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オープンマインド(SNS)

2022年01月26日記事

呉座勇一氏 大炎上の余波(鎌倉殿) 北村紗衣氏

「匿名で悪口スクショが続々と…」呉座勇一氏“中傷投稿”問題、渦中の北村紗衣氏が語る顛末

武蔵大学准教授・北村紗衣氏インタビュー  #1 西澤 千央 2021/04/01 bunshun.jp

 自身の鍵付きツイッターアカウントで、女性蔑視発言や、誹謗中傷を繰り返していた人気歴史学者・呉座勇一氏(国際日本文化研究センター助教)。誹謗中傷の主たるターゲットのうちの一人は北村紗衣氏(武蔵大学准教授)で、以下のようなツイートが投稿されていた。


<さえぼう(注:北村紗衣氏のツイッターアカウント名)の権利主張こそ「私はこんなにすごい研究者なのに女だから正当に評価されない!」というのが根底にあって、エリートとしての義務を果たそうとしているところを見たことがない>
<ぶっちゃけ、さえぼうは「自分は凄いのに(女性だから女性差別の日本社会では?)正当に評価されていない」と言いたいだけだよな。ポスドクが言うならわかるんだが、もう後進を指導していく立場なんだから、社会問題にみせかけた自分語りはそろそろやめたらどうなのか>(原文ママ)
 北村氏による「ツイートのスクショ公開」が、この一連のハラスメント行為を暴くきっかけとなり、呉座氏の謝罪で幕を引いたかに見えるこの騒動、しかし実際には第三者による北村氏への新たな加害が続いている。
 呉座氏とその周辺の人々が「フェミ」と嘲笑し愚弄した女性研究者は、今どんな思いで日々を過ごしているのか。ジェンダー関連の炎上が繰り返されるその理由とは。当事者である北村紗衣氏に聞いた。(前後編の前編/後編を読む)
北村紗衣氏(背景画像ウィキメディア・コモンズより)
画像◆ ◆ ◆UmeeT - 東大発オンラインメディア17世紀のオタクを研究】英文学×フェミニズム!東大卒研究者・北村紗衣先生を訪ねる

――大変な状況の中、取材を受けていただき本当にありがとうございます。北村先生の、今の率直なお気持ちを教えてください。

北村 そうですね……最初は本当になぜこんなことが起こったのかよくわからなくて。外を歩いてたら急に車に轢かれたという感じです。さらに今は「二次加害」がすごくて、デマみたいなものを流されたりとか。どんどんわけがわからなくなってきたなというのが率直な感想です。
――そもそものハラスメントが明らかになった経緯を教えてください。
北村 それがすごく不思議で……最初は一応名前がわかる人からスクリーンショットが送られてきたんですけど、その後はてなブックマークとか、写真のシェアサイトを介して、どんどん匿名で悪口スクリーンショットがシェアされてくるようになったんです。
――堰を切ったように。
北村 そう。「見るに見かねて」という方もいれば、「大河ドラマが心配だった」という方もいました。これが大河の最中にバレたらえらいことになると。
――なるほど。では北村先生はどんどん誹謗中傷の中身を知ることになった。
北村 なんか、ちょっとずつ悪くなっていくんです。内容がひどいものが1枚ずつ増えていく、みたいな感じでした。
止まらない「二次加害」――今回の件を機に、ツイッターで北村先生にさらなる攻撃をする「二次加害」が止まりませんが、こういうことは今までのご経験でもあったことですか。
北村 変なデマや言いがかりをしてくる人はいましたが、今回が一番ひどいと思いますね。規模も、数も。今までも私の発言をコンテクストから切り離して切り貼りして、わざと曲解するようなデマを流す人が多かったんですけど、今回はそれがさらに悪化している気がしています。
――被害者が、さらなる被害にさらされてしまう現状はとてもやるせなく腹立たしいことですが、でも北村先生はそういったツイートにも1つ1つリアクションしていますよね。
北村 なんでしょうね、やっぱり教育ですかね。普段から教育をしているので、知らない人には教えなくちゃいけないというのが強迫的にあるんだと思います。
 ただ、私に何かを言ってきて、返事された相手が何かを学ぶことはほとんどないんですよ。どちらかといえばそれらのやり取りを見てる人が何か学ぶことの方が多いと思います。
――ああ……。
北村 会話というのは教育の、哲学の基本と言われます。プラトンの対話篇では、ソクラテスは対話の相手をきちんと教育できるんですけれど、あれも実際対話を見ている人たちが教育されるプロセスだったんだと思います。ただ現状はソクラテスに比べるとちょっとレベルが低すぎて、どうしたらいいんだろうみたいな感じもある。
――研究者の方がツイッターをするときには、そういう側面が大きいのでしょうか。

