見出し画像

パレスチナ対イスラエルの戦争

2023年10月18日記事

世界で最も解決が難しい紛争パレスチナ対イスラエル

「ではどうする~」という疑問符は、拭い去ることは出来ないとしても、これまで何千回という交渉が失敗していることを思うと、世界は、肝を据えてこれに対応しなければならない、という最後通牒(通告)に迫られている。

世界のメディアも、そのことは充分承知しているが、ものの言い方、によっては一方に加担するという「ミシングリンク」において、一方に偏重してしまうという瀬戸際の重圧は避けて通れない。それはなにも国際関係の重責に限定することなく、きわめて個人のあいだでも同じで、とくに日本においては、頑ななタブー論で括られている歴史、という暗黙の了解らしき「決め」のようなもの(情緒的精神論)に支配されてきた。おそらくそれは今後も持続するはずだ。
■ミッシングリンク・ミシングリンクとは、生物の進化過程を連なる鎖として見た時に、連続性が欠けた部分を指し、祖先群と子孫群の間にいるであろう進化の中間期にあたる生物・化石が見つかっていない状況を指す語。失われた環とも。 ウィキペディア

だとしても日本が抱える少子高齢化の現実は、何れ近い年代にやってきて、おのずと外国移住という選択をえらんだとき、その曖昧情緒論は、まったく歯がたたない。そうしたことも考えると、このシュミレーションは本気で学習しないと、実地検証に至ったとき慌て狼狽することになる。

この二言三言で、到底理解することはできないにしても、示された地図の読み方くらいは判るようになるだろう。


2023年パレスチナ・イスラエル戦争 
 資料ウイキペディア

2023年パレスチナ・イスラエル戦争(2023ねんパレスチナ・イスラエルせんそう)は、2023年10月7日にパレスチナのガザ地区を支配するハマースによるイスラエルへの攻撃によって勃発した、ガザ側の武装勢力(ハマス)とイスラエルの戦争である。(ハマス ハーマス)

なお、パレスチナ自治政府は関与をしておらず、パレスチナ自治政府の大統領であるマフムード・アッバースは、「ハマースはパレスチナ人の代表ではない」、「ハマースは人質の即時解放をすべき」、「ハマースによるイスラエル南部への攻撃を非難する」と表明している。
また、ワリード・アリ・シアム駐日パレスチナ常駐総代表部代表は8日、SNSにて「‎私たちは、パレスチナ人とイスラエル人の両方の民間人の生命の喪失を断固として非難します」とメッセージを投稿している。

この戦争でイスラエル側は第四次中東戦争以来の死者数を出した。イスラエルは8日、正式にハマースに対し宣戦布告をした。イスラエル側は戦時内閣を発足させている。

ハマースは、この戦闘を「アクサーの氾濫作戦もしくは「アルアクサの洪水作戦(アラビア語: عملية طوفان الأقصى‎)」とした。一方でイスラエル側は「鉄の剣作戦(ヘブライ語: מבצע חרבות ברזל)」と呼んでいる。

一部メディアは第一次、第二次インティファーダに続くインティファーダとして「第三次インティファーダ」という名称を使用した。また10月に行われる祭りである仮庵の祭りに例え「仮庵戦争」(かりいおせんそう)と表現した。

攻撃直後イスラエル国民はこれらの事象を「イスラエルの9.11」や「イスラエルの真珠湾攻撃」と過去の奇襲攻撃やイスラム組織の攻撃にたとえた。また、「ホロコースト以来、これほど多くのユダヤ人が殺害されたことはない」という反応も見られた。
ホロコーストのたとえは様々な人が使用しており、The Viewの元プロデューサーであるダニエラ・グリーンバウムや、イツハク・ヘルツォグの元スポークスマンであるエイロン・レヴィ、Times of Israelの記者ラザール・バーマンなどがホロコーストという言葉を使用した。
1973年の第4次中東戦争のちょうど50周年ということで「'73年の過失、'23年の過失」という言葉も一部メディアで使用された。コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領はイスラエルの行いを、ガザ地区の人質家族はハマースを指して「新たなホロコースト」という言葉を使った。

背景について

パレスチナ問題は「世界で最も解決が難しい紛争」と言われている。2000年以上前の時点におけるパレスチナにはユダヤ人国家であるイスラエル王国があり、ユダヤ人とアラブ人が共存していたが、その後諸国家により侵略、最終的にローマ帝国による支配下となった。その後ユダヤ人はヨーロッパ各地へ移り(ディアスポラ)、パレスチナではイスラム教徒のアラブ人が住んでいた。

