
Power BI グラフ活用術 -見えないものまで思考を巡らせて- パレート図編
概要(目的・背景)
データ分析において、重要な要素を特定し、効率的に問題解決を図ることは非常に大切です。その中で、「パレート図」は、全体の中で特に影響力の大きい要因を視覚的に示す手法として知られています。パレート図は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した「80:20の法則」に基づいており、全体の80%の成果が20%の要因から生み出されることを示しています。例えば、売上の80%は全顧客の20%が生み出しているといったケースです。しかし、パレート図を手動で作成するのは手間がかかり、データ量が多い場合には特に困難です。そこで、Microsoftのデータ可視化ツールである「Power BI」を活用することで、効率的かつ効果的にパレート図を作成し、データ分析を行うことが可能となります。本記事では、Power BIを用いてパレート図を作成する方法や、そのメリット、具体的な活用シーンについて詳しく解説します。
読み手(誰に向けた記事か?)
本記事は、データ分析に関わるビジネスパーソンやエンジニアを対象とした内容となっています。特に、データの可視化や分析手法を学び始めた初学者にとって、Power BIを活用したパレート図の作成方法を理解する手助けとなることを目的としています。また、基本的なデータ分析の知識を持ち、さらに高度な手法やツールの活用を模索している中級者にとっても、有益な情報を提供します。
本記事を通じて、読者はPower BIを用いたパレート図の作成手順を理解し、それを業務に活用することで、より効果的なデータ分析を実現できるようになります。
ブログの目標設定(具体的な目標)
本記事の目標は、読者が以下のポイントを理解し、実践できるようになることです。
1. パレート図のメリットと活用シーンを把握する
パレート図を使用することで得られる利点や、具体的な活用場面を紹介し、読者が実際の業務で活用できるようにします。
2. Power BIでパレート図を作成する手順を理解する
読者がPower BIを用いてパレート図を作成できるよう、具体的な手順を提供します。
これらの目標を達成することで、読者はPower BIを活用したパレート図の作成方法を習得し、データ分析の質と効率を向上させることができるでしょう。
方法(アプローチ・使用技術)
「80対20の法則」パレートの法則
「80対20の法則」(パレートの法則)とは、「全体の結果の80%は、全体の20%の要因によって生み出されている」という経験則です。イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見したことから「パレートの法則」とも呼ばれます。パレート図は、この「80対20の法則」に基づいて、構成される図です。

パレート図は、この「80対20の法則」に基づいて、影響の大きい要因を特定するのに役立ちます。例えば、売上に貢献している主要な商品や、最も影響の大きいトラブルの原因を可視化することで、優先的に対応すべきポイントを明確にできます。

パレート図は、主に「80対20の法則」に基づき、影響の大きい要因を特定するために使われますが、逆に「ロングテール戦略」にも活用することができます。ロングテール戦略とは、売上の大部分を占める主要商品(上位20%)ではなく、市場全体のニッチな商品(下位80%)を活用し、トータルの売上を伸ばす戦略のことを指します。
多くのニッチ商品が少しずつ売れ続け、ロングテール領域の販売を強化することで、収益の最大化や、商品バリエーションの豊富さが顧客満足度を高めることにつながります。

パレートの法則とロングテール戦略を整理した結果です。

パレート図を活用してデータを可視化し、マーケティングや在庫管理の施策を適切に行うことが重要です。これにより、ヒット商品とニッチ商品のバランスを最適化し、ビジネス全体の成長につなげることができます。
前置きが長くなりましたが、Power BIで箱ひげ図を作成します。
本記事で作成するパレート図は、会議主催数(回数)を用いて作成します。
X軸とY軸は以下の構成で作成します。
X軸:従業員(User Principal Name)
左側のY軸:会議主催数(回/月)
左側のY軸:会議主催数の累積構成比(%)
------
データの取り込みを完了したPower BIファイルは下記の添付ファイルです。
サンプルデータを取り込んだテーブル作成を完了していますので、添付ファイルを操作して箱ひげ図の動作イメージをご確認ください。
まず、累積構成比(%)をメジャーで作成します。
1.「新しいメジャー」を選択する。