北村 あぁ、でも私の場合基本的には特に何もない。私、常になにか書いてないと不安になるんですよ。過書字というんですか。子供のころからそうで、だからツイッターやっているという感じですね。
 詩人のオスカー・ワイルドってパーティーに行く度に面白いことを言っていたらしいんです。私オスカー・ワイルドすごく好きなんですけど、パーティーとかは苦手なんですよ。それでパーティーに行く代わりに、なんか気の利いた短いことを言える場所みたいな感じですね、ツイッターは。
おかしいと思うことにおかしいと言う子どもだった――北村先生は普段どんな研究をされているのですか?
北村 シェイクスピア研究ですが、私のやっているのは実際にテクストを読んで何かを解釈するというよりは、昔の人がシェイクスピアをどのように読んでいたかとか、今上演を見ている人がどのように受け止めているかとか。受容研究、ファン研究と言われるものですね。
 博士論文の時は、シェイクスピアの戯曲の本に当時の読者が書き込みしたものをトラッキング(追跡、分析)するという研究をしていました。その後はSNSなどを使ってシェイクスピアの上演に関する反応を抽出するとか、そのような研究をしています。
――北村先生はいつからフェミニストになったのか、きっかけのようなものはありましたか?
北村 うーん、きっかけは特にないですけど、おかしいと思うことにおかしいと言う子どもでした。それの何がいけないのか、よくわからなかったんですね。基本的に空気が読めなかったので。両親も少し変わっていて、「女の子なんだから」とかそういうことは全く言われない家庭でした。
――学校はきつくなかったですか?
北村 私、中学校にあんまり行ってなかったんですよ。教員にちょっといじめられて。
――それは……空気を読まずに異論を唱えるとか、勉強ができるからとか、そういう?
北村 たぶんそうだと思います。私だけテストの点数をみんなの前でバラされたり。たぶん私のことが嫌いだったと思うんですけど。
――歪んでますね……。勉強は好きでしたか?
北村 好きですね。学校に行けないことより、学校に行けないことで勉強できないことの方が辛かったです。
――勉強をすることで、何かが達成される感じですか?
北村 特に何かが達成されるというよりかは、純粋に知らないことを知るのが面白かったです。私、子供の頃に、世の中に知らないことがどれくらいあるのかわからないけど、それをできるだけ知りたいなぁとか考えていて。
――知識欲がすごい!
北村 ただこれは大人になって知ったんですけれども、シェイクスピアと同時代に活躍したクリストファー・マーロウの『フォースタス博士』というお芝居がありまして。世界の全てを知りたいと思って、結局悪魔と契約してしまう学者のお話。
 なんでもかんでも知りたいというのは、シェイクスピアの時代からあったんですね。しかも大人になるまでそれを保ってるというのは非常に危険なことなんだなって思いました。 以下割愛 1~2 まで 

北村紗衣氏

東大発オンラインメディア




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呉座 勇一氏

論座


呉座 勇一、日本の中世史を専門にする歴史学者。国際日本文化研究センターの非常勤の機関研究員を務める。東京都練馬区出身。生年月日: 1980年 (年齢 42歳)
女性蔑視発言2021年、呉座が自身のTwitterアカウントにおいて、自身の関係者のみが閲覧できる設定(いわゆる鍵つきアカウント)としていた上で、女性を蔑視する発言や女性への誹謗中傷を繰り返していたことが明らかになった。
北村紗衣への攻撃誹謗中傷の主たる対象の1人はフェミニズム研究者の女性・北村紗衣(武蔵大学准教授、当時)であり、呉座は長期間にわたり北村を名指しで攻撃していた。内容は次のようなものであった。

さえぼう【編者注:北村のハンドルネーム】の権利主張こそ「私はこんなにすごい研究者なのに女だから正当に評価されない!」というのが根底にあって、エリートとしての義務を果たそうとしているところを見たことがない
ぶっちゃけ、さえぼうは「自分は凄いのに(女性だから女性差別の日本社会では?)正当に評価されていない」と言いたいだけだよな。ポスドクが言うならわかるんだが、もう後進を指導していく立場なんだから、社会問題にみせかけた自分語りはそろそろやめたらどうなのか

これらの発言は当初は呉座の関係者のみが閲覧できるものであったが、閲覧者の一部がそのスクリーンショットを撮影して北村へ送信するなどして北村本人へ伝わっていった。北村は連日の攻撃により執筆業に支障をきたすほどの苦痛を受け、涙を流すこともあった。

呉座は翌2022年放送予定のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で時代考証担当の一人として務める予定であったが、2021年3月23日、呉座本人の申し出により降板した。
NHKは番組公式ツイッターで「自身のツイッター投稿の一部内容が不適切であった責任を取り、降板したいとの申し出がありました。番組制作サイドもその事実を確認し、降板していただくことにしました」と発表した。
呉座が勤務する国際日本文化研究センター(日文研)は3月24日、所長の井上章一の名で謝罪を掲載した。所長および副所長が呉座へ厳重注意を行ったうえで「引き続き経緯を精査し規則等に照らし適切な対処を行います」と報告した。
2021年4月6日、呉座は当該の自身のTwitterアカウント(@goza_u1)を1週間後に削除すると報告し、あらためて謝罪した。

日文研の人事権を持つ人間文化研究機構は、2021年9月13日付で呉座に停職1か月の懲戒処分を下した。
ウィキペディア


呉座勇一氏、大河ドラマ時代考証を降板 SNS巡り引責2021年3月23日 21時36分 朝日新聞呉座勇一氏 NHKは23日、来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証を担当する一人、国際日本文化研究センター助教の呉座勇一氏が降板したと発表した。NHKによると、呉座氏は自身のツイッターでの投稿内容の一部が不適切だったとして、責任を取って降板したいと申し出たという。制作側は、事実関係を確認して降板を了承した。




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