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スタートアップ黎明「マネーの虎」テレビ番組 典型的ガラパゴスが受ける要因
反社の芳香がプンプン匂った、アウトローたちのサクセスストーリー。それだけでは今の「イーロン・マスク」には到底太刀打ちできない日本事情。
その番組はよく見たし、当時、それとスタートアップ黎明「マネーの虎」テレビ番組は、ドラゴンボールと「マネーの虎」テレビは、やはり人をワクワクさせたものです。
まま~端的に云って金を稼ぐのに理屈なんていらない、そんな無頼風を吹かせて爪楊枝、紋次郎のようなテレビでした。ですから、スタジオ収録のみでありながら、訳の分からぬ緊張感があって、経費安上がりの割には、利益率が良かったでしょう。
その延長で「令和の虎」が出来た、という風聞ですが、故人となった岩井氏からすると、それは異聞だと、直に叱責されたものです。それだけブライドがあったのでしょう。ご冥福を祈ります。
(※肺がん死去(1960年〈昭和35年〉3月13日 - 2024年〈令和6年〉9月15日)))
このストーリー、反社人間が更生して、故郷に錦を飾る、そんなようなニュアンスが漂っていて、そこいらがケンガイ孤独人間には琴線に訴えたのでしょう。云ってみれは古典的、お涙頂戴定型シナリオで構成されていた、そう思います。
ですからそれがれ結果的に海外で受けた、ことは「昭和おしん」と重なるからでしょう。
それって、ディズニーアニメにはならないし、まして古代コロッセオで演じられるレバノン神話フンババとか、吟遊詩人ホメロスの朗々とした語り、には嵌らないでしょう。
いやいやだからこそガラパゴスであって、味噌、醤油味の納豆、豆腐、がんもどき、という深淵世界に嵌まり込んでしまうのです。(そういえば、冷蔵庫の中の「おから」を早く喰わないとカビで浸食されると気にしてます)
海外の政治経済学者が解説
世界50ヵ国に“輸出”された「¥マネーの虎」は何がすごかったのか?
2025.2.23 Text by Robyn Klingler-Vidra クーリエ・ジャポン
日本テレビで2001年から2004年まで放送された「¥マネーの虎」を覚えている人は多いだろう。「ノーマネーでフィニッシュです」という言葉や、キャラの濃い「虎」たちと志願者らの緊張感漂うやりとりが印象的だったこの番組は、そのフォーマットが世界中に輸出された結果、各国の状況に合わせた現地版が数多く誕生することとなった。
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「¥マネーの虎」はなぜこれほど人気になり、どんな影響を及ぼしたのか。英キングス・カレッジ・ロンドンの政治経済学者である筆者が、経済的観点から同番組の意義を解説する。
スタートアップ時代黎明期の一角
英国のテレビ番組「ドラゴンズ・デン」が世界的なヒットとなり、さらに米国の「シャーク・タンク」によってピッチ(起業家らが投資家に対しておこなう、資金調達等を目的としたプレゼンテーションのこと)がメジャーなエンターテイメントになるよりも前のことだ。
「¥マネーの虎」という番組があった。2001年から日本テレビで放送された同番組は、起業家たちが自身の事業計画をエンジェル投資家たちの一団にプレゼンするというフォーマットを世界ではじめて導入した、革新的なテレビ番組だった。
あまり知られていないことだが、この「¥マネーの虎」は世界的な流行の火付け役となり、結果として、急拡大する起業活動に対する人々の受容・賞賛を世界中で加速させた。
2024年3月には、日本テレビが「¥マネーの虎」の50ヵ国目の現地版がバングラデシュで放送されることを発表した。また、2025年1月2日には、英公共放送BBCで「ドラゴンズ・デン」の第22シーズンの放送がスタートしている。
米国の「シャーク・タンク」は、まず志願者のプレゼンテーションから始まる
「¥マネーの虎」は単に面白いテレビ番組だったというだけではない。その誕生の根底には、日本の経済的慣習に変革を迫る社会的要請があった。リスクを避けがちな文化と大企業中心の経済体制という、それまでの日本のあり方に立ち向かい、「¥マネーの虎」は起業の一般化、さらには美化さえ試みたのだ。