当時ヨーロッパではキリスト教が主流であり、元々キリスト教と対立している関係であったユダヤ教徒(ユダヤ人)は迫害の対象となった。その後、金融業などで影響を持つようになり19世紀ごろにパレスチナに戻るという所謂シオニズム運動が発生する。

シオニズム運動の最中に第一次世界大戦が勃発し連合国側のイギリスがパレスチナにユダヤ人の国家を建設することを支持することを約束した(バルフォア宣言)。ロスチャイルド財閥から金銭を引き出すためである。一方敵対する中央同盟国であるオスマン帝国を落とすためにアラブ人ともオスマン帝国の反旗を翻せばパレスチナに国家を建設することを約束する協定を結んだ(フサイン=マクマホン協定)。そしてフランスとも中東分割の決議をする(サイクス・ピコ協定)。この「三枚舌外交」と言われる外交政策により事態は混迷を極める。

第一次世界大戦終結時点ではフランスらにより分割された。ユダヤ人などからすると裏切られたというような立場となるものの、バルフォア宣言に基づきパレスチナへの入植者が増えた。

第二次世界大戦中、ホロコーストにより多くのユダヤ人が殺害される。ホロコーストから逃れるためにユダヤ人はパレスチナに逃げるもパレスチナに住むアラブ人は猛反発。これにより各地で戦闘が起きる。

戦後1947年にパレスチナ分割決議が採択されイスラエルが建国。ユダヤ人からするとついにユダヤ人国家の建設となったが、アラブ人からすると領土が奪われた形となり、第一次中東戦争が勃発、イスラエルは当時被害者として世論は支持していた。しかし、第三次中東戦争で国際法を超えた範囲でパレスチナ側の領土を支配し始め、一部から加害者側になったと非難を浴びる。

その後、インティファーダという民衆蜂起が行われ、多くの戦闘が起き、規模は拡大していく。パレスチナ外ではPLOが誕生。その後湾岸戦争でフセイン政権がパレスチナ解放としてイスラエルを攻撃、国際社会は「パレスチナ問題を解決しないと何が起きるかわからないのではないだろうか」という反応となり、1993年のオスロ合意により暫定自治政府が認められる。合意から2000年までは楽観論が広がり、双方が和解すると世論は考えていった。しかし2000年にアリエル・シャロン首相がユダヤ教の聖地「嘆きの壁」のすぐ近くに位置するイスラム教の聖地であった「岩のドーム」に足を踏み入れ「私は平和の使者だ」と述べたことによりイスラム教徒の反感を買い、7年間続いた平和は終焉した。2006年のパレスチナ国議会選挙でハマースに敗北し、ガザはハマースによる統治に、一方ヨルダン川西岸地区はファタハが統治を行っていたためパレスチナは分裂状態になり、和平交渉が事実上不可能となった。また、ヨルダン川西岸地区には分離壁が設置、分断され(ヨルダン川西岸地区の分離壁)、2008年から2009年までのガザ紛争などいくつかの2ヶ国の戦闘が行われていった。

2014年、イスラエル軍がガザ地区に地上侵攻を行い、空爆作戦でハマースの幹部の自宅や軍事施設を爆撃するとともに、予備役の兵士の招集を進め、ガザ地区との境界線近くに地上部隊を着々と集結させるなどし、捕らえられた兵士やその周辺の民間人への危険に配慮せずに集中砲火で攻撃することができる「ハンニバル指令」が実行された。これによりイスラエル軍は少なくとも135名のパレスチナの民間人を殺害した。この2014年のガザ地区侵攻が「イスラエル軍による最後の地上侵攻」であるとされていた。2014年以降、和平交渉は途切れる。

ユダヤ系の人々が一律にイスラエルの建国やシオニズムを支持していた訳ではなく、ユダヤ教の最右派であるユダヤ教超正統派はイスラエルの建国に関して聖書の「汝、殺すなかれ、盗むなかれ」に違反しているとし、「メシア(救世主)が現れないと真のユダヤ国家は実現できない、しかし、まだメシアは現れていない、だから現在のイスラエル国家は偽物であり、認められない。」、「メシアが現れるまで建国は待つべきだ。」という立場をとっている。また、「ユダヤ人はイスラエルの残虐行為を糾弾する」と主張するデモや「イスラエルをパレスチナへ返還すべきである」として反シオニズム活動を行っている。 
第一部 閉め

