将雅が壁となり完全に進路を塞がれます。
しかし残り100m、外を行くインディチャンプのさらに外に持ち出すと凄まじい末脚で二頭を差し切りそのまま3/4馬身差で勝利。当時見ていて意味が分かりませんでした。いや今見ても意味が分かりません。


 しかしこのグランアレグリア、G1戦績は12戦6勝。まずG1を6勝もしている時点で超絶級の名馬なのですが、戦績について他の芝G1・6勝馬と比較するとこのようになります。アグネスデジタル、お前は呼んでいない。
18戦 ブエナビスタ(18戦…18戦!?)
16戦 ゴールドシップ(6歳引退)
12戦 グランアレグリア
10戦 オルフェーヴル
8戦 イクイノックス(4歳引退)
7戦 ロードカナロア・モーリス

 5歳引退のクラブ牝馬であるはずのブエナビスタのほぼ理論値MAXと言うべきG1・18戦という異常な出走数が目を惹いてしまいますが、こうして見ると同じ短距離・マイル路線を走ったロードカナロア・モーリスと比較して「あれ、グランアレグリアって意外と負けてないか?あんなに強かったのに。」と思いませんか?

 私が考えるに理由は二つ、一つは世代戦で負けていること。
ロードカナロアはデビュー戦から物が違うところを見せたものの路線の都合もあり3歳時にG1出走まで漕ぎつけられず、モーリスも本格化したのは4歳春。完成した4歳以降にひたすら無双したことでG1敗戦数が抑えられた一方、グランアレグリアは朝日杯FSで3着、桜花賞こそ圧勝すれどNHKマイルカップで降着5着と普通に負けています。
経験不足、展開のアヤ、3歳春までの能力では混合戦に足りなかった、そもそも勝ったアドマイヤマーズが普通に強かったなど理由はいくつも考えられますが、結果として負けたのは事実です。
あの世界最強馬イクイノックスと言えど世代戦では皐月賞・ダービーと敗北を喫しているのです。ある程度やむを得ないところもあるでしょう。
競馬には「本格化前の負けはノーカン」という便利な言葉もあります。

 20年高松宮記念は繰上げ2着、21年安田記念も2着でしたが展開だったり位置取りの不向きだったりとこちらもある程度やむを得ない敗戦でした。安田の単勝馬券は握ってたんですが…言うて2着ですしね。
ロードカナロアも前スプリント女王カレンチャンに一度は敗れ、モーリスもロゴタイプ勇往邁進の逃げの前に2着などいかなチャンピオンと言えど負けるなというのは難しいのです。

 そして二つ目の理由、それが「距離」です。
18年朝日杯・19年NHKマイルC・20年高松宮記念・21年安田記念。そして残り二つの敗戦。それが21年大阪杯・そして天皇賞秋。共に2000mのG1。

 なぜスプリント・マイルで結果を残し続けてきた彼女が距離延長の道を選んだか、それは一言では説明できないでしょう。
インディチャンプ・アドマイヤマーズらマイルの強豪との格付けは既についた今、更なる強敵・前年三冠馬コントレイルをも真っ向倒さんがため。
1200,1600,2000のG1を勝利し史上初の三階級制覇を果たさんがため。
定年を目前とした名伯楽藤沢和雄師に最後の盾を贈らんがため。

 藤沢師・最強マイラーと言えば、当然あの馬の名前が挙がります。
そう、タイキシャトル。
とかく荒れがちな最強馬論争においてマイルの分野だけはこいつで決まりだろう…となりがちな誰しも認める日本競馬史上最強マイラー。
藤沢師はこう語ったとされています。

