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イーロン・マスクの「スターリンク」構想.2

「リスクが大きすぎました。だからほぼ断ろうと決めていたんです」
ショットウェルは言った。「決心するまですごく時間がかかったので、たぶんイーロンを相当イライラさせたと思います」 文中引用

PHOTO: PATRICK T. FALLON/BLOOMBERG/GETTY IMAGES


イーロン・マスクはいかにしてスペースXにグウィン・ショットウェルを巻き込んだのか:共通するヴィジョンとスタイルを読み解く
SPACE 2021.06.01 TUE 07:00:30 WIRED
スペースX社長のグウィン・ショットウェルはイーロン・マスクから同社の役席オファーを受けた当時、「ほぼ断ろうと決めていた」という。

そんな彼女が性能も未知数のロケットを売り、要求の多いボスの下で働くことを決意したのはなぜなのか。

マスクとの思いがけない面会から、「語るな。とにかく行動しろ」という共通のマネジメントスタイルまで、同社を軌道にのせた(死に物狂いの)日々をつづる『Liftoff(発進)』[未邦訳]から一部を紹介する。

TEXT BY ERIC BERGER, ARS TECHNICA TRANSLATION BY MICHIKO HORIGUCHI/LIBER RELATED ARTICLES
※この記事はエリック・バーガーの著書『Liftoff: Elon Musk and the Desperate Early Days That Launched SpaceX(発進:イーロン・マスク、そしてスペースXを立ち上げた死に物狂いの日々)』[未邦訳]をもとにしている。

スペースXを牽引するふたりの主要なリーダーのひとりになる前、グウィン・ショットウェルは、ハンス・ケーニヒスマンと共に、南カリフォルニアにあるMicrocosmという、スペースXよりはるかに小さな会社に勤めていた。
口数の少ないドイツ人エンジニアのケーニヒスマンとは対照的に、ショットウェルは押しが強く活発な性格だ。脳みそはたっぷりありながらも、エンジニアにありがちなやぼったさや不器用さはまったくない。高校時代は、はじける笑顔が魅力のチアリーダーだった彼女は、誰にでも話しかけることができた。

当時はふたりでよく一緒にランチを食べに出かけた。 2002年5月にケーニヒスマンがスペースXに新しい職を得た後、ショットウェルは転職祝いにと彼をランチに誘った。
その日二人が向かったのはエル・セグンドにあるChef Hannes(シェフ・ハネス)という名のベルギー料理レストランだった。

ここは彼らのお気に入りの場所で、ショットウェルは友人をからかってこのレストランをChef Hans-y(シェフ・ハンシー)と呼ぶこともあった。
食事の後、ショットウェルはケーニヒスマンを数ブロック先のイースト・グランド通り1310までクルマで送って行った。

当時そのビルにはまだ5、6人ほどの社員しかいなかった。ショットウェルがクルマを路肩に寄せると、ケーニヒスマンは彼女に、中に入って彼の新しいオフィスを見て行かないかと言った。
「ちょっと入ってイーロンに会ってみないか」。そうケーニヒスマンは言った。
『Liftoff: Elon Musk and the Desperate Early Days That Launched SpaceX』 エリック・バーガー著、WILLIAM MORROW刊
「怖いけれど説得力があった」 このいきなりの面会は10分ほども続いただろうか、その間にショットウェルはマスクの航空宇宙事業に関する見識の深さにすっかり感銘を受けた。
彼は、インターネット通貨で大金を稼ぎ、シリコンヴァレーで大成功した後、退屈から道楽半分にこの事業を始めたような人には見えなかった。

それどころか、この業界の問題点を的確に指摘し、解決策まで見つけていた。 マスクが起業コストを抑えるためのプランとして、自前のロケットエンジンをつくり、そのほかの自社製主要パーツの開発も進めて行きたいと語るのを、ショットウェルはうなずきながら聴いていた。