両国間の緊張状態に加え、イスラエルとサウジアラビアが関係正常化に向けて動き出していることにより「パレスチナ問題、さらにはハマースそのものが見捨てられてしまう」というハマースの危機感が発生、またイスラエルは「司法制度改革問題」という問題により大混乱していたため、ハマースからすると恰好のチャンスとなった。また、パレスチナ市民の若年層は度重なる戦争により失業率が60%を越え、経済も非常に悪い状態であり、加えて封鎖以降の世代は物心ついた時には分断という状況であり、イスラエルに対する恨みも高かったと思われている。

経過 10月7日

画像ミサイル攻撃の様子。イスラエル軍によるガザ地区に対する攻撃


ウイキペディア

ユダヤ教の祝日シムハット・トーラーにあたる10月7日現地時間午前6時30分(UTC 3時30分)、パレスチナのガザ地区を支配するハマースのイゼディーン・アル・カッサム旅団によるイスラエルへのミサイル攻撃が宣戦布告抜きに開始された。また同時に海上を水上艇が、陸上では歩兵による国境検問所であるケレム・シャローム検問所やエレズ検問所への攻撃や白いピックアップトラックによる7つの検問所を突破してでの越境も開始された。ミサイルの本数についてはハマースが5000発以上、イスラエルが2200発以上としている。この出来事により、イスラエル側で少なくとも1,300人以上が死亡し、パレスチナ側で1,100人が死亡した。

テルアビブ、レホヴォト、リション・レジオン、パルマヒム空軍基地などではサイレンが鳴り響いたという。スデロットでは戦争としては初期の戦闘が勃発し、警察署などを制圧された。他いくつものキブツへの攻撃も確認され、人口1000人ほどのベエリでは人口の10分の1にあたる約100人が死亡、ガザ近郊のネティヴ・ハアサラでは15人が射殺[49]、南部のニル・オズでも被害が確認された。ジキムでは同日4時40分(GMT)に海上からの侵攻が確認された(ジキムの戦い)。

同日、イスラエルの首相であるベンヤミン・ネタニヤフは「戦争状態にある。」とする声明を出した。ハマースの軍事部門のトップであるモハメド・デイフ司令官は同日を「地上最後の占領を終わらせるための、偉大な戦いの日」と述べた後「私たちは敵に対し、アル=アクサー・モスクに対する侵略を続けないよう警告した......敵が無反応で侵略を続ける時代は終わった。私は、ヨルダン川西岸地区とグリーンライン(英語版)(イスラエル領)内のパレスチナ人に対し、自制することなく攻撃を開始するよう呼びかける。すべての通り道に出て行け。私は、あらゆるイスラム教徒に対し、攻撃を開始するよう呼びかける。」としてパレスチナ人に軍事行動への参加を呼びかけた。この攻撃にはイラン革命防衛隊の関与も疑われている。また、祝日に戦争が起きるのは第4次中東戦争も同様である。

合計で、少なくとも2,200発のロケット弾がガザから発射され、数百人のイスラエル人が犠牲になり、イスラエル政府は緊急事態を宣言した。イスラエルは攻撃開始後の全国演説で「戦争中」であると述べている。イスラエルに潜入したパレスチナ過激派はキブツに侵入、またスデロットを含むガザ地区とイスラエルの都市を取り囲んでいる。パレスチナとイスラエルの両方のメディア情報筋が、イスラエルの兵士と民間人が人質に取られたと報告している。夜、イスラエル国営の電力会社が、電力の80%をイスラエルから供給しているガザ地区への電力供給を停止した。イスラエルの首都テルアヴィヴはロックダウン状態に陥った。

これらの攻撃に対してヨルダン川西岸の都市ナーブルスのパレスチナ人の一部が祝っている写真が撮影されている。

攻撃の映像はドローンによる撮影により保存されており、ABCnewsが映像の一部を公開した。スプートニクはこの奇襲が成功した原因を以下の二つとしている。

ハマースの指揮官がハッキングすることが難しい中国ファーウェイ製のスマートフォンを使用しており、イスラエルの諜報機関モサドが使っていた。またハマース内でイスラエル側との接触が疑われた者がハマースから追放されていたこと。

