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アナログ活字新聞~過激衰退の日本メディアの憂鬱

夕刊フジが来年1月で休刊か 「引き金はトラック運送費の値上げ?」ライバル紙が「むしろ大ピンチ」と戦々恐々するワケ
2024年7月26日 19時14分 デイリー新潮
 産経新聞社が発行する「夕刊フジ」が来年1月で休刊するとの情報が駆け巡っている。きっかけは23日、近藤哲司社長が社員に開いた説明会だった。創刊から55年。駅の売店でお馴染みだった「オレンジ色の見出し」は姿を消すのか。

 【写真】「餃子」「からあげ」「ポテチ」を販売、居酒屋まで展開する新事業に乗り出した「東京スポーツ」


夕刊フジ


「2006年からずっと赤字経営だった」 ある産経社員がこう語る。

「突然、夕刊フジの社員が14階の社長室に来るよう呼び出されたのです。前々から社内外で噂されてきましたが、とうとうこの日がやってきたのかと」

 そこで近藤社長から「来年1月いっぱいで休刊する」との発表があったという。

夕刊フジ 「『インターネットが普及し出した2006年頃からずっと赤字で、厳しい経営が続いてきた』『紙代がここ2年で40パーセントも急騰した』との話もありました」(同)

 雇用は維持されるので「チャレンジャー精神を持って新しい部署で頑張ってほしい」との説明もあったが、
「全く違う職種に割り振られるのではないかと不安を抱えている社員は多い。この数年ネット記事に力を入れるよう言われ、業務量が増えるなか頑張っていたところだったのでみんな落胆の色が隠せません」(同)

3社で割り勘だったのに…ライバル紙から上がる「悲鳴」

 同紙が日本初の駅売りタブロイド紙として創刊したのは1969年のこと。75年には「日刊ゲンダイ」も加わり、「東京スポーツ」とあわせた夕刊紙3紙で長らく競ってきた。

「一面に載る鋭い政治批評には定評があった。90年代後半、野茂英雄が大リーグで活躍していた頃は試合結果をいち早く読みたいと飛ぶように売れ、発行部数が首都圏で100万部、関西圏で50万部を超えた。2008年には、霞ヶ関の官僚たちの間で横行していた『タクシー居酒屋問題』をスクープして名をあげました」(他紙デスク)

 だが、近年はインターネットに顧客を奪われ、部数が低迷していた。

「10年くらい前に大リストラして100人以上いた社員を50人くらいまで減らしたのですが、それだけでは追いつかなかったということです」(前出・産経社員)

 ある業界関係者は「引き金となったのはトラック運送費の値上げではないか」と語る。

「トラック運転手の残業規制が強化された、いわゆる『物流の2024年問題』です」(関係者)

 これが原因で実はライバル紙にとって、追い風どころかピンチになるというのだ。

「3紙は休刊日を同じ日に合わせ、新聞を運ぶ輸送費を”割り勘”にして糊口をしのいできた。夕刊フジが休刊となれば、3等分だった割り当て分が2等分になるわけで、業界内は上を下への大騒ぎです」(同)

居酒屋までオープンした東スポ
 厳しい台所事情が続く夕刊紙にあって、生き残りをかけてユニークな取り組みを続けているのが東スポだ。ネットニュース部門を強化し、強みの競馬を活かしてサブスク事業を展開。そればかりか21年からは「東スポ餃子」「東スポからあげ」など、畑違いの食品販売事業も手がけるようになった。

「今年1月からは上野に『東スポ居酒屋・青ノ山』もオープン。東スポ餃子や東スポからあげをメニューとして出すだけでなく、東スポ主催のイベントスペースとして活用しています。もはや新聞社とは言えない業態になりつつあります(笑)」(東スポ関係者)

 産経新聞社に休刊について問い合わせたが、「お答えすることはありません」(広報部)との回答だった。

デイリー新潮編集部



第171回芥川賞・直木賞、選考委員が語る講評 「真っ二つに分かれ」直木賞受賞を逃した作品とは?  2024.07.26 朝日新聞文化部
17日に決まった第171回芥川賞・直木賞の受賞作は、それぞれどのような点が評価されたのか。選考委員の講評から振り返る。