航空宇宙産業に10年以上も身を置いてこの業界の緩慢さをよく知っていた彼女にとって、彼の考えは至極まっとうで意味のあるものに思えた。
「彼には説得力がありました──怖いけれど、説得力があったんです」。そうショットウェルは後に語っている。この短い対話の途中で、ショットウェルはマスクに、新会社には小型シングルエンジンの「ファルコン1」ロケットをフルタイムで販売する人間を雇うべきだと思うと言った。

訪問を終えたショットウェルは、ケーニヒスマンに励ましの言葉をかけ、この新会社の成功を祈りながら建物を出た。
そして彼女自身の多忙な生活へと戻って行った。 悩んだ末の副社長ポスト このあとマスクは、ショットウェルの言葉通りフルタイムで販売に携わる人間を雇うことにした。彼は営業担当の副社長のポストをつくり、ショットウェルに応募するよう勧めた。

そのときショットウェルは新しい仕事を得ようとは思っていなかった。Microcosmに移って3年の間に、彼女はエンジニアとセールスの両方の能力を使って同社の宇宙システム関連のビジネスを10倍に成長させていたからだ。
彼女は自分の仕事を楽しんでいたし、その年の夏までにはある程度生活を安定させたいと思っていた。マスクが日夜働ける人材として集めていた新卒学生の多くと違って、ショットウェルの私生活にはバランスをとらなければならない要素がたくさんあった。
もうすぐ40歳になる彼女は離婚の真っ最中で、手のかかるふたりの子どもを抱え、新しいマンションの改修もしなければならなかった。
マスクのような人間が参入して業界に揺さぶりをかけるのは航空宇宙産業にとってはいいことだっただろう。

だがショットウェルは自分の人生までかき乱されたいと思っていただろうか。 「リスクが大きすぎました。だからほぼ断ろうと決めていたんです」とショットウェルは言った。「決心するまですごく時間がかかったので、たぶんイーロンを相当イライラさせたと思います」
以下割愛
原文: WIRED(US)TAGS:#Book#Elon Musk#Space#Space X#Spacecraft


スペースX、史上最大ロケットを6日にも打ち上げ 宇宙開発
2024年6月2日 11:57 [日経新聞] https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020L40S4A600C2000000/ 【ニューヨーク=川上梓】米起業家のイーロン・マスク氏が率いる宇宙会社のスペースXは1日(日本時間2日)、史上最大のロケット「スターシップ」の4回目となる飛行試験を6日にも行うと発表した。規制当局の承認を待って打ち上げを予定する。 スターシップは大型ブースター(推進装置)に宇宙船を搭載した次世代ロケットシステムで、全長は120メートルに及...  
以下有料にて 割愛

イーロン・マスクのスペースXは何がスゴイ? 民間有人宇宙飛行の快挙達成できた理由


 ビジネス+ITとは? 米宇宙開発企業のスペースX(SpaceX)が5月、民間で初めて国際宇宙ステーション(ISS)への有人飛行を実現させるという快挙を達成した。米国において宇宙事業を官から民へ移す方針に従い、2002年に創業されたベンチャー企業が宇宙ビジネスの在り方を変えるに至った。スペースXらの参入により、2億ドルを要していた人工衛星の打ち上げは、6000万ドルまで削減。

 新たな大型ロケットやそれに付随するサービスの開発によって、スペースXによる宇宙事業の変革は続いていきそうだ。 執筆:在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之 画像 宇宙飛行士2名を乗せたスペースXの宇宙船「クルードラゴン」発射の様子 (Photo:NASA/Bill Ingalls)

  ISSへの輸送コストはわずか1/20に なぜスペースXは大幅コスト削減に成功したのか 人工衛星打ち上げの「相乗り」を含め、宇宙関連サービスの多様化が進む 市場シェアは6割に到達、スペースXは独占的な地位を築きつつある ISSへの輸送コストはわずか1/20に

 2020年5月30日、2名の飛行士を乗せたスペースXの宇宙船「クルードラゴン(Crew Dragon)」がISSへ到着、米国の有人宇宙飛行としては2011年以来9年ぶりの快挙となった。米国はこれまでロシアの宇宙船ソユーズに依存しており、民間企業の有人宇宙船がISSへ接続するのも初めてとなる。