ガザ地区とイスラエルの国境沿いの分離壁に対してイスラエルが自信を持っていたことから警備体制が薄く、ハマースの障壁突破の演習や爆弾を開発に対して対応できなかった。

また、同じくスプートニクはこの奇襲に対して「ドイツ国防軍の戦術マニュアルを読んで応用したかと思うほどドイツ式電撃作戦に酷似していた」とした。

10月8日

レバノン南部からイスラエル北部へロケット攻撃が発生。同日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは、イスラエルへの攻撃を実行したとの声明を出した。同日、イスラエルはハマースに対して、7日にイスラエルの基本法第40条によって正式に宣戦布告を決定し、軍事活動を解禁すると発表した。イスラエルが正式に宣戦布告を決定するのは、1973年の第四次中東戦争以来である。

他にもイスラエル側がエジプトに対してハマースとの交渉の仲介役となるように依頼した他、アメリカ合衆国は東地中海への原子力空母「ジェラルド・R・フォード」を中核とする第12空母打撃群を派遣することを決定した。打撃群は空母の他、ミサイル巡洋艦やミサイル駆逐艦からなり、中東地域のアメリカ空軍部隊をF-35などで増強するという方針も出した。同日、バイデン米大統領はネタニヤフ首相と会談し、アイアンドームの補充、弾薬供与、ヒズボラなどの軍事行動をめぐる機密情報協力をイスラエル側がアメリカに対し求めた。

アメリカのブリンケン国務長官はこの日、CNNテレビに出演し、ハマースによるイスラエル攻撃について「イランが直接関与したという証拠は確認していない」と述べた一方で、長年ハマースや他のテロ組織を支援してきたとしてイランを批判した。また同国のオースティン国防長官はハマースの攻撃を受け、「イスラエルの軍や国民に対する米国の断固たる支援を強調する」として空母打撃群をイスラエル沖の東地中海に派遣すると発表。現在地中海に展開中の空母「ジェラルド・フォード」やミサイル巡洋艦・駆逐艦から成る空母打撃群を東へ移動させるという。また同時に、中東地域でのステルス戦闘機F35やF15・F16戦闘機・A-10攻撃機の部隊を増強する方針も明らかにした。

同日には国連安全保障理事会が緊急の非公開会合を開いて対応を協議した。会合に先立ってはイスラエルとパレスチナの代表がそれぞれ記者団を前に声明を読み上げ、相手を糾弾するとともに自らを正当化する一幕があり、イスラエルのギラド・エルダン(英語版)国連大使は被害を伝える写真を掲げながら「われわれが目撃しているのは野蛮な戦争犯罪だ」とハマースを非難し、「野蛮な者たちを説得する時代は終わった。このような恐ろしい事態を決して再び引き起こすことがないよう、ハマースによるテロ行為のインフラを消滅させる時が来た」「イスラエルが(ハマースとの戦いに)負ければ世界がその代償を払うことになる」として、国際社会はハマース壊滅に向けたイスラエルの活動を「全面的に支援しなければならない」と強調した。
一方で、パレスチナのリヤド・マンスール(英語版)国連大使は「イスラエルはガザの封鎖やガザへの度重なる攻撃はハマースの軍事力を破壊し安全を確保するためだと言い続けているが、どちらも成し遂げていない」と指摘し、「イスラエルは今、同じ誤った前提で、新たな攻撃を正当化しようとしている。誰もこの道を歩むことを助長するような言動をしてはならない」と述べたほか、過去にパレスチナ人が殺害されても国際社会は行動を起こしてこなかったと不満を示した。また、同会合では、ハマースが連れ去った人質の即時解放についても話し合われたが、非難声明や決議案をはじめとする具体的な対応に関しては議論されなかったという。

10月9日

前日夜からこの日にかけてイスラエル軍はガザの約500カ所を空爆した。また、同軍はハマース戦闘員が侵入したガザ近くの全ての集落を掌握したと発表した。戦闘は継続され、一連の死者は1,300人を突破した。このほか、イスラエル軍の報道官がハマースのガザ地区指導者であるヤヒヤ・シンワールが死亡したことを発表したと、イスラエルメディアが報じた。また同日、イスラエル国防相のヨアブ・ガラント(英語版)は、イスラエル軍にガザ地区を完全に包囲するように命令したと発表。「私たちは人間の姿をした獣と戦っており、それに応じて行動しています。」とも付け加えた。

