
Power BI グラフ活用術 -見えないものまで思考を巡らせて- バブルチャート編
概要(目的・背景)
データ分析の現場では、複数の変数間の関係性を理解することが重要です。特に、売上や利益、顧客数などのビジネス指標間の相関を把握することで、効果的な意思決定が可能となります。しかし、数値データをただ眺めるだけでは、その関係性を直感的に理解することは難しいものです。そこで、データの関係性を視覚的に表現する手法として、「バブルチャート」を紹介します。バブルチャートは、散布図にデータの大きさ(バブルのサイズ)という要素を加え、3つの変数を同時に表現できるグラフです。本記事では、Power BIを用いてバブルチャートを作成し、データを4象限に分割し、バブルの位置やサイズを視覚化することでビジネスに活用する方法をご紹介します。
読み手(誰に向けた記事か?)
本記事は、データ分析に興味を持つ中級者を対象としており、特にPower BIを活用して業務の効率化やデータの可視化を図りたいと考えているビジネスパーソンやエンジニアの方に向けた内容です。すでにPower BIの基本的な操作を理解しているものの、バブルチャートの作成方法や4象限のまとめ方を深く学びたいと考えている方にも、有益な情報を提供します。さらに、データを活用してビジネス上の洞察を得ることを目的とするビジネスアナリストの方にとっては、新たな分析手法の発見や応用のヒントが得られるはずです。
本記事を通じて、これらの読者の方がPower BIを活用してバブルチャートを作成し、データの関係性を視覚的に理解することで、業務の効率化や意思決定の質の向上につながることを目指しています。
ブログの目標設定(具体的な目標)
本記事の目標は、以下の通りです。
バブルチャートのメリットと活用シーンの把握
バブルチャートの利点や、具体的な活用シーンを知り、実務に応用できるようになる。
Power BIでのバブルチャート作成手順の習得
読者が自身のデータセットを用いて、Power BI上でバブルチャートを作成できるようになる。
これらの目標を達成することで、読者はデータ分析のスキルを向上させ、業務やプロジェクトにおいてデータによる意思決定を行う力を身につけることができます。
方法(アプローチ・使用技術)
バブルチャート
バブルチャート(Bubble Chart)は、データを 「3つの変数」 で表現するグラフの一種です。各データポイントを「円(バブル)」で表し、X軸・Y軸・バブルのサイズの要素を同時に可視化できます。

バブルチャートの読み方として、基準を設定し、各バブルの位置づけを明確にする必要があります。このとき、X軸とY軸に平均線を引くことで、4象限として理解しやすくなります。
4象限に分割した後、各象限の特徴を整理し、次のアクションとして何が取れるのかを検討します。また、4象限に配置されたバブルのサイズに着目して取り組むことで、改善のインパクトが大きくなるため、優先順位付けに活用することもできます。

4象限で整理するビジネス分析手法は多々あるため、参考までに3つの分析手法と各軸の例を記載します。

Power BIでバブルチャートを作成します。
本記事で作成するバブルチャートは、エンゲージメントスコアを用いて作成します。X軸とY軸は以下の構成で作成します。
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X軸:職場環境(エンゲージメントサーベイ スコアの平均)
Y軸:人間関係(エンゲージメントサーベイ スコアの平均)
データポイント:組織(Department)
データポイントのサイズ:従業員数(User Principal Name のカウント)
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データの取り込みを完了したPower BIファイルは下記の添付ファイルです。
サンプルデータを取り込んだテーブル・ビジュアルを完了していますので、添付ファイルを操作してバブルチャートの動作イメージをご確認ください。
1.バブルチャートを作成する
①.ビジュアルから散布図を選択する。

②.以下の値を設定する。
値:Department
X軸:職場環境 の平均
Y軸:人間関係 の平均
凡例:Department ※バブルの凡例色を設定するため
サイズ:User Principal Name のカウント

2.平均線を設定する。
①.系列にて「職場環境の平均」を選択。データラベルを「ON」にする。

②.スタイルを「双方向」、表示形式を「なし」少数点以下の桁数の値を「1」にする。

③.系列にて「人間関係の平均」を選択。データラベルを「ON」にする。

④.スタイルを「双方向」、表示形式を「なし」少数点以下の桁数の値を「1」にする。

以上でバブルチャート完成です。
スライサーに役職(LevelDisignation」を設定することで、役職視点で見ることができます。

バブルは「組織」単位で集計していますが、集計された組織のうち特定の役職に絞り込むことで、バブルの位置が変化するかどうかを検証できます。スライサーを活用し、現場の仮説を検証することで、新たな気づきを得られると考えます。

まとめ(結論と今後の展望)
本記事では、Power BIを活用したバブルチャートの作成方法と、4象限でのデータ分析手法について解説しました。バブルチャートを用いることで、複数の指標を一目で把握し、ビジネスにおける意思決定のスピードと精度を向上させることが可能です。散布図を用いたグラフは、バブルチャート以外にも、相関分析や回帰分析にも活用することができます。読者の皆さまには、ぜひPower BIでバブルチャート以外にも取り組んでいただき、業務の課題解決に役立てていただけますと幸いです。
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