 スペースXはご存じの通り、電気自動車(EV)大手のテスラ創業者、イーロン・マスク氏が2002年に創業した宇宙開発企業。同社がこれまで手掛けたことは、民間企業として初めて実現したものばかりだ。
たとえば、2010年には民間企業として初めてISSへの物資輸送を実現。また、打ち上げロケットの回収を実現したのは官民問わず、史上初となった。
 スペースXが宇宙事業の商用化を牽引する存在になったのは、NASAが宇宙事業を民間へ委託する方針へと転換した点が大きい。2011年のスペースシャトル退役以降、米国がロケット打ち上げを行ってこなかったのは、膨大なコストがかかることが要因だった。

そこでNASAは民間の自由競争によってコストを削減するよう、ISSへの物資輸送を民間に委託するCOTS(商用軌道輸送サービス)プログラムなどを推進してきた。
 実際にスペースXは、宇宙事業のコスト削減を実現してきた。従来、米国政府が主導して打ち上げる人工衛星は1基あたり2億ドル要していたのに対し、スペースXは1回の打ち上げの価格が6,000万ドルと言われている。
 ISSへ輸送する1キログラムあたりのコストは、5万4,500ドルから2,720ドルへ低減されたとの試算もある。委託したNASAにとっては大きなコスト削減となったわけだ。
なぜスペースXは大幅コスト削減に成功したのか  スペースXが大きくコストを削減できる理由の一つが、その製造プロセスだ。機器の7割以上を内製していると言われ、垂直統合を追求しているのが特徴とされる。部品の設計から組み立て、ソフトウェア開発まで、ほとんどの工程がカリフォルニアの工場で行われる。
 多くの工程が手作業で実施されてきた従来の宇宙事業に対し、3Dプリンターなどの最新IT技術を駆使している点もコスト削減に寄与している。
 ロケットエンジンは数百もの部品を組み合わせる複雑な産業機械なので、その製造は非常に困難なものだった。しかし、複雑な金属部品でも3次元モデルでの設計・製造を内製することで、品質の維持、リードタイムの削減、知的財産の流出防止などの効果が得られたという。
 クルードラゴン内の映像が明らかにしたように、コックピットに配されたダッシュボードも、ボタンや計測機器で一杯だった過去の宇宙船と比べ、極めてシンプルな構成になっている。 画像クルードラゴンのコクピットの様子(Photo:NASA Kennedy)  物理的なボタンよりも、ソフトウェアの表示・操作を重視するのは、テスラの自動車にも共通する設計思想と言える。製造の観点からも、タッチパネルに集約されたコックピットにより、設計・組み立ての難易度が下がり、コスト削減につながる。

 スペースXが実現したロケットの再利用もコスト削減に寄与する。毎度、すべてのロケットを製造する必要がなく、繰り返し使うことで、その性能が検証可能だ。使い回せない部品であっても、前回の打ち上げデータを基に、設計から製造までの検証サイクルを回し、部品の改良につなげられる。
以下割愛

スペースX 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ Space Exploration Technologies Corp. スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(英: Space Exploration Technologies Corp.)、通称スペースX (SpaceX) は、カリフォルニア州ホーソーンに本社を置くアメリカの航空宇宙メーカーであり、宇宙輸送サービス会社である他、衛星インターネットアクセスプロバイダでもある。

火星の植民地化を可能にするための宇宙輸送コストの削減を目的に、2002年にイーロン・マスクによって設立された。SpaceXは、いくつかのロケットのほか、宇宙船ドラゴンや衛星スターリンク(衛星インターネットアクセスを提供)を開発している。
Netflixで配信されるドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のシーズン2第7話において、副大統領のスタッフとして働く野心的な若者コナー・エリスが副大統領夫人に辞意を伝える際に、報酬が良く自身の成長も期待できるとする転職先を「スペースX社」と明かす場面がある。 2002年にマスクによってカリフォルニア州エルセグンド(英語版)でスペースX社が設立された。

