昭和の海外文通
中学生の時、海外文通が流行っていました。
今では考えられないですね。
普通の女の子が買うようなファッション雑誌に、文通あっせん会社の広告が大きく出ていたんです。
その広告はこんな感じ。
文通相手から送られてきた海外のぬいぐるみやお菓子をベッドに山盛りにして微笑むかわいい女の子。
「留学気分!」「英語ができなくても大丈夫。文例テキストがついてきます」
といった広告文が気分を盛り上げてきます。
すっかりその気になり、母に頼み込んで入会しました。
年会費一万円ぐらいだったかな。
自分のプロフィールを送ると、マッチングされた相手のものが送られてきます。
私の相手はアメリカのインディアナ州在住の14歳の女の子、ステイシーでした。
文例集ほとんどそのまま、自己紹介の最初の手紙をかきました。
セーラー服姿の自分の写真も入れました。
ほどなくして返事が届きました。ステイシーからの写真入りです。
想像よりかなりガタイがよく30歳ぐらいに見えました。
うっすらと落胆しましたが、大切な文通相手を逃してはなるものかとがんばって手紙を出し続けました。
「お正月になると私達はキモノというトラディショナルな民族衣装を来て神社に行きます」
「雛祭りはガールズフェスティバルです」
文例集まるうつしの退屈な文章でしたが、ステイシーは喜んでくれました。
やがてクリスマスが近づき、お互いにプレゼントを送り合うことになりました。
アメリカの女の子が喜ぶものって何だろう?
めちゃくちゃ考えた挙げ句、
金曜ロードショーでやっていた「フラッシュダンス」を録画したVHSビデオテープにしました。
何でそんなものを…。
吹き替えだから、みんな日本語を話しているのが面白く感じるに違いないと思ったのです。
私が親なら絶対に止めるけど。
ステイシーからは真っ赤なステッキの形の飴、天使の形の金属製のしおり、アイスホッケーに使う棒の形のなにか、が届きました。
飴はすごくまずかったです。
文通は一年ほど続いて自然消滅しました。
文例集以外のことを書こうと、
「もし私がバンドを作ったら、バンド名は何がいいかな?」と聞いてみたことがありました。
ステイシーが考えてくれたのは
“Reiko(←本名) and the shooting stars”
です。
これは今でもほんのり面白い。