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アメリカ選挙の複雑怪奇さ

最終的に両党失墜か (トランプ大統領が負けた年のニュースを読んで知ること)2020/10/18(日)
■対話集会でそんな態度を見せたトランプ氏について、共和党の重鎮ミット・ロムニー氏が対話集会の翌日ツイートでこう警告した。「大統領が、昨夜、バカげた危険な陰謀論を進んで糾弾しなかったために、憂慮される状況が続く」。そして、ロムニー氏は共和党側だけではなく、民主党側にも疑問を感じているのだろう、こう続けている。「政治家も党も、アンティファや白人至上主義者、陰謀論者を否定することを強く拒んでいる。同様にやっかいなのは、彼らが、ワクチン反対派やミリシア(トランプ氏を支持する極右武装勢力)、アナーキストに対して沈黙していることだ。狂暴な過激派を追放するのではなく、甘やかし、取り込んで、彼らの原理と引き換えに大統領選で勝利しようとしている。両党が異常な状況に陥っているので、最終的に両党を失墜に追い込みうるような政治運動が起きるかもしれない」
 社会の分断から生まれた様々な過激派を放置している共和・民主両党の行き着く先に、ロムニー氏は国としての“アメリカの衰退”を見ているかのようだ。確かに、様々な過激派の存在を考えると、大統領選の結果、どちらの候補者が選ばれたとしても、政治運動や混乱が生じる可能性はあるかもしれない。

アメリカはいったいどこへと向かっているのか? (飯塚真紀子在米ジャーナリスト一部記事引用)

その過去の記事を読んでも、現在の選挙戦ニュースだと偽っても、だれもみな騙される。筆頭の目玉が「トランプ」ニュースとなっている点で、あまりアメリカに関心のない人にとっては、その程度なんだろう。

そんなことで昔のニュース記事を検索して、貼ってみたわけだ。その開票が出る前まで、共和党優位で「トランプ」再選(超安楽視)のような記事を書いていたが、どうも様子が違う。
トランプ(だいたい指名されない)が負けそうだし、Twitter買収済のマスクにとって、誰が大統領(アメリカ)というより、カードの切り方によって世界は動く、であり「米政治学者のイアン・ブレマー氏」の発言を否定している。

としても2024年のアメリカ選挙であって、まだまだ先が読めないのは誰でも知っている。

トランプ氏がついた「致命的に危険な嘘」 共和・民主両党失墜のリスクも 対話集会

2020/10/18(日) 14:18飯塚真紀子在米ジャーナリスト Yahoo!ニュース

(写真:nippon.com


nippon.com


 10月15日、トランプ氏の対話集会がフロリダ州マイアミで行われた。

 対話集会を見ようと、全米ネットワーク局のNBCテレビにチャンネルを合わせたが、なぜか、筆者が住むロサンゼルスのローカル・ニュースが放送されていたので、ケーブルチャンネルのMSNBCにチャンネルを変えてみると、そこで対話集会が中継されていた。

 一方、バイデン氏の対話集会は全米ネットワークのABCテレビで中継されていた。

 同時刻に、トランプ氏とバイデン氏の両候補が異なる全米ネットワーク局に登場した場合、トランプ氏が出る局の方が全米的には視聴率が上がることが懸念されていたことから、反トランプの民主党支持者が圧倒的に多いロサンゼルスでは、対話集会は視聴者がサブスクライバーに限定されるケーブル局でしか流されなかったのだろうか? そんな疑問も生じてしまったが、蓋を開けてみると、バイデン氏の対話集会の方が視聴率が高かった。

 対話集会に現れたトランプ氏は、インタビュワーの鋭い質問に対して、時に話をそらしながら、時に明確な回答を避けながら対応、もちろん過剰なまでの自信と自賛も忘れずに披露した。

致命的に危険

 集会の最後で「来年はこれまでになく良い年になる」と豪語したトランプ氏だったが、筆者が何より納得してしまったのは、対話集会そのものというより、対話集会後にトランプ氏の発言について解説したMSNBCのニュース・キャスター、レイチェル・マドー氏が見せた“信じられない”と言わんばかりの険しい表情と同氏の口からこぼれたため息だった。同氏は怒っているようにも見えた。感情を露わにせずには解説できないほど、トランプ氏の発言に呆れ返ってしまったのだろう。

 「致命的に危険だ」

 「嘘というだけではない。危険な嘘だ」

 マドー氏はトランプ氏の発言についてそう繰り返した。

 ちなみに、トランプ氏が新型コロナウイルスに関する偽情報の最大の発信源であることは、コーネル大学の調査で最近明らかになった。詳しくは、現代ビジネスオンラインに“やっぱりヤバすぎるトランプの「コロナデマ拡散力」…コーネル大の調査が示したこと”という記事を寄稿したので、読んでほしい。

 さて、トランプ氏の何が、マドー氏に危険と言わしめたのか?