「世間ではマイラーといわれていますが、2000メートルまでなら十分こなせたと思いますよ。まあ、ベストはマイルなんでしょうけど、“絶対能力は距離適性を凌駕する”といわれているように、2400はオーバーでしょうが、2000までなら超一流だったはず。もし、今シャトルを預かっていたなら、迷うことなく秋の天皇賞(東京の2000)に出していたでしょう。というか、秋の最大目標をそこに置いていたはずです。しかし、当時は“外国産馬”という縛りがあって、出走自体が叶わぬ夢でした」

http://saikyo.k-ba.com/members/history/taiki_shuttle/chapter_08.html

 「絶対能力は距離適性を凌駕する」
1200,1600でその絶対能力を遺憾なく見せつけたグランアレグリアに、外国産馬タイキシャトルが絶対に果たしえなかった天皇賞秋の制覇を夢見たのかもしれません。

 …結果、グランアレグリアは「距離適性」を凌駕しえませんでした。
いや、雨の中行われた大阪杯は重馬場適性の問われる荒れたレースとなるもコントレイルとクビ差4着、秋天も新星エフフォーリアに完敗こそすれどやはりコントレイルとクビ差3着。
「勝者」とはなれなかったものの三冠馬コントレイルと2000mでも互角に戦えることを示したグランアレグリアは決して「敗者」と呼ぶべき存在でもなかったでしょう。
競馬には「負けてなお強し」という便利な言葉もあります。

 天皇賞の後はマイルチャンピオンシップへ向かい、やはり格の違いを見せつけるがごとく3歳G1馬2頭を従え圧勝、世代交代など関係ないと言わんばかりに最強マイル女王のままターフを去りました。

 以上がグランアレグリアの現役時代を大まかに語ったものとなります。
ここまでが前置き、ここからが本題となります。

 ついに社台系、それもサンデーレーシングの馬が悪の軍団として次々実装され話題となっているウマ娘。グランアレグリアとて例外ではなく、最強牝馬世代という美味しいネタもあることからファンから実装を期待されている馬の一頭です。

 ではそのグランアレグリアをどのようにウマ娘に落とし込むか。グーグルで「ウマ娘 グランアレグリア」と検索すると各地で概ねこのような妄想予想がなされています。
・トレーナーにマイルだと騙されて2000mを走らされる天然キャラ。

大阪杯前、距離の違いに気づいていないグランアレグリア

・ラジオで国会中継を聞いていたという逸話から意外な知的キャラ。
・先輩タイキシャトルを目標としてマイル王者を目指す王道後輩キャラ。
・中距離適正Cなのに目標レースに大阪杯と天皇賞秋が設定されている。
・最大馬体重500キロを超える大型牝馬なことから爆乳ゴリラキャラ。

まあいずれもアリだと思いますしイメージもしやすいです。特に「グランアレグリアはまだ気づいていないので頑張ってくれると思う」はネタとして面白すぎるのでぜひ取り入れてほしい。

 しかしグランアレグリア、ここまで述べていない重要な個性、それも特級の曇らせ要素が存在します。それが「天涯孤独」。
2018年3月2日 母タピッツフライ死去
2019年7月9日 弟ブルトガング死去
2019年7月30日 父ディープインパクト死去
と、グランアレグリアは相次いで両親そして唯一の弟が亡くなっています。
祖父母に当たるTapitやウインドインハーヘアはまだ存命?そうなんだが…

しかも父ディープインパクトは言わずと知れた三冠馬、母タピッツフライもアメリカでG1を2勝した良血名牝です。さあグランアレグリアを曇らせていきましょう。ここからは邪悪極まりない曇らせシナリオ妄想となります。
この怪文書は、見られたものではないので読んではいけません!

 アメリカ出身の実力派ウマ娘の子として日本で産まれたグランアレグリア、当然トレセン学園の門を叩き入学します。しかしその母はグランアレグリアが入学するのを見届けることなくこの世を去ることに。目指すは亡き母の名に恥じぬ最強のウマ娘。
 マイラーの適性を見込まれ同じくアメリカにルーツを持つ先輩タイキシャトルを目標として頑張ることとなりますが、同期にはもう一人強いマイラーウマ娘、アドマイヤマーズがおりどうしても歯が立たない。アドマイヤマーズは皐月賞へ向かう中、自身は桜花賞は勝利はするもののNHKマイルカップで再戦、またも敗北。なぜ勝てない、なぜ…苦悩するグランアレグリア。
 そこに伝えられた更なる悲報。それは母に続き父と弟までもが亡くなったとの知らせ。あまりの悲しみにとてもトレーニングに集中することなどできないグランアレグリアを見たトレーナーは苦渋の決断で秋シーズンを休養させることに。グランアレグリアの心の回復に専念します。
 全てを失ったグランアレグリア、ようやく心の傷が癒えたのは半年近くたった年の瀬でした。しかしそこにいたのは以前とは別人。「ただレースに勝利し、すべてのウマ娘を薙ぎ払い、亡き家族に真の最強を捧げる」ことのみに執着する怪物でした。その結果がこれです。