またハマースの拠点であるとしてガザ中心部のビル「パレスチナ・タワー」をイスラエルの手により破壊した。わかっている範囲ではパレスチナ・タワーの屋上にはハマースのラジオ局があった。またイスラエル側もモサドが危険を察知できなかったことで被害を受けた。

米国、英国、ドイツ、フランス、イタリアはイスラエル側につくとした共同声明を出した。一方中国はイスラエル、パレスチナ双方に対して仲裁に入り、中立的な立場を見せた。カタールも中立的な立場を取り、双方の拘束された民間人の引き換えなどの交渉に入った。交渉については10日時点では「前向きに動いている」と関係者がロイターへ語っている。

戦闘ではパレスチナ・タワーの破壊などの他に、イスラエル軍が戦車などを展開して侵入防ぐといった戦術を見せた。また負傷者の輸血を7日に呼びかけ、9日に輸血がエルサレムで開始されると、1,000人ものイスラエル人が輸血を行った。イスラエル銀行はシェケルの大幅な下落を防ぐため為替市場へ初介入した。EUはパレスチナへの資金支払いを即時停止した。EUの行動とは真逆に、ロシアとアラブ連盟はイスラエルとイスラエルを支援する欧米諸国を批判した。

イギリス内では英国政府がイスラエルへの全面的支援を表明し、ロンドンでは#人道上の問題節のようなイスラエルによるパレスチナに対する人道上問題がある行動に対し怒りを見せた人々により、デモが行われた。似たような事例で同日ニューヨークのイスラエル総領事館で道路を挟み南北に分かれ、北にイスラエル派100人、南にパレスチナ派300人ほどが集まり大騒動と化した。

モスクワではロシアのラブロフ外相とアラブ連盟(21カ国・1機構)のアハマド・アブルゲイト(英語版)事務局長が会談し、民間人の殺害や誘拐は「容認できない」という立場を確認するとともにハマースとイスラエルの双方に即時停戦を要請した。また、会談冒頭でアブルゲイト氏は「パレスチナ問題の政治解決の見通しや試みがなければ、こうした事態は今後も起こり得る」と指摘している。

10月10日

ハマースが460発以上のロケット砲を発射した。また、カバティヤではパレスチナ人2人に発砲されたとしてイスラエル軍が2人を殺害した。また後述の#人道上の問題節にもあるようなイスラエルによるガザ包囲が正式に行われ、イスラエル側は「テロリストのインフラを完全に破壊した。何千もの標的を攻撃し、何百トンもの爆弾を投下してきた。最大限の被害を与え続けている」や「ガザ地区への電力供給は終わる。燃料の備蓄がなければ数日以内に地区の電力はなくなり、井戸水も1週間以内にくみ上げられなくなるだろう」との発言を行った。10日時点では医療物資の枯渇や、空爆などによりガザ全体で安全な場所がほとんどないなどといった状況が発生した。

また国境なき医師団はガザ地区内の病院もイスラエル軍の攻撃の被害にあったとし、「医療施設は尊重されるべきで攻撃の対象になってはならない」と訴えた。ハッジタワーというガザ内のタワーへの空爆により、ジャーナリスト3人の死亡などの被害も確認されている。

これらの裏でイスラエル軍はハマースの幹部2人の殺害を発表した。ニューヨークではイスラエル支持派による1万人規模のデモが発生した。

10月11日

イスラーム聖戦の幹部であるアリ・ハッサン・ガリ司令官が死亡した[81]。国際連合人道問題調整事務所は123,000人以上がガザで国内避難民になっていることを公表した。ハーバード大学の学生らはイスラエル側を非難したものの、その結果幾つもの大企業より失業宣告を受けた。これに対しハーバード大学内の31の学生サークルが共同声明を発表し批判、ユダヤ人団体である名誉毀損防止同盟はこの声明を反ユダヤ主義的であるとした。

同日、米政府高官が匿名でイランがハマースのイスラエル攻撃を予測していた可能性があると述べた。一方9日にイラン外務省は関与を否定している。

同日、イスラエルのネタニヤフ首相は自身の連立内閣枠組みに国家団結(英語版)を加えた挙国一致内閣の戦時内閣を通常の内閣とは別個に発足させ、以降は戦争の遂行に関係ない法案や政府決定は一切凍結されることなったため、現内閣は事実上の機能停止状態となった。戦時内閣はネタニヤフ首相、ヨアブ・ガラント(英語版)国防相、ベニー・ガンツ前国防相の3人のみからなり、このほか元国防軍参謀総長のガディ・エイゼンコット(英語版)議員、戦略担当相のロン・ダーマー(英語版)がオブサーバーとして参加することとなったが、戦争開始初期から挙国一致内閣に前向きだったヤイル・ラピド率いるイェシュ・アティッドは右派政党の排除要望が聞き入れられなかったこともあり、最終的には挙国一致内閣に参加しなかった。戦時内閣樹立の声明発表後、ネタニヤフら3人はテレビ出演を行い、ガラント国防相はハマースを地球上から消し去ると警告した。

