私の印象に残っている20冊について
こんにちは、福岡翔子です。先月、北海道にある有限会社いわた書店さんの「一万円選書」に当選したと連絡がありました。これはそれまでの読書経歴やいくつかの質問に答えるとそれに沿った一万円分の本を選んで送ってもらえるサービスです。選書のために今まで読んだ本で印象に残った本を20冊書く欄がありました。それをnoteにも書いたら面白いのではないかと言われましたのでここに書いてみようと思います。印象が強い順に書いていきます。
1.『草枕』夏目漱石
温泉宿にたどりついた男の話。読んでいて本全体が音楽だと感じます。一度手持ちの本を全て処分した時もこの本だけは手元に残しました。私の一番好きな本です。
2.『きりぎりす』太宰治
売れない貧しい画家に嫁いだ女が絵が売れ出した夫に離縁を申し出る話。「おわかれ致します。」から始まる文体が好きです。今読んだらまた少し印象が変わると思います。
3.『猫と床造とふたりのをんな』谷崎潤一郎
二人の女が床造という男を取り合うも本人は猫に夢中な話。二人が猫に嫉妬するところが好きです。谷崎潤一郎は他にも有名な作品がたくさんありますが私はこの本が一番好きです。
4.『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ
男の子が読んでいた本の世界に吸い込まれて冒険する話。願いごとを叶えてもらうとそれを願っていた時の自分のことを忘れてしまうというところが衝撃的でした。
5.『アンナ・カレーニナ』レフ・トルストイ
ロシアの貴族階級における道ならぬ恋の話。冒頭に要約すると幸せな家庭はどこも似たり寄ったりだけど不幸な家庭はそれぞれその不幸の趣が違うと書いてあってそれがすごく好きです。
6.『罪と罰』ドストエフスキー
人を殺すという一線を踏み越えてしまった男の話。最後の方に出てくる「ソーネチカ、ソーネチカ、ソーネチカ、世界が続く限り永遠のソーネチカ!」という言葉が忘れられないです。
7.『われら』ザミャーチン
私個人であることが許されない私たちの世界で「私」になってしまった男の話。読んだ印象が変わるのが怖くてもう二度と読めないかもしれないと思っています。
8.『菊と刀』ルース・ベネディクト
日本人について考察した本。日本で生まれて生活していると当たり前だと思っている感情とか行動が丁寧に説明されていてとても興味深かったです。
9.『一握の砂』石川啄木
短歌集。漫画で「誰そ我に ピストルにても撃てよかし 伊藤のごとく 死にてみせなむ」を読んですごく印象的で他の歌も知りたくなって読みました。短歌も好きになりました。
10.『砂の女』安部公房
穴に落ちたか落とされてしまった男と女の話。それまで隙を見て穴から出て逃げようとしていた男が最後の場面で見せた行動が意外で今でもよく覚えています。
11.『私の個人主義』夏目漱石
漱石の講演集。漱石の人柄がわかるというか小説だけでは知ることのできない一面が読み取れてとても面白かった記憶が残っています。講演集を読むのも面白いなと思いました。
12.『暇と退屈の倫理学』國分功一郎
どうして産業が今のような形になったのかなど歴史の本に近いように思いました。何となく読んでみたらどんどん引き込まれて特に最後の付録に書いてある他人を求める理由が印象的でした。
13.『三屋清左衛門残日録』藤沢周平
隠居の身である三屋家の清左衛門とその周辺の話。とてもかっこよくて2回読みました。自分の老後のこととかその時どんなことを考えているんだろうとか思いながら読みました。
14.『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ
イギリスの中学生達の日常についての本。とても面白かったです。最初は肌の色のことを言っているのかと思ったタイトルが丁寧に説明されていて少し感動しました。
15.『5番目のサリー』ダニエル・キイス
一人の体の中に複数の人格を持つサリーが出会う5番目の自分の話。初めて読んだのは中学生か高校生の頃で少し刺激が強かった気がします。今でも昨日読んだみたいに内容をよく覚えています。
16.『くらしのアナキズム』松村圭一郎
そもそも国家は必要なのか、なかったらどうなるのかといったことを考えた本。きちじょう荘の読書会で初めて読んでそんなこと今まで考えたことがなくてとてもびっくりしたのを覚えています。小説以外の本を読むきっかけになりました。
17.『武道館』朝井リョウ
武道館ライブを目指すアイドル達の選んだものと選ばなかったものの話。とても面白くて読み終わった後に表紙を見ると胸に迫ってくるものがありました。
18.『一万円選書』岩田徹
北海道の書店が一万円で選書をしてその本を送るサービスを始める前と始めた後についての本。この本を読むまで一万円選書は知らなかったけれど私もやってみたくて次の募集を待って応募したら今回当選して今から本が届くのがとても楽しみです。
19.『濹東綺譚』永井荷風
隅田川の東の方で出会って男女の話。くっつくような離れるような付かず離れずの距離感で男の人の理想の関係がこれなのかなとやや白けながら読みました。まだ面白がって読めない自分がいます。
20.『三千円の使いかた』原田ひ香
色々な世代の女性の生き方とお金についての話。話の中で結婚して子どもを産んで家を買うことを「ささやかな夢」と言っていてそこでもうとても遠のいてしまいました。それをささやかな夢と言えるなんて最初からすべて持っている人の話だと思いました。
ちなみに1〜18は面白かった、19は普通、20は面白くなかったとしました。これからまた本を読むことでこのリストも変わっていくと思います。次読む本に迷っている時などこのリストが何か参考になれば幸いです。