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調律師へのお茶出しについて。それともっと大事なこと。
ピアノ調律師を呼ぶときに、結構みなさん気にされているのが「調律師へのお茶出しをどうすれば良いのか」
これを知ったときにびっくりしたと同時に、ありがたいなと思いました。
そもそもこちらは仕事でお邪魔していると言うのに...みなさん当たり前な感じで迎えて頂いてるように見えますが、当然いろいろと考えてくれているんだよなあと。
たしかに調律を頼むのが初めてだったり新しい調律師を呼ぶときなど、他のお宅はどうなんだろう?なにもしないのはどうなのかな?逆に作業の邪魔にならない?とか、コロナ禍も明けてきたので色々考えてしまいますよね。
多くの調律師がこう答えると思いますが、本当にお茶のお気遣いは全く不要なので気にしないでください。でも本音を言うともちろんお気持ちはものすごく嬉しいです。実際帰り際に頂いたお菓子を気に入って自分でも買うようになったことも何度もありますし。
そのあたりは仕事と切り離した個人的なお付き合いとして楽しんでいます。
作業的なことや健康上の理由などで何かある場合は、それぞれ調律師側から話があると思いますので。(ちなみに僕は作業前に「まずはお茶でも...」とお声がけ頂いたときにはお断りしています。まずは作業を始めないことにはさすがにね...)
そう言えば昔、中学生の息子さんが1人でお立ち会いだったとき、たぶん「なにかしなきゃ!」と思ったのか...調律中のアップライトピアノの上に不慣れな感じでコップに入ったお茶を置いていってくれたことがありました。もちろんそっと降ろしました。笑
それでここから本題なんですが…お茶出しのことよりも大事な、お客さんの損になってしまうのでこれだけはお願いしたい!と言うことが2つだけあります。
ピアノの上に物がどっさりはもったいない
ピアノの上って物置になりがちです。置きやすいんですよね。
ピアノの上に物を置くことの是非はひとまずおいといて...調律するにはピアノの上のものは必ず全て降ろす必要があります。ピアノの上って大事なものや壊れ物が乗っていることも多いので、基本的に僕は手を出さずお客さまに降ろして頂くようお願いしています。
その分大事な作業時間が減ってしまいますし、焦って片付けるのも危ないので、調律師が来る前にはピアノの上の物を降ろしておいて頂くのが絶対にお得です。
ピアノを組み立てているとき、まだ終わりじゃないんです!
調律が終わってピアノを組み立てていると、終わりの気配を感じて気を使って話しかけてくれたり、お会計をしてくれようとするケースがあります。それこそ早めにお茶を出していただいたりも。
たしかに作業は終わって後は片付けだけ…に見えるんですが、実はピアノの組み立てはかなり神経をつかう大事な調律作業の一部なんです。
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組み立てながらピアノをチェックをして「本当に作業を終わらせて大丈夫か、ピアノが良い感じになっているか」などを確認しています。自分のやった仕事を厳しく審査するタイミングでもあります。組み立てないとわからない不具合もあったりするので、その場合はもう一回バラすつもりですらいます。
組み立てが終わり、お客さまが弾くときと同じ状況で椅子に座って弾いてみて、OKであればそこでやっと自信を持って完了です。
せっかくきちんとメンテナンスをしていても、ここを疎かにすると後々つまらない不具合が出て台無しになってしまう大事な部分。
そう、ピアノを閉めるまでが調律なんです。
なので調律師から「終わりました」と言われるまでゆっくりお待ち頂けるとありがたいです。
以上、面と向かってはなかなか言いづらいけれど大事なことをお伝えする回でした。
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