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日本文化が機能不全したその理由
この松岡 正剛記事は、生前現役の時に、引用掲載したもの、そのコピーがあったので、確認しましたが、その内容は、いまも正鵠な論説として、載せることにしました。
氏は、人間性の日本人とその文化について、述べ指摘しているようにおもいましたが、昨今、没落落武者、軍将配下者らの謀反によって没落の一途、そんな形容の文言が、無慈悲(と自虐)に並びますが、
「極端なオープンマインド、オープンシステムで応じたために中国の文物を受け入れるに際しては機能した「和漢の境をまたぐ」という仕掛けがはたらかなくなりました。」 (文中抜粋)とあるように、時代のギャップから生じた最大課題、のように捉えました。そうした慧眼で分析したのは松岡氏、ならではの視点でした。
これを糧に、日本人は次の時代を開幕するわけですが、そこには新時代に相応しい新世代が、育っているようです。パラドックスとしての、その世代交代は、過去の歴史を見れば、相応の実績が期待され夢が膨らみます。
画像 日経ㇷ゚ラス
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「中国離れ」で華開いた「独特な日本文化」が機能不全に…その「残念すぎる末路」
「ジャパン・スタイル」を読み解く
松岡 正剛 仏教学者 2025.01.20 https://gendai.media/articles/-/145011
「わび・さび」「数寄」「歌舞伎」「まねび」そして「漫画・アニメ」。日本が誇る文化について、日本人はどれほど深く理解しているでしょうか?
昨年逝去した「知の巨人」松岡正剛が、最期に日本人にどうしても伝えたかった「日本文化の核心」とは。
2025年を迎えたいま、日本人必読の「日本文化論」をお届けします。※本記事は松岡正剛『日本文化の核心』(講談社現代新書、2020年)から抜粋・編集したものです。
「ジャパン・フィルター」が機能しなくなる
大和本草や国学のような国産物の開発、日本儒学の研究といった連打は、政治や思想や文化における「中国離れ」を引きおこします。日本はこのままいけるんではないか、もっと充実した国になれるんではないか。宝暦天明期や文化文政期には、そんな驕りさえ出てきます。ところが、そこにおこったのがアヘン戦争(1840)です。イギリスが清を蹂躙した。幕府が唯一親交を温めてきたオランダ国王からの親書には、「次は日本がやられるかもしれない」という警告が書いてありました。これは「オランダ風説書」という文書に示されています。
実際にもロシアの戦艦が千島や対馬にやってきて、通商のための開港を求めます。幕府は外国船打払令などを連発して、これを追い払おうとするのですが、効き目がない。そうこうするうちに、ついに「黒船」がやってきて(1853)、この対処に戸惑った幕府は解体を余儀なくされました。海外向け、外交上のジャパン・フィルターの持ち札がなかったのです。やむなく攘夷か開国かで国内は大騒動です。これで明治維新に突入することになったのです。
こんなふうになったのは、黒船に代表される西洋の近代科学の力に圧倒されたということもあるでしょうし、同時にその西洋の力によって、かつての日本にとってのグローバルスタンダードであった清国がなすすべもなく蹂躙されたアヘン戦争という事件を間近に見たせいでもあったでしょうが、いずれにしてもそこで、それまで日本が保持していた何かが損なわれたのです。
「和魂漢才」から「洋魂米才」へ……
これまでの日本であれば、グローバルスタンダードを独特のジャパン・フィルターを通して導入していたはずのものが、西洋の政体と思想と文物をダイレクトに入れることにしたとたん、つまり「苗代」をつくらずに、フィルターをかけることなく取り込もうとしてしまったとたん、日本は「欧米化」に突入することになったのです。これを当時は「文明開化」とは言ってみましたが、でもそこからは、大変です。列強諸国のほうが、裁判権とか通商権などに関してフィルターをかけようとしたのです。
西洋の文化を受け入れるに際して、あまりに極端なオープンマインド、オープンシステムで応じたために、中国の文物を受け入れるに際しては機能した「和漢の境をまたぐ」という仕掛けがはたらかなくなりました。
こうして「和魂漢才」はくずれ、できれば「和魂洋才」を律したかったのですが、そこもどちらかといえば「洋魂米才」があっというまに広がっていきました。このことは明治の大学が「お雇い外国人」にそのスタートを頼んだことにもあらわれています。