同番組の流行の背景には、イノベーションの助長と起業の促進によって、技術と起業におけるグローバルリーダーの地位を確立しようとする日本政府のさまざまな取り組みがあった。
筆者とキングス・カレッジ・ロンドンの欧州・国際学部長ラモン・パチェコ・パルドはその共著書において、スタートアップが市場経済の競争力の中核をなす時代を「スタートアップ資本主義」と名付けたが、「¥マネーの虎」はまさに、その時代の黎明期の一角を担っていたのだ。
「¥マネーの虎」誕生時の日本
1990年代後半から2000年代前半にかけて、日本経済は岐路に立たされていた。1990年代前半のバブル崩壊をきっかけとして、後に「失われた10年」と呼ばれる長期停滞に陥っていたのだ。国内経済の多様化、雇用の創出、イノベーションを推進することの必要性を、政治家たちも認識していた。敏捷性と創造性のポテンシャル、そして有能な若者たちへの雇用を創出する力を秘めたスタートアップ企業は、この日本経済の転換点において中心的な役割を果たしていく。また、グローバル市場における競争のなかで、スタートアップ企業は革新的な発想と人材を日本の諸企業に提供していった。
スタートアップ企業への投資に対する税優遇措置を含む新政策、年金資産の持ち運び(ポータビリティ)制度、そして従業員に対する米国型のストックオプション制度。これらは起業を推進する取り組みの一部だった。だが、この国の高いリスクを取ることを良しとしない文化や、転職をするのに不便な環境が、一夜にして変わるわけではない。ソフトバンクの孫正義は、積極的でハイリスクな新しいビジネススタイルを代表する人物となった。彼を英雄視する者たちもいたが、その存在は賛否両論を引き起こした。彼は日本の経済界、そして伝統的なビジネススタイルへの挑戦者だったのだ。
では、起業に伴う不確実性を歓迎する新時代のリスクテイカーたちを、日本社会はいかにして後押ししたのだろうか? 一流大学の卒業生が自分の親に「起業」の話をしても勘当されないようにするために、何ができたのだろうか?
ここで「¥マネーの虎」の登場だ。それは、テレビ番組が起業というテーマを日本中のお茶の間に、そして家族や友達とのおしゃべりに持ち込むという、大胆な実験だった。
「起業」のイメージを変えた
番組のフォーマットは単純ながら強力だった。野心的な起業家たちが、自身のビジネスのアイデアを富裕なエンジェル投資家たち、通称「虎」たちの前でプレゼンする。虎たちは提示されたアイデアに対し、会社株と引き換えに投資をおこなう権限を持つ。交渉をめぐるドラマ、投資拒否の緊張、そして資金獲得成功の達成感に、視聴者は惹きつけられた。起業への道のりを人間的なドラマとして描いたところに、「¥マネーの虎」の真髄があった。視聴者は、一般人が夢を現実にするまでの果敢な道のりを目撃する。机の向こうに座る虎たちが志願者に向ける言葉には、疑念、好奇心、そして助言が入り混じる。彼らの詰問と率直なフィードバックは、ドラマを加速させるだけでなく、「ビジネスを可能にするものとは何か」を視聴者に伝える効果をも発揮するのだ。
日本の視聴者の多くは、資金調達目的のプレゼン、つまりピッチという概念を、「¥マネーの虎」を通じてはじめて目の当たりにした。野心的な成長プランを携えてビジネスを組み立てていくことも、以前は金儲けに走りすぎているとして眉をひそめられたが、同番組では好意的に描かれていた。起業家たちの成功と失敗を両方見せることで、同番組は起業の失敗に対する、あるいは野心的な事業家たちをとりまく、根深いマイナスイメージを徐々に払拭していった。資金を獲得できずに舞台を去る起業家たちも、その勇気を讃えられることが少なくなく、それはとりわけ若い世代の心に響くメッセージとなった。
「¥マネーの虎」は、スタートアップを推進しようとする日本の政策を文化的に補完するものだった。日本政府は1997年から2001年にかけて、エンジェル投資家に対する税優遇措置や、スタートアップ企業の設立を促進する株式取引制度などを含む一連の政策を推進していった(「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」の改正による「エンジェル税制」の導入、「新事業創出促進法」、「中小企業経営革新支援法」の成立など)。