 芥川賞は朝比奈秋さんの「サンショウウオの四十九日」(新潮社)と、松永K三蔵さんの「バリ山行(さんこう)」(講談社、25日発売予定)に決まった。1回目の投票では朝比奈さんが票を集めたが「2回投票をした結果、最終的にこの2作が同じくらい票を集めた」と選考委員を代表して川上未映子さんが説明した。

 「サンショウウオの四十九日」は、一つの体を共有する結合双生児の姉妹が主人公。右半身と左半身で人格が違う姉妹の身体感覚や思考を通して、自己と他者の境界線のあいまいさを描く。「極端な条件が前提の小説なので、深刻に書くこともできる。にもかかわらず、ユーモラスに描くことに成功している」と評価された。

 「バリ山行」は、社内の登山部に参加する男性会社員が主人公。「いくらでも奇をてらうことのできる小説世界のなかで、書くべきものを地に足を着けて書いている」と賛辞が送られた。

 直木賞は一穂ミチさんの「ツミデミック」(光文社)に決まった。選考委員の三浦しをんさんによると、投票で一穂さんと麻布競馬場さんの「令和元年の人生ゲーム」(文芸春秋)の2作にしぼられ、議論の結果、一穂さんに。「麻布競馬場さんは強く推す人と全く推さない人が真っ二つに分かれた。一穂さんは絶対ダメという人がおらず、圧倒的だった」

中略

「バラエティーに富んだ登場人物の心情や言動がリアルで、彼らの生活や心の中を自分が体験したような気持ちになった」と評された。

 「令和元年の人生ゲーム」は令和の若者たちの仕事意識をテーマにした連作短編集。「Z世代」が集うシェアハウスなどを舞台に、意識が高い若者たちと、その行動に戸惑う人々の姿を描いた。

 「小説であまり書かれてこなかった〈陽キャ〉の人たちのあせりや苦しみを解像度高く描いており、その観察力を評価する声があった」。一方、「判断するにはもう1作みたい」との声もあり、受賞を逃したという。(田中瞳子、野波健祐)=朝日新聞2024年07月24日掲載


■ 夕刊フジ ウイキペディア

夕刊フジは、産業経済新聞社(通称「産経新聞社」)が発行している日本の夕刊紙。関東・近畿での即売が中心。発行日は原則日曜日と祝日を除く毎日。ただし年末年始は、12月29日に元日付け「新春特別号」を発行し、12月30日〜1月3日休刊。日本新聞協会・共同通信社に、同じ産経新聞社が発行する一般紙の産経新聞、スポーツ紙のサンケイスポーツとは別々に加盟している。

日本初・唯一の駅売りタブロイド紙として、1969年(昭和44年)2月25日に創刊し、翌年、産業経済新聞社から子会社として分離されたフジ新聞社へ発行元を移行した。しかし、1987年(昭和62年)にサンケイスポーツ新聞社と共に産経新聞社本体に吸収合併され現在に至る。
紙名は会社側の説明では富士山に由来するとされているが、同じフジサンケイグループのテレビ局フジテレビジョンのフジに通じる面もある。産経新聞社第3代・フジテレビ第2代社長鹿内信隆は、フジテレビを開局する際に「庶民に愛されなくてはならない。ポピュラーなものでなくてはならない。日本でポピュラーと言えば、桜と富士だから」と局名を提唱し、ゆくゆくは一般紙の産経新聞もフジ新聞に改題したいという願望を持っていたとされる。しかし、創業者の前田久吉ら関西出身の幹部から「関西ではフジでは通りが悪い」と言われた。
そんな時にフジネットワークの準キー局関西テレビの社長を兼務していた京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)第8代社長小林米三から「夕刊をフジにしたらええがな」とアドバイスされ、紙名を決めると共に、産経新聞は『サンケイ』に改題することにしたという。
「産経新聞#題字と地紋、およびその配置」および「フジテレビジョン#略称について」参照

