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問われる西洋式オリンピックスポーツ憲章
“疑惑の誤審” 1本勝ちのガリゴス(スペイン)が世界の注目の的となった理由
写真:(YUTAKA/アフロ スポーツ)
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賛否両論の余地はなく「永山竜樹」選手は日本の規範を世界にしめした
まずそのことを力説したいと、敢えてスポーツ勝敗の判定結果に、もの申したい、と思います。
云ってみれば敵地内(フランス、スペイン)で戦っているわけですから、相手選手のひいき論になるのは、もっともな話しです。選手は、そんな中でのプレッシャーを受けながら、競技するのですから、国内とは精神的にズレは生じるでしょう。
そして問題の審判ジャッジですが、報道では一部 "誤審"と書かれてますが、それは違うでしょう。結果論的に、後だしジャンケンのような、判定結果に云々するのは、部外者は一切立ち入らない、というのが原則であって、間違いです。
では何が問題か、ということですが、審判の下した判定と、永山竜樹選手が示した審判判定の下した僅か数秒のジャッジに問題があった、と私は分析しました。
永山竜樹選手は当然のことながら、ルールは熟知しアピールすべきは、アピールする、のが当然でしょう。そのことは実況でも判定できまます。
■ 残り1分24秒のところで永山が内股を仕掛けたが、潰されてそのまま寝技に持ち込まれてしまった。永山はガリゴスに上になられ、横に向きが変わって首を絞められた。永山は、その声が聞こえたが、スペイン紙「アス」によるとガリゴスは「主審のそれ(待ての声)は(会場の)音で聞こえなかった」という。ガリゴスはそのまま絞め続けて、永山は落ちた。技が解かれると永山は畳の上で大の字になった。「待て」後の絞め技は無効だが主審は、なんと片手絞めによるガリゴスの1本負けを宣告した。納得のいかない永山は両手を広げて抗議の意思を示した。記事一部抜粋
その後、永山は「映像での再確認」をアピールしたのですが、それは却下され負けが確定したという報道の経緯でした。
多分、という仮定のはなしですが、その会場が日本で、観覧席には99パーセントの日本人ギャラリーであったと仮定したら、結果はまったく逆であっと推察できますが、あくまでタラレバ論ですから、確定ではありません。
そうした諸々と、それと昨日書いた「海の向こうのオリンピック明陰」など、総合的に判断してみると、やはり日本人的気質の問題、と再認識したわけです。
というのは、女性審判から下された勝ち負け判定が、誤審ということではなく、その競技会場内にいる三名(競技者二名と審判)の僅か畳二畳分空間で起きた、コンマ数秒の三者のコンタクトしなかった、見えない部分が、その結果を生んだ、そう分析したのです。
それを経験的に知っていたのが永山選手でした。
映像での再確認映像での再確認、それを永山選手が「映像の再確認」をアピールしたのです。だから、その三者の中で一番状況把握していたのが、永山選手だったと云えるでしょう。
また、後のSNS論調では、永山選手に対する批判論が多数上がっていますが、それらを読んでみれば、「西洋式のオリンピックスポーツ憲章に反する行為」を永山選手がした、というロジックですが、握手をしない、退場せずその場に居残った、がスポーツマン不適格者という烙印を押し付けたがっていましたが、それは対戦相手のガリゴスに対しても云えることで、バックに控えるその場のサポーターの数で決まる、といったら語弊もあるでしょう。
兎に角、日本にとっては若きスケボー旗手の大活躍で盛り上がりますが、「柔道の判定事件」においては、当然の結果として異文化間の衝突は否めず、受け入れるしかありませんが、以外と少なったのが永山選手のフォローアップのような気がします。
ネット世界、西洋式ロジックでは排他的論ですが、永山選手のとったアクションは、まさに西洋式アピールであり、正しくは真向主張する態度は、その儒教呪縛からいっこうに解放されない日本社会に対して、大きなアンチテーゼを示した価値ある勝者、であったと私はおもいます。
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「銅メダルを返上しろ」「あなたの行為は殺人未遂」
パリ五輪柔道で永山竜樹に“疑惑の誤審”1本勝ちのガリゴスのインスタに2700件超えの批判コメの異常事態…米メディアは永山の抗議を非難
2024/7/29(月) 6:33配信 RONSPO デイリースポーツ 日テレニュース
パリ五輪の柔道男子60キロ級で銅メダルを獲得した永山竜樹(28、SBC湘南美容クリニック)が準々決勝で同じく銅メダルのフランシスコ・ガリゴス(29、スペイン)に不可解な一本負けを喫した問題の波紋が止まらない。
「待て」が掛かった後にも締め続けたガリゴスのインスタには2000件を超える批判のコメントが殺到。一方米メディアの一部が握手を拒否した永山の態度を批判するなど騒動は世界的な広がりを見せている。
これも35億人以上が見る五輪の影響力なのだろう。永山とガリゴスの準々決勝で起きた疑惑の誤審問題がとんでもない波紋を広げた。
主審が「待て」を宣告した後も技を解かずに永山が落ちるまで絞め続けたガリゴスへの批判が殺到。彼のインスタに2700件を超える批判コメントが日本語、英語、スペイン語で集まる異常事態となった。