設立時には、同年に買収された宇宙開発大手のTRW社から、ロケットエンジン開発に携わっていたトム・ミュラー(英語版)とそのチームが合流している。また、マスクは会社設立のために1億ドルの自己資金を投入している[24]。 2006年にNASAと国際宇宙ステーション (ISS) 物資補給のための打上げ機の設計とデモ飛行を行う商業軌道輸送サービス (COTS) を契約した。

2008年に小型ロケットのファルコン1で初めて軌道に到達し(民間資金で開発された液体燃料ロケットでは初)[25]、2010年12月には中型ロケットのファルコン9とドラゴン宇宙船によるCOTSデモ飛行を行い、民間企業としては世界で初めて軌道に乗った宇宙機の回収に成功した。2
012年にはISSに民間機として初のドッキングも成功させ、補給物資や実験装置を送り届けた。 2014年には、NASAと有人型のドラゴン宇宙船の開発とデモ飛行を行う宇宙飛行士の商業乗員輸送開発 (CCDev) プログラムを契約した。
2020年5月に再び民間企業として史上初となる有人宇宙船の打ち上げ並びにISSドッキングを成功させた。 ドローン船に着陸したファルコン9の1段目 またその間の2015年には、ファルコン9の第1段により、世界初となる衛星打ち上げロケットの垂直着陸を達成した。

2017年からは他社に先駆けてロケットの再使用を実施している。2018年には大型ロケットのファルコンヘビーも運用を開始しており、民間の宇宙船を初めて太陽周回軌道にも打ち上げた。 2016年には、これまでユナイテッド・ローンチ・アライアンス社の独占状態にあった米軍事衛星の打ち上げ市場への初参入も果たしている。

スペースXは民間による火星探査や移民構想も掲げており、2016年にはそのための輸送システムであるインタープラネタリー・トランスポート・システム(後のスターシップ)を発表した。

※トップ画像 BANDAI SPIRITS  魂ウエブ

エヌビディアの価値が3兆ドルを超えアップルを追い抜く
ナタリー・シャーマン BBCニュース ビジネス記者 2024/6/6
エヌビディアの時価総額は3兆ドル(2兆3000億ポンド)を超え、この半導体メーカーはアップルを追い抜いて世界で2番目に時価総額の高い上場企業となった。
同社の株価は水曜日に5%以上上昇し、1,224ドルを超えた。
同社は昨年始まった驚くほど急速な株価上昇をさらに加速させており、その原動力となっているのは、同社が人工知能(AI)への投資の波で大きな勝利を収められるだろうという見方だ。
同社の時価総額は現在、チャットGPTメーカーのOpenAIへの投資により、業界のもう1つの主要プレーヤーであるマイクロソフトに次ぐ位置にある。
2月時点では時価総額が「わずか」2兆ドルだったエヌビディアは、先月いわゆる株式分割の計画を発表して以来、新たな株式購入の波を引き起こした。
この措置により株式数は10倍に増加し、それに応じて株式の価値が下がる。これは、小規模投資家にとって株式をより手頃なものにすることを目的とした変更である。
金曜日に予定されており、この株に対する需要がさらに高まると予想される。
1993 年に設立された Nvidia は、もともと、特にコンピューター ゲーム用のグラフィックを処理するタイプのコンピューター チップを製造する会社として知られていました。
AI革命のずっと前から、同社は機械学習に役立つとされる機能を自社のチップに追加し始めており、そのすべてが同社の市場シェア拡大に貢献している。
同社は現在、AIを活用した技術がビジネス界にどれだけの速さで広がっているかを見極める上で注目すべき重要な企業とみなされており、シフトのジェンセン・フアン社長は「次の産業革命」の幕開けを宣言した。
同社は爆発的な成長を遂げており、4月28日までの3か月間で260億ドルの売上高を報告している。これは2023年の同時期の3倍以上、前の3か月間では18%の増加である。



エヌビディアの台頭


スターリンク.2


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