創刊の際には、産経新聞社の東京・大阪両本社から精鋭が集められ、エース級の記者が集結した。事実上、産経(サンケイ)新聞からのスピンオフ新聞である。創刊号の1面を飾ったのは、参議院議員だった。見出しは「慎太郎新党躍り出る」(青嵐会)。この特ダネを物にした山崎幸雄は、FNS系列局福井テレビの第4代社長に栄転した。
2002年3月までは、親紙・産経新聞東京本社も夕刊を発売していた(大阪は後述の通り、大阪新聞を統合したうえで夕刊を継続している)が、その産経本紙の夕刊休刊後時事的な記事は当新聞に事実上統合されるようになった。
題字のデザインは、グラフィック・デザイナー杉山高子が手がけた。見出しにはオレンジ(橙)色を採用したことから「オレンジ色のニクい奴」というキャッチコピーが付き、2015年(平成27年)現在、1面に「オレンジ世代 応援宣言」のキャッチコピーが付されている。
なお、オレンジ色に白抜きの題字は、2006年9月5日号(9月4日発行)から消滅した。

発行所
東京本社 東京都千代田区大手町一丁目7番2号
大阪本社 大阪市浪速区湊町二丁目1番57号
対象地域
東京本社版:関東、甲信越、静岡県、東北、北海道
大阪本社版:近畿、東海3県、北陸、中国、四国、九州(沖縄県を含む)