これらの政策によって、スタートアップ企業の隆盛に繋がる国内インフラが整えられていく一方で、「¥マネーの虎」は制度的問題よりも根深い、日本の文化的伝統に挑戦していたのだ。経済規模を考えればいまだ控えめではあるものの、イノベーティブな起業は日本でも増えてきている。現在では10億ドル規模のスタートアップ企業が複数あり、世界有数のベンチャーキャピタルのいくつかは日本に支社を展開している。
シリコンバレーのVCで働く900人に聞いてわかった「革新的組織の創り方」
それは「輸出品の開発」だった
「¥マネーの虎」が続いたのはほんの数シーズンで、2004年には放送を終了したが、そのインパクトは絶大だった。同番組のフォーマットは2005年に英国の「ドラゴンズ・デン」、2009年には米国の「シャーク・タンク」に引き継がれることとなった。
日本テレビと番組フォーマットの輸出に携わったソニー・ピクチャーズテレビジョンによれば、2024年2月時点で、「『ドラゴンズ・デン』や『シャーク・タンク』をはじめとする同フォーマットの番組において、志願者たちが獲得してきた資金の総額は、全世界で約10億ドル(約1500億円)」であるとのことだ。
2000年代前半は、日本政府が自国の技術革新が「ガラパゴス化」しないよう、果断に取り組んでいた時期である。日本が最先端のテクノロジーを開発しているという認識はあったものの、グローバル市場は必ずしもこの国の革新的技術を採用したわけではなかった。
日本はお茶の間のテレビ番組を通じて、国内視聴者に向けて起業と株式投資の一般化を推し進めていたわけだが、同時に輸出品を開発してもいた。それは皮肉にも、「日本製」というイメージが広く共有されないままに、世界的な大ヒット作となっていった。
英国や米国の視聴者は、「ドラゴンズ・デン」も「シャーク・タンク」も、起業家の多くいる自国の環境から自然に産み落とされたものだと思い込んでいた。だが、どちらも英米市場の産物などではなく、文化の変革を果敢に目指す日本が生み出したものだったのだ。
Robyn Klingler-Vidra, Associate Dean, Global Engagement | Associate Professor in Entrepreneurship and Sustainability,King’s College London
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
The Conversation via Reuters Connect クーリエ・ジャポン
関係したメイン人事
林尚弘 学習塾「武田塾」を運営するA.ver(東京都文京区)の林尚弘社長は2月15日、自身の公式Twitterアカウントで同社の社長を辞任すると発表した。自身の違法賭博が発覚したため。林社長は同社社長に加え、武田塾の塾長職も辞任する方針を明らかにした。
ITメディア ITメディアbusiness
岩井 良明 肺がんで死去(1960年〈昭和35年〉3月13日 - 2024年〈令和6年〉9月15日))
2001年から放送されていたテレビ番組『マネーの虎』に、ビジネス志願者に出資するか検討する投資家「虎」の一人として出演した。
2024年8月1日の自身のX投稿で、肺がんに罹患し、既にステージIVで他臓器への転移もみられることを公表した。併せて「令和の虎」をはじめとするYouTubeの演者活動を引退すると発表した。8月6日付の自身のYouTube【終活の虎 #1 】では、標準治療のほかに「温熱療法」を初め、令和の虎の志願者の大内氏が開発したという「クルミラ」、1日13,000円かかる「錠剤」「祈祷」、メカニズムの不明ながん治療機「メタトロン」の5つの民間療法を実践していることを商品の紹介とともに公開(ただし、自分に何かあった時まずいという配慮からモザイクをかけている)。
このうち「温熱療法」に関しては、10年以上前に患った喉頭がんをこれで治したと話した。咳が激しく咳をしたはずみであばら骨を骨折したという。
また、9月にはひろゆきが帰国しひろゆきの司会で動画を撮る予定だったことを明かした。多数の過去の知り合いからメッセージが来たが、中には悪気はないのに「最期だから〇〇してください」というようなものもあり憤慨したという。ウイキペディア