世界はどんどん動いているが、
「白昼堂々と」~ホテルで姦淫
ショッキングな見出しだが、それが実際の犯行だったら、警察調書には、そう記録される。
週刊誌的な、話しを差し引いても、それに近いのだろう。裁判沙汰になったその事件で、さらに負い目を受けるのは、いつも女性だった。
もともと本記事は、警察長官トップの進退問題を問う記事のようだが、過去には、そうした判断もあった、という参考資料なんだろう。
これに関しては、2.3日前より、国内不和問題より、もっと違う要素が絡んでいると憶測していたが、それにしても他方面情報が交錯して、すでに迷宮化しているのではないかと、いま思っている。
話しを遡れば「伊藤詩織さん(33)姦淫」。高輪署は準強姦容疑で逮捕状
“逮捕状握り潰し”中村警察庁長官は国葬を待たず辞任すべきか
伊藤詩織さんが勝訴後に語った思いとは
2022年8月3日 5時56分 デイリー新潮
世間の耳目は統一教会と永田町の関係に集まっているが、もう一つ、決して忘れてはならない問題が残されている。警察が警護対象者である元総理の生命を守れなかったことへの責任問題だ。だが、組織のトップは責任を取らず、未だその椅子に留まっている。
第29代警察庁長官、中村格(いたる)氏(59)は事件直後、目も落ちくぼみ、憔悴著しかった。親しい記者も長官室に招き入れず、10日ほど巣ごもり状態にあったという。
「ですが、最近は元気を取り戻しつつあります。個別に各社を応接室に入れ、やんわりと報道に不平をもらしています。特に米村敏朗さんなど警視総監経験者が警備の問題についてメディアで厳しい論評を下すのを面白く思っていないようです」(社会部デスク)
警察庁は8月いっぱい時間をかけて警備の問題点を検証するとした。
“安倍元総理ベッタリ記者”の逮捕状を握り潰した中村長官「内容を発表後、9月にも中村長官が退任する流れです」(同)
昨年9月に就任した長官は責任を取って早めに身を退くということか。「いえ、そうではなく、秋口の退任は既定路線なんです。中村長官の同期で本来、長官・(警視)総監レースのトップを走っていたのは、現在、警察ナンバー2の露木康浩・警察庁次長(58)でした。それを、菅義偉官房長官の秘書官時代に抜群の調整力で安倍官邸に気に入られた中村さんが、政治力でひっくり返したんです。でも警察庁内では露木さんも長官に就かせたいとの声が強くあり、任期を分け合うことになった」(同)
かくして同期二人が長官に昇り詰める異例の人事が決まっていたというわけだ。
岸田文雄総理大臣
「逮捕状握り潰し」が背景に
県警本部長経験もある元警察庁幹部は苦言を呈す。
「更迭に値する歴史的失態なのに、これでは引責辞任どころか勇退に近い。検証なんて他に任せて、さっさと辞めるべきなんです。未だ誰一人、責任を取っていないなんて異常。これではどんな大きなミスを犯しても責任を問われない組織になってしまう。本来、こういう時に辞めるために、キャリアはいるんですから」
今回の警備に、金高雅仁・第25代警察庁長官(68)は、
「僕も背後の警備が足りないという感想を持った。それで、あんな事件が起きてしまったのはなぜなのかと疑問に思い、実際、現場に足を運びました。確かに難しい現場です。後ろに壁がなく、360度警戒をしないといけません。逆に言えば、それだけの警戒態勢を取らないといけなかった。ですから、現場の責任だけにはできません」
伊藤詩織さん
やはり警察組織トップの責任を示唆するのである。
ある警視総監経験者が溜め息交じりに言う。
「格の命運は官邸次第。カギを握るのは、2代前の警察庁長官で、現在、岸田官邸で全官僚のトップを務める栗生(くりゅう)俊一・官房副長官。栗生は格が可愛いから、守りたいんだろうけど……」
ちなみに栗生氏は内閣人事局長も兼ねている。
栗生副長官が中村氏に入れ込むワケは、
「週刊新潮が17年に報じた、ある事件に関連します」(前出・デスク)
話は7年前にさかのぼる。TBSのワシントン支局長だった“安倍総理ベッタリ記者”山口敬之氏(56)が、ジャーナリストの伊藤詩織さん(33)を合意なくホテルで姦淫。捜査を進めた高輪署は翌年、準強姦容疑で逮捕状を取った。
「官邸の番犬」と化す警察
しかし、当時、警視庁の刑事部長の職にあったのが、他ならぬ中村氏、その人。直前に逮捕の中止を命じ、身柄拘束は取り止めに。
中村氏は週刊新潮の取材に、「私が決裁した。指揮として当然」と、認めたのだ。
「中村氏が刑事部長時代、政権との窓口になったのが、当時、警察庁官房長だった栗生氏。これ以降、栗生氏も一層、中村氏を取り立てるようになった」(同)
伊藤さんはその後、山口氏に対し損害賠償請求訴訟を提起。折しもこの7月7日、伊藤さんの勝訴(一部名誉毀損については敗訴)判決が最高裁で確定している。彼女は20日の会見で、
「中村氏には、トップに立つ者として決断してきたことにここまでいろいろな質問が投げかけられている中、答えを出さないということには、現在でも私の中で気持ち悪いものがあります」
などと心情を明かした。都合の悪いことには口を閉ざす「気持ち悪さ」は今回も遺憾なく発揮されている。
安倍総理のため、お友達記者を守って「官邸の番犬」と化し、いよいよ政権の覚えめでたい存在に。そうして逆転で警察組織の頂点に昇り詰めた男が、肝心かなめの所で最も大切な元総理の命を守れなかったのは皮肉と言うほかあるまい。
警察力が落ちた原因は
先の元警察庁幹部は今回の失態の背景をこう探る。
「近年、警察が政治におもねり、その距離が近くなり過ぎた感があります。本来の仕事を全うするより、官僚人事を左右できる有力政治家に取り入り、政治力でポストを手に入れようとする人が出てきた。その分、警察力が落ちているのではないでしょうか」
さらに続けて、
「安倍さんの遊説日程が直前で変更されたといいますが、言い訳になりません。その日の朝、県警本部長が警備担当者らを集め、“背後の警備はどうなっているんだ”などと質問攻めして詰めれば、それだけで現場の意識は変わるはずなんです。ただ昨今、警察でも部下を質問攻めにすると、パワハラと非難されるそうで……」
『男の引き際』の著者で、ノンフィクション作家の黒井克行氏はこう喝破する。
「今回わかったのは、市民の盾たる警察に信頼がおけなかったということです。絶対的な信頼の上に立つその盾が信頼を損なえば代えるのは必然です。国民の命と治安を守るのは一分一秒を争う戦い。悠長に検証している間にも、我々の命が危険にさらされます。名誉挽回のチャンスなどありません」
それでも、中村長官が地位に恋々とするなら、最後は岸田総理が決断するほかないのだが……。警察庁に長官の進退について質したが、返答はなかった。
「週刊新潮」2022年8月4日号 掲載 デイリー新潮
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