※首都圏では2002年3月の産経新聞東京本社版の夕刊休刊と同時に夕刊時の宅配が廃止され、宅配は広義の産経新聞朝刊との一回配達と同義になった(大阪本社の統合版地域(西部本部管轄の山口県・沖縄県を含む九州は宅配不可)も発行日翌朝の朝刊配達時の広義の一回配達である)。一部地域は翌朝以降に駅売店・コンビニエンスストアのみで販売。
静岡県では紙版の即売での取り扱いが2020年10月以降ほぼ無くなった。
2023年10月から輸送費コスト削減のため、茨城県の即売も朝刊帯での販売となる。
「産経新聞#東京本社管内の夕刊廃止」および「産経新聞東京本社#東京本社管内の地方版」※大阪本社版は、東京の産経本紙の夕刊休止となった2002年4月以後も、体裁上大阪新聞との統合という形で産経本紙としての夕刊を継続して発行しているため、併売されている。宅配される版は、大阪市内では基本B版。
※福岡県福岡市にある産経新聞西部本部では印刷・発行を行っていないが、JR博多駅と西鉄福岡(天神)駅、福岡市営地下鉄天神駅の売店で、関西版のC版を午後4時以降に発売している。新大阪駅からJR山陽新幹線に乗せられ発送される。
※名古屋市内では、名古屋駅や金山駅などJR・名鉄・近鉄[注 4]・地下鉄の売店や一部コンビニで、関西版の早版をお昼過ぎ以降に発売。こちらも新大阪駅から東海道新幹線で輸送している。
※JR札幌駅など北海道札幌市内の主要駅売店では東京本社最終版を、福岡県北九州市のJR小倉駅では大阪本社C版を、それぞれ朝刊扱いとして販売している。このため、1日遅れの内容となっている(番組表などの差し替えは無し)。
電子版
産経新聞社子会社の産経デジタルが販売する産経電子版・スマホ向けアプリでは発行日の午後5時に翌日付の紙面が更新され、地方でも遅れなく配信される。
産経電子版では、産経新聞の電子版とのセット売りが行われている。また九州島内と山口県に限り、産経新聞九州・山口特別版の紙版および電子版と、夕刊フジ・サンケイスポーツ電子版のセット売りが行われていたが、2023年8月に親紙の産経新聞の紙版が3900円(大阪本社夕刊とのセットは4900円)に値上げしたことを受けて紙版とのセットは廃止され、別途1100円の電子版購読料(産経新聞電子版とセットなら2640円)が必要となった。
スマホ版の夕刊フジforAndroidは2011年7月29日よりサービス開始
詳細は「産経電子版#利用法」および「産経新聞西部本部#販売」
なお、スマホ向け専用アプリ(『夕刊フジforAndroid』『産経新聞HD』)から購読した場合は、パソコンでの閲覧は出来ない。パソコンでも閲覧したい場合は、産経電子版を契約し、産経電子版専用のアプリを使う必要がある。
印刷工程
夕刊フジは、東京本社版は原則として産経新聞印刷江東センター(東京都江東区)、大阪本社版は産経新聞印刷大淀センター(大阪市北区)で印刷しているが、東京都心で販売される分の一部のみ、東京都千代田区大手町の産経新聞東京本社隣にある読売新聞東京本社地下の工場で印刷していた。これはできる限り締切を遅らせることによって、東京証券取引所の終値などの記事の掲載を可能にするための措置であった。読売新聞ビルへの建て替えに伴い印刷工場が閉鎖されたため、2010年(平成22年)8月でこの措置は終了した。
「読売新聞ビル#初代大手町社屋」および「読売新聞東京本社#工場」
読売新聞グループへの委託が行われていた頃は、中央競馬の枠順確定や、東証の大引けに合わせて一日最大三版の体制が組まれていた。中央競馬の開催前日となる金曜日と土曜日は、午前10時以前に印刷され、木曜日の15時45分頃に発表された出走馬決定表を馬名のアイウエオ順に掲載した『A版』と、午前10時頃に発表された枠順・馬番号入りの確定出馬表を掲載する『B版』、そして東証の終値を掲載した『C版』という具合であった。このため競馬開催前日には、どうしても早刷り版を並べる必要がある東京都心のごく一部の駅売店を除いて、『A版』の流通を極力絞るようにしていた。なぜなら競馬は枠順・馬番号が決まらなければ、勝馬投票券を発売することができず、ファンも同様に予想を立てられなくなるためであり、過去には出走馬決定表をそのまま確定出馬として発売してしまった専門紙『ぐりぐり◎』が創刊からわずか3週間で廃刊に追い込まれた例もある。
詳細は「馬三郎#備考」および「アクセラ (企業)#事業展開」
2022年現在は、東京本社版でも中央競馬の枠順確定がない月曜日から木曜日までは「AC統合版」という一日一版体制、金曜日と土曜日は『A版』と『BC統合版』という一日二版体制で印刷。電子版は1日1回、日本時間17時に更新されるため、中央競馬の枠順発表に関係なく『D版』と呼ばれる一日一版体制である。競合紙の日刊ゲンダイや東京スポーツも同様の体制を取っている。
なお、産業経済新聞社では2009年(平成21年)10月1日付から『産経新聞 九州・山口特別版』を発刊しているが、夕刊フジ・サンケイスポーツなど産経本紙以外の発行媒体については九州版(山口・沖縄含む)の現地印刷・発行は行わない(後述)。
詳細は「産経新聞西部本部#産経新聞社発行の僚紙について」
価格
2008年10月2日号(10月1日発行)から、1部売りが120円から130円に、2014年4月2日号(4月1日発行)からは130円から140円に、2019年4月2日号(4月1日発行)からは140円から150円に、2022年1月5日号(1月4日発行)からは150円から160円に、2023年3月7日号(3月6日発行)からは160円から180円に値上げした。月極め購読料は、2023年4月の発行分より4,100円である。
ネット事業
1996年8月より公式ウェブサイト「ZAKZAK」を開設、日本におけるインターネット普及初期からネットでのニュース記事配信を行っている。夕刊フジの紙面からの転載だけでなく、ネット限定記事の配信も行っており、中には「ZAK THE QUEEN」や「アニメ☆声優」のような内容的に夕刊フジの紙面では見ることが希な記事も配信している。
また、2004年7月22日から2009年6月末にかけて、ファンコミュニケーションズと共同で、新聞社としては初のブログサイト「夕刊フジBLOG」を開設、コラム記事の掲載や個人ブログへの見出し配信、コメントやトラックバックで記事に対する批評や意見をうけつけるなど、様々な試みを行っていた。
2019年には、創刊50周年を記念して、夕刊フジの新音楽プロジェクト『夕刊フジミュージック』をスタートさせ、ザ・ゴールデン・カップス、BOWWOW、EARTHSHAKERなどのイベントをプロデュースし、YouTubeでもライブの模様を配信している。

紙面・論調 (2025年1月 休刊発表)

資料 ウイキペディア

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