『青春18切符②』
さて、この青春18切符での旅行は時折ハプニングに見舞われる。何らかの事情で電車が遅れることがある。
それに備えて一本前の電車でダイヤを考えているが、それでもままらないことがある。今年の1月はまさにそれだった。
飯山線でそれは起きた。雪を見に野沢温泉で泊まり、次の日飯山駅から飯山線に乗る予定だった。しかし除雪作業で乗る予定の列車が運休すると放送が…。雪に強い飯山線でさえ運休するのだから、どんな雪なのだろう。
しかしどうにかその日中に帰らないといけない。ここで役立つのが18キッパー必須の時刻表。
一昔前は、必ずと言っていいほど18キッパーは小型時刻表を小脇に抱えて旅をしていた。一目でそれと分かったものだ。しかし今は皆スマホになってしまった。
確かにスマホでダイヤを検索すると最適解が出てくる。それはそれで便利だが、ダイヤが点でしか見えない。しかし時刻表は線と面で見ることが出来る。今すれ違った電車はどこに行くのか、乗り換えは何分待ちか、この電車は何だろうか、そういった旅の醍醐味が時刻表には詰まっている。時には思わぬ発見もある。
で、飯山駅に戻る。十日町へ行く予定だったが、そのためには一本後の列車にしないといけない。けれどそれだと東京で待ち合わせをしている友達に会うのは厳しくなる。あれこれ考えて、長野まで一駅だけ新幹線に乗り、しなの鉄道で軽井沢に出て、高崎線経由で東京へ向かうことにした。
長野から中央線というのも考えたが、距離も時間もかかるしまた雪で何かあったらいけない。もちろん新幹線で東京直行が最も速いし確実だが、これは敗北を意味する(何と闘っているのかは分からない)。いかに新幹線を使わずに移動するかというところに、18キッパーのプライドがある。
横川に行ったついでに、『碓氷峠鉄道文化むら』に寄った。殿堂入りして解体を免れた幸運な列車たちが、ひっそりと佇んでいる素敵な場所。彼らは何を話しているのだろう。何度も行ったが何度行ってもいい場所だ。いつも優しく迎えてくれる。
18切符の旅は時に簡単ではないが、そこがまたいいものだ。