2.以下の設定を入力する。
オリジナルのデータでDAXを設定するときは、X軸とY軸のテーブル名・列名を修正して活用ください。
---下記コードの変数---
X軸:'EmailActivityUserDetail'[User Principal Name]
左側のY軸:'EmailActivityUserDetail','EmailActivityUserDetail'[Meeting Created Count]
-------------------------
Line graph =
//x軸の基準値を取得
//現在のフィルターコンテキストで選択されているユーザー (User Principal Name) を取得する。
VAR x_axis =
SELECTEDVALUE ('EmailActivityUserDetail'[User Principal Name])
//全ユーザーの会議作成数を集計したテーブルを作成
//SUMMARIZE 関数を使用し、各ユーザーごとの合計会議作成数を求める。
VAR S_Table =
SUMMARIZE(
ALLSELECTED('EmailActivityUserDetail'),
'EmailActivityUserDetail'[User Principal Name],
"Sum",SUMX(
'EmailActivityUserDetail','EmailActivityUserDetail'[Meeting Created Count]
)
)
//現在のユーザーの会議作成数を取得
//CALCULATE を使い、x_axis に該当するユーザーの会議作成数を算出
VAR x_axis_Sum =
CALCULATE (
SUM('EmailActivityUserDetail'[Meeting Created Count]),
'EmailActivityUserDetail'[User Principal Name] = x_axis
)
//累積合計を計算
//FILTER を用いて、S_Table 内で以下の条件を満たすユーザーの会議作成数の累積和を求める。
VAR y_axis =
SUMX (
FILTER (
S_Table,
[Sum] > x_axis_Sum
|| ( [Sum] = x_axis_Sum
&& 'EmailActivityUserDetail'[User Principal Name] <= x_axis )
),
[Sum]
)
//全体の会議作成数の合計を算出
//ALLSELECTED を使い、現在のフィルターコンテキスト内での会議作成数の合計を取得。累積割合を計算し、結果を返す
VAR Total =
SUMX(
ALLSELECTED('EmailActivityUserDetail'),
'EmailActivityUserDetail'[Meeting Created Count]
)
RETURN
DIVIDE ( y_axis, Total)
3.ビジュアルより「折れ線グラフおよび積み上げ縦棒グラフ」を選択する。

4.X軸とY軸は以下を設定する。
X軸:User Principal Name)
列のY軸:Meeting Created Count
線のY軸:Line graph

以上でパレート図の完成です。
以降は任意作業です。
5.組織のフィルタを設定する。(任意)

経営企画部の従業員は、会議主催数の上位57名が会議数や会議時間を1時間→45分に短縮化を試みることで、全体の80%の会議に効果がある。と読み取れる。

会議の効率化を見直す場合、多く会議主催しているユーザーに対して指示を出すことで、効率的に施策を実行することができます。
※上図のように、上位6名~7名のみでも、全体の30%に効果を出せるため、柔軟に考えながら活用してください。
まとめ(結論と今後の展望)
本記事では、Power BIを活用したパレート図の作成方法を詳しく解説し、そのメリットや活用シーンについて紹介しました。パレート図を活用することで、データの中から特に影響の大きい要因を特定し、業務改善や意思決定の精度を向上させることが可能になります。特に、売上分析やリソース配分の最適化といったビジネスの場面において活用できます。
また、Power BIを使ったパレート図の作成手順を詳細に解説することで、読者が自身のデータを用いてパレート図を作成し、実践的に活用できるようになることを目指した。累積比率の計算、グラフの作成といった基本的な流れを理解することで、皆様の業務データに適用し、活用いただけますと幸いです。
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