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青海三丁目 地先の肖像「待ち焦がれた大地」
2021.06.16 | 葛
緊急事態宣言の期間が延長されてしまった。
事前に環境局から、緊急事態宣言下では、バスツアーはできない可能性が高いとの連絡があったので、もうツアーができなくなる前提で代替案を準備していたところ、急遽「今回は緊急事態宣言下でもできる」との電話が入る。
我々は大慌てで再びバスツアーの準備をし直した。
紆余曲折を経て、ついに、やっと、ずっと入ることのできなかった、中央防波堤外側埋立地の中に、23区のゴミが現在進行形で埋め立てられている場所に、立ち入ることができる・・・!感染症対策に気を配りつつも、高揚した気持ちを隠せない。
中型バスの乗客の定員を半分に絞ってツアー参加者を募り、チケットは全て売れて13名の参加者が集まった。
職員の案内の下、環境局合同庁舎内にて説明動画をみてから、みんなでバスに乗り込む。
まずは中央防波堤内側埋立地のゴミの処分場内を巡回する。各種ゴミが湧けられて集められて、大きな建屋の下で下処理されている。場内は整っているけれども、カラスが時々飛来する。職員は親切にバスガイドのように案内を続けるが、撮影不可だと改めて注意する。
畳は小さく切り刻まれて、燃料として上手く他のゴミと混ぜる。ベッドのマットレスの素材の分別分解は手作業で行われる。非常に厄介で処理に労力がかかることを初めて知る・・・。
それからいよいよ、中央防波堤外側埋立地の方へ乗り込む。ゲートが開かれ、職員の手慣れた案内に従って、埋立地の土壌の上をバスが縦横無尽に走ってゆく。
何もかもが貴重な光景で、我々も、参加者も、食い入るようにバスの中から外を見つめる。
プラゴミと土とが重層する地層の垣間見える部分。窪んだ所にできた溜め池。そこから立ち上る湯気。桃の木の並木が植樹されたところ。土地のあちこちに突き立てられたパイプと、そのほとんどすべての上に止まっている鳥。鳥の群れ・・・。
あの広大な土地のどこを今、バスで走っているのか、もうよくわからない。次々と見える新しい光景。あっという間に、「見晴らし台」へと到着する。
見晴らし台は、唯一撮影が許可されている地点だった。
小雨の中だったが、バスを降りて各々自由に過ごす。遠くに大量の重機が点在している。船で作業している。羽田から離着陸する飛行機の音が大きく響く・・・。
バスツアーは終わり、次に第二部として徒歩で中央防波堤内側を自由にめぐるツアーを開始する。
中央合同庁舎の1階の空間を借りて、参加者向けの説明をしたが、その間遠くから職員に怪訝な顔で見られ、内心慌てつつも、マップの内容などを説明する。
参加者は皆熱心に内側埋立地をめぐっていて、限られた1時間という時間の中で、沢山の場所に行ってくれていたようだ。
最後にバス内で一言ずつ感想を聞く。短いコメントの中に、それぞれが充実した実感を込めてくれていて、本当にツアーをやれてよかった、と思った。
「青海三丁目 地先の肖像」へと向けて、やっと大きく歩みを進められた、そんな気持ちになった。