 例えば、新型コロナウイルス感染について、トランプ氏は「肺が少し違って見えた」と医師から言われたことは明かしたものの、多くの人々が前から知りたいと考えている、検査で陽性になる前に最後に陰性だったのはいつかということは明らかにしなかった。

 また、第1回目の大統領候補討論会の日に新型コロナウイルス検査を受けたかとの質問に対しても、トランプ氏は「思い出せない。受けた可能性もあるし、受けなかった可能性もある」とはぐらかすような回答をした。

 「集団免疫」を支持するかという質問についても、明確な回答を避けた。

“マスク着用者の85%が感染する”という嘘

 何より、マドー氏が「間違っている危険な嘘だ」と主張したのは、トランプ氏が「CDC(米疾病対策センター)はマスクをつけている人の85%が感染すると言っている」と言及したことだ。CDCはすぐに「マスクをつけている人がつけていない人と比べてより多く感染するという解釈は間違いだ」とツイートして、トランプ氏の発言を訂正した。

 アメリカは今、感染拡大の第3波に襲われている。そんな中、「マスクをつけている人の85%が感染する」発言。そんな発言をきいたら、それでなくてもマスクをつけていないトランプ支持者はなおさらマスクをつけなくなるかもしれない。マドー氏が危険という言葉を何度も口にしたのは当然のことだ。自ら感染したにもかかわらず、トランプ氏のマスク軽視は今も続いている。

 トランプ氏はまた、アメリカの新型コロナウイルスによる死亡率の低さも自慢したが、アメリカと同じような富裕国と比べた場合は死亡率が高いことも指摘された。

 また、8月に新型コロナウイルス対策タスクフォースの顧問になったスコット・アトラス博士についてトランプ氏は「世界でも偉大なエキスパートの1人だ」と褒め称えたが、同氏は放射線科医であって、感染症のエキスパートではないことが問題視されている。

 トランプ氏は中絶する権利を認めているローウェイド判決をひっくり返したいかという質問への回答も避けた。

 先日、米紙NYタイムズが暴露した421ミリオンドルの債務がある状況については「私の総価値のほんの一部だ。400ミリオンドルははした金だ」と一蹴した。

Qアノンを非難せず

 しかし、対話集会での発言で最も危険視されたのは、トランプ氏がQアノンというカルト集団を非難しなかったことだ。

 Qアノンは“民主党議員やハリウッドスターたちは悪魔崇拝と児童虐待に関与しており、トランプ氏は彼らのような悪のエリートと戦っている”というトンデモ陰謀論を展開している。この陰謀論の創始者である“Q”は、特別検察官のロバート・ムラー氏が捜査していたのは大統領選へのロシア介入疑惑ではなく、児童に対する性犯罪の捜査だったというデタラメな主張まで行っている。

 トランプ氏はそんなQアノンの陰謀論についてきかれた時、こうはぐらかした。

 「Qアノンのことは何も知らない」

 しかし、トランプ氏は何も知らなかったわけでもなさそうだ。8月に、ホワイトハウスの記者にQアノンについてきかれた時、こう話していたからだ。

 「そのムーヴメントについてはあまり知らない。彼らが私のことをとても好きだということは知っているよ。そのことは感謝する。彼らは人気を得始めていると聞いたよ。国を愛している人々だと聞いたよ」

 また、トランプ氏は「米海軍特殊部隊はパキスタンでオサマ・ビン・ラディンの影武者を殺害したのであり、ビン・ラディンは今も生きている」とするQアノンの陰謀論ツイートをリツイートしていたが、それは米海軍特殊部隊を侮辱するものだとして批判されている。トランプ氏はそのリツイートについて「人の意見をリツイートしただけであり、どう考えるかは人が判断することだ」と言って、はぐらかした。

最終的に両党失墜か

 対話集会でそんな態度を見せたトランプ氏について、共和党の重鎮ミット・ロムニー氏が対話集会の翌日ツイートでこう警告した。

 「大統領が、昨夜、バカげた危険な陰謀論を進んで糾弾しなかったために、憂慮される状況が続く」

 そして、ロムニー氏は共和党側だけではなく、民主党側にも疑問を感じているのだろう、こう続けている。

 「政治家も党も、アンティファや白人至上主義者、陰謀論者を否定することを強く拒んでいる。同様にやっかいなのは、彼らが、ワクチン反対派やミリシア(トランプ氏を支持する極右武装勢力)、アナーキストに対して沈黙していることだ。狂暴な過激派を追放するのではなく、甘やかし、取り込んで、彼らの原理と引き換えに大統領選で勝利しようとしている。両党が異常な状況に陥っているので、最終的に両党を失墜に追い込みうるような政治運動が起きるかもしれない」

 社会の分断から生まれた様々な過激派を放置している共和・民主両党の行き着く先に、ロムニー氏は国としての“アメリカの衰退”を見ているかのようだ。

 確かに、様々な過激派の存在を考えると、大統領選の結果、どちらの候補者が選ばれたとしても、政治運動や混乱が生じる可能性はあるかもしれない。 アメリカはいったいどこへと向かっているのか? 

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