ガリゴスの投稿写真には、欧州選手権で優勝した際にVサインをしているものと2023年の世界選手権で優勝した際に金メダルをかじっているものなどがあるが、それらを今回パリ五輪で銅メダルを獲得した後の所作と勘違いされたのか。スペイン語で「このメダルをスポンサーに捧げたい!彼は私を励まし、支えてくれた!」と書かれた固定メッセージに対しても次から次へと批判コメントが殺到したのである。
一部を紹介すると、日本語のものが「銅メダルは返上した方がいいですよ」「柔道をやる資格もありません」「神聖なる柔道に対する冒涜」「道着を脱げ。
2度と柔道をするな」「反則行為で勝ってそんなに嬉しいか?柔道家として失格だよ」という感情的なものが多く、中には「あなたがやったことは柔道ではなく殺人未遂ですよ」という物騒な内容もあった。
「あなたの様な柔道をみた子供達はどう感じるでしょうか?ルールを破ってでも勝つ意味とは何でしょうか?」と真剣に訴えかける声も見られた。
英語のコメントも「こんな汚いプレーは見たことがない。オリンピックという最も大きな大会でこのようなプレーが行われるとは思ってもみなかった。一人のスポーツファンとしてあなた方とジャッジに失望している」など厳しい意見がほとんど。
スペイン語のコメントも「レフェリーのコールが聞こえなかったのは当然だ。でもあなたがやったことは柔道のルールに反している。スポーツマンシップがあれば、こんなことにはならなかったはずだ」と辛辣だった。
スペイン紙「アス」によると、15年間ガリゴスを指導してきたコーチのキノ・ルイス氏が「ガリゴスは不愉快なメッセージを受け取っているが、私には理解できない。私は(批判している)彼らが正しくないと思うし、私は死ぬまでガリゴスを守るつもりだ」と語ったそうだが、誹謗中傷と取れるものも多く陣営が危機感を覚えるのも当然かもしれない。
準々決勝で起きた疑惑の誤審問題をおさらいするとこうだ。
残り1分24秒のところで永山が内股を仕掛けたが、潰されてそのまま寝技に持ち込まれてしまった。
永山はガリゴスに上になられ、横に向きが変わって首を絞められた。だが、決めきれないと見たのか、女性審判は左手をあげて「待て」を宣告した。永山は、その声が聞こえたが、スペイン紙「アス」によるとガリゴスは「主審のそれ(待ての声)は(会場の)音で聞こえなかった」という。
ガリゴスは、そのまま絞め続けて、永山は落ちた。技が解かれると永山は畳の上で大の字になった。「待て」後の絞め技は無効だが、主審は、なんと片手絞めによるガリゴスの1本負けを宣告した。納得のいかない永山は両手を広げて抗議の意思を示し、ガリゴスとの握手も拒否。ガリゴスは礼をして畳を降りたが、永山は、5分間、その場に居座り「映像での再確認」を求めた。
8000人で埋まった会場は大ブーイング。永山に対して指笛で畳から降りることを催促したのだ。日本は古根川実コーチが抗議したが、判定は覆らず、永山は深く礼をして畳から降りた。
永山は敗者復活戦から銅メダル。ガリゴスも準決勝で金メダルを獲得したエルドス・スメトフ(カザフスタン)に敗れたが3位決定戦に勝ちスペインの今大会メダル第1号となる銅メダルを獲得した。
ガリゴスのインスタに批判が殺到する一方で、米スポーツメディアの「エッセンシャリースポーツ」は「パリ五輪で敗れた後の日本人スターの“スポーツ選手らしくない”態度が柔道コミュニティーで叩かれる:『なんと恥知らずな』」との見出しを取った記事を掲載。握手を拒否して、抗議を行った永山を批判する声を取り上げた。
同サイトは「2023年柔道世界選手権の覇者(ガリゴス)は(試合後に)握手をしようと永山に歩み寄った。しかし、この日本選手は、静かに握手を拒否し、代わりにスペイン選手は一礼して元の位置に戻った。ガリゴスはメダルを取るチャンスを得ただけでなく、この日本人スターに向けた行為でファンの気持ちを勝ち取った。柔道コミュニティーは、彼の勝利を祝う一方で、彼らは、日本人スターのスポーツマンシップにショックを受け、それについて叫びをあげた。それが会場のブーイングにつながった」と報じた。
永山がなぜ抗議したかについても平等に伝えた。
「この28歳(の永山)はこの判定に不服だった。彼はガリゴスが審判が“待て”を宣告しても、すぐに離れなかったことが“フェアではない”と信じている。なぜ日本人スターは怒りを残したのか?、理想を言えば、もし待ての宣告が試合中に出されたら、柔道家はその締め技を解かねばならない。永山によれば今回はそうならなかった。スペインの柔道家との握手を拒否し、日本人スターは彼の胴着を直し手のジェスチャーでリプレイを求めた」
その上で同サイトはSNSに投稿された一つの意見を紹介している。
「永山は敬意がほとんどない。皮肉にもスペイン選手は、日本で生まれたこの武道でライバルよりも何千倍もの敬意を示した」
同サイトは「柔道で頭を下げる行為は敬意を示すものとなる。永山は、相手への握手を拒否して礼を欠いた。永山は2018年、2019年と世界選手権で2度、銅メダルを獲得して将来性をアピールしたが、彼の五輪タイトルを狙う道のりはひどい形で終わることになった」とガリゴスのインスタに寄せられた声とは真逆の論調で記事をまとめた。
両選手への賛否を含め、世界的な騒動に発展した今回の不可解な誤審問題の波紋はまだ収まりそうにない。