国際赤十字・赤新月社連盟 (IFRC) はガザ地区でスタッフ4人が活動中に救急車両に対する攻撃より死亡したと発表した。IFRCは「国際法に従って、民間人や医療従事者、医療施設は常に尊重され、守られなければならない」と発言した。同様に国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) もガザ地区での活動中にイスラエルによる攻撃によりスタッフ11人が死亡、UNRWAは「国連の職員と民間人は常に守られなければならない。より多くの民間人の命が失われないよう、戦闘の終結を求める」として戦闘の終結を求めた。

アメリカは前述の空母打撃群に加えドワイト・D・アイゼンハワーを主力とする空母打撃群を地中海に派遣していることを発表した。またオースティン国防長官はベルギーにてイスラエルにアイアンドームを供与したとした。

同じくアメリカのドナルド・トランプ元大統領は一連の戦闘をバイデン政権の外交の失敗であるとし、自身が大統領になれば「私のリーダーシップのもとでイスラエルを全面的に支持し、テログループであるハマースを打ち破って永久的に破壊する」とした。

韓国では同国の尹錫悦大統領が訪韓したアメリカ上院の民主党トップのシューマー院内総務率いる超党派上院議員団と会談した。両者はイスラエルへの無差別攻撃を非難するとともに、事態の早期収束に向けて米韓両国が「建設的な役割」を果たしていくことで一致した。

10月12日

ブリンケン米国務長官がイスラエルに入国した。アメリカとイスラエルの協力関係を強くさせる為と思われており、13日にはアッバス自治政府議長と会談する予定。また、中国の中東問題特使、翟雋がイスラエル政府高官と電話会談を行った。フランスはパレスチナを支持するデモを禁止することを発表し、「片方を禁止して片方を認めるなんて不公平だ」といった非難が集まった。

ハマースの人質の家族2人がロンドンで会見を行い、「ホロコーストの生存者がハマースによる新たなホロコーストに直面している」と語り、即時解放を訴えた。

イラン・アミラブドラヒアン外相がパレスチナ人に対する戦争犯罪が継続されれば「抵抗の枢軸」からの報復を受けることになると発言。抵抗の枢軸が指すものについては明確には判明していないがパレスチナ側の勢力のことであると考えられている。

コロンビアのペトロ大統領はガザ地区に対する包囲攻撃と全面封鎖を命じたガラント国防長官に関する記事を掲示した後、「これはナチスがユダヤ人に対して言ったことと同じだ」と指摘。「民主主義市民はナチズムが国際政治舞台に再び登場することを許すことはできない」とし、「(ガラント長官のように)憎しみ発言が続くなら、ホロコーストだけをもたらしてしまう」と主張した。

またシリア国営のシリア・アラブ通信によるとイスラエルはガザ外であるダマスカスとアレッポの空港に対しミサイル攻撃を行い滑走路が損害を受け、両空港は使用不能となった。

イスラエル軍により国際法上禁止されている白リン弾を使用していたことがヒューマン・ライツ・ウオッチ (HRW) により発覚した。使用していたのは10から11日の間に使用された都市、HRWは「人口過密なガザでの使用は民間人被害の危険性を増大させ、国際人道法に違反する」と述べ懸念を示した。2008年12月においてもイスラエル軍は白リン弾を使用したとされているが政府は「戦時国際法には違反しない」と発言していた。

また、EUはX(旧Twitter)やフェイスブックを運営するメタに対して嘘の情報や暴力的な映像が流れていることに対してデジタルサービス法に基づく初めての調査を行おうとした。これに対してXは11日に、メタは13日に対応を行ったと報告した。

10月13日

イスラム教徒は戦争開始後初の金曜日、祈りの時間が始まった。クアラルンプールではイスラム教徒1,000人が祈りの後に集まり、イスラエルの旗がかかった像を破壊する等のデモや暴動を起こした [100]。

第2部閉め (以下は次号に送る)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?