仮名の発明から徳川時代の国学まで続いた「中国離れ」は「列強含み」に変わったのです。それではいかんと奮起して日清戦争と日露戦争に勝利できたあたりから、日本主義やアジア主義を唱える新たなムーブメントもおこりますが、その動向はまことに微妙なもの、あるいは過剰なものとなっていきました。さらに連載記事<日本人なのに「日本文化」を知らなすぎる…「知の巨人」松岡正剛が最期に伝えたかった「日本とは何か」>では、日本文化の知られざる魅力に迫っていきます。ぜひご覧下さい。
松岡正剛*本記事の抜粋元・松岡正剛『日本文化の核心』(講談社現代新書)では、お米のこと、柱の文化について、客神の意味、仮名の役割、神仏習合の秘密、間拍子と邦楽器、「すさび」や「粋」の感覚のこと、お祓いと支払いの関係、「まねび」と日本の教育など、日本人が知らない日本文化をわかりやすく解説しています。「知の巨人」松岡正剛が最期に残した「渾身の日本文化論」をぜひお読みください。
PROFILE 編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。日本文化、芸術、生命哲学、システム工学など多方面におよぶ思索を情報文化技術に応用する「編集工学」を確立。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開している。著書に『知の編集術』(講談社現代新書)、『花鳥風月の科学』(中公文庫)、『日本流』(ちくま学芸文庫)、『日本という方法』(NHKブックス)、『多読術』(ちくまプリマー新書)、シリーズ「千夜千冊エディション」(角川ソフィア文庫)、共著に『日本問答』(田中優子、岩波新書)、『読む力』(佐藤優、中公新書ラクレ)ほか多数。BOOKS 2025.01.14
日本史上「最初で最大の文明的事件」…日本文化の起源とも言える「ある出来事」の「衝撃度」
「ジャパン・スタイル」を読み解く松岡 正剛仏教学者
昨年逝去した「知の巨人」松岡正剛が、最期に日本人にどうしても伝えたかった「日本文化の核心」とは。
2025年を迎えたいま、日本人必読の「日本文化論」をお届けします。
日本は「壊れやすい国」
日本という国を理解するためには、この国が地震や火山噴火に見舞われやすい列島であることを意識しておく必要があります。
いつどんな自然災害に見舞われるかわからない。近代日本の最初のユニークな科学者となった寺田寅彦が真っ先に地震学にとりくんだのも、そのせいでした。日本はフラジャイル(壊れやすい)・アイランドなのです。しかも木と紙でできあがった日本の家屋は、火事になりやすい。燃えればあっというまに灰燼に帰します。すべては「仮の世」だという認識さえ生まれました。けれども、それゆえに再生可能でもあるのです。こうして復原することは日本にとっては大事な創造行為になったのです。
熊本城の破損や首里城の炎上は心を痛める出来事でしたが、その復原こそは多くの人々の願いとなった。そのため「写し」をつくるという美意識が発達します。
ひるがえって、日本列島は2000万年前まではユーラシア大陸の一部でした。それが地質学でいうところのプレートテクトニクスなどの地殻変動によって、アジア大陸の縁の部分が東西に離れ、そこに海水が浸入することで日本海ができて大陸と分断され、日本列島ができあがったと考えられています。
このような成り立ちをもつゆえに、日本列島が縄文時代の終わり頃まで長らく大陸と孤絶していたという事実には、きわめて重いものがあります。日本海が大陸と日本を隔てていたということが、和漢をまたいだ日本の成り立ちにとって、きわめて大きいのです。
https://gendai.media/articles/-/145011
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史上最初で最大の文明的事件
*本記事の抜粋元・松岡正剛『日本文化の核心』(講談社現代新書)では、お米のこと、柱の文化について、客神の意味、仮名の役割、神仏習合の秘密、間拍子と邦楽器、「すさび」や「粋」の感覚のこと、お祓いと支払いの関係、「まねび」と日本の教育など、日本人が知らない日本文化をわかりやすく解説しています。「知の巨人」松岡正剛が最期に残した「渾身の日本文化論」をぜひお読みください。
全文 独特な日本文化が機能不全した理由 2025年01月21日