 1400mのレースで恐怖を覚えるほどの強さを見せ5バ身差圧勝。かつての勝てないグランアレグリアはもうそこにはいなかった。
 丁度いいことに上には最強トリプルティアラウマ娘・アーモンドアイ、下には無敗のジュニア級王者ウマ娘・コントレイルとサリオスが生まれたこの時、グランアレグリアは考えた。
「彼女たちを全員倒せば最強を証明できる、いや倒し、最強を証明せねばならない。」
 そして迎えたシニア級、コントレイルは順調にダービーを制し無敗の二冠ウマ馬となります。そして迎えた安田記念、アーモンドアイと直接対決、ここを圧勝。かつてのライバル・アドマイヤマーズをもねじ伏せます。しかしレース後の周囲の声は冷めたものでした。
「桜花賞ウマ馬とは言えアーモンドアイはマイラーではないのだから負けたとて仕方ない」「マイラーが得意分野で勝っただけ」「2000mではアーモンドアイが勝つだろう」
 そうか、それならば仕方ない。2000mでも勝つまでだ。マイラーが得意分野で勝っただけ?ならば1200mもついでに制してやるまでだ。
 行き掛けの駄賃とばかりに9月のスプリンターズステークスも圧勝し雑音を一つ跳ねのけたところでとんでもない知らせが。
 「無敗の三冠ウマ娘コントレイルが天皇賞秋に参戦する」
これにはさすがのグランアレグリアも衝撃を受ける。連闘だぞ?3000mを勝った翌週に2000mの古馬戦に参戦?システム的に常識では考えられない。オグリ・バンブー「知らんな」しかしコントレイルもまたグランアレグリアと戦う理由があった。それはコントレイルも父(ディープインパクト)を亡くしていること。自身の悲しみをグランアレグリアにも見たのであろう。
 アーモンドアイにもトリプルティアラウマ娘の矜持がある。グランアレグリアにも絶対に負けられない理由がある。コントレイルも無敗の三冠馬ウマ娘として王者に君臨するために倒すべき最強が眼前にいる。
 そして…自身の名前の通り大歓声に包まれたグランアレグリア。聞こえるか、父よ、母よ、弟よ、この歓声が。この瞬間、グランアレグリアは怪物から一人のウマ娘へと戻ることができたのだ。
 了。

っていうか絶対グランアレグリアこんな曇ったキャラじゃないですよ…人の心とかないんか?
バキバキゴリウーだし。キャラ崩壊もいいところだし現実リスペクトが足りないのでは?
普通にタイキシャトルの後輩キャラとしての天然系最強マイラー路線の方がいいと思いますよ?これじゃタイキシャトルもドン引きだよ。
せっかくの最強牝馬世代なのにラヴズオンリーユーもクロノジェネシスも出る幕無くないです?(ラヴズとは直接対決0・クロノとは桜花賞のみなのでそれは仕方ない面もあるのだが…)
あとコントレイルに無茶させすぎだしデアリングタクトはどこへ消えた?
安田記念で土をつけたダノンキングリーに申し訳ないと思わないのか?
あとやっぱG1連闘で世界レコード出したオグリキャップって異常だわ…
トレーナーも出る幕無いですよね、エルコンドルパサーも言ってましたよ、「僕らは、ひとりでは強くなれない。」と。お前が言うなよ。


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