『財務スキル-BS理解』
投資や会社の財務状況把握に役立つ
前回までは損益計算書について書いてきました。
今回はもう一つの財務スキルで必要な賃借対照表(BS)についてご紹介したいと思います。
これも数字絡みの話になるので、面倒くさいと感じると思います。
「どうせ経理がやるから必要ないでしょ」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん経営に必要なスキルにはなりますが、経営をされていない方にも投資の際に活用して頂けるスキルになります。
ここを理解できればAという会社が、今どのような経営状況にあるかが分かるようになります。
活用することで投資に失敗する確率を下げる事もできます。知っていて無駄にはなりません。
さらに言ってしまえば雇用をされている方でもこの部分を知る事でさらなるスキルアップにつながると思います。
みんなが嫌がる領域だからこそ知れば貴重な存在になれるのです。
では早速内容に入りたいと思います。
1.賃借対照表とは
賃借対照表とは一時点の財政状態が分かる決算書になっています。BS(バランスシート)とも呼ばれることがあります。
この表では大きく2つの事が分かります。
❶期末時点で、会社に存在する財産の状態を表す
❷会社資金の調達と運用状況を表す
会社にどれだけお金が残っていて、どれだけのお金を動かしているかの規模が分かります。
これが分かるようになれば経営にも生かすことができ投資をする際にも、どれだけ安定していて信用がある会社かが分かるようになるので会社を選択する際に1つ重要なスキルとなってきます。
では、表を見ていきたいと思います。
賃借対照表は大きく2つに分けられます。
❶調達状況
お金をどのようにして作り出しているかということ
調達状況に関してはさらに2つに分類ができ、返済がいるか・いらないかで分ける事ができます。
返済必要⇒流動負債
返済不要⇒純資産
❷運用状況
お金をどのように活用しているかということ
ここの投資内容でどのような事業に力を入れているかが分かります。
2.運用状況
運用状況に関してもさらに2つに分かれています。
❶流動資産
例)現金・売掛・在庫
❷固定資産
例)建物・トラック・備品
これは回収できるスピードで分類されます。
流動資産は調達した資産を運用した際にすぐに回収できる可能性が高いモノになります。
固定資産は運用の際に回収し終えるまでに時間がかかり、スピードが遅いモノになります。
その為、建物やトラックなど高くて回収するまでに時間がかかりそうな商材が多いです。
3.調達状況(負債)
負債に関しても2つに分ける事ができます。
❶流動負債
例)買掛・短期借入(1年未満)
❷固定負債
例)社債・長期借入(1年以上)
これも先程と同様に返済期限のスピードによって分類をされます。
流動負債は短期的にお金を返すことのできるモノになります。
比較的調達できる金額は安価になります。
固定負債は長期的に返済を目指す借入になります。
長期的な返済になるので金額は高額なものが多いです。
4.純資産
純資産とは株主資本が主になり、会社の資本金や昨年度の余った利益がこれに当たります。
これは社内の純資産になります。
社外では評価概算差額・新株予約権です。
これは会社が保有しているモノになり他から借りてくるものではないので返済する必要がないモノになってきます。
5.賃借対照表のまとめ
一番最初に表した表を細分化したものになります。
調達状況は3つに分ける事ができ、返済が必要なモノもあれば返済が不要なモノもあります。
さらに返済が必要なモノの中には返済期限が短い流動負債と返済期限が長い固定負債があります。
運用状況には主に2つあり、投資の回収スピードが短い流動資産と回収スピードが長い固定資産があります。
2つの状況をみて会社にどれだけの資産があり、どれだけの負債を抱えているかを判断し、その会社に対して安全性が高いのか・低いのかを見極めて信用度を計る 事ができます。
6.流動比率
流動比率とは流動資産と流動負債を見た時にこの会社の財務状況が分かる数値になります。(短期的に)
ここのバランスを見る事でその会社に負債が多いのか資産が多いのかが分かります。
もちろん資産が多ければ負債をすぐに支払う事ができるので経営が上手くいっている会社だと言えます。
逆に負債が資産を上回っている会社は倒産する可能性もあると言えます。
計算して求める事ができ、数値が高い方が安全性が高いという事になります。
これにプラスして純資産の大きさが重要になります。
7.まとめ
今回は賃借対照表についてご紹介してきました。
賃借対照表には主に運用状況と調達状況の2つがあります。
この2つのバランスを考える事で会社がどのような財務状況にあるかが理解できるようになります。
これが分かれば会社の経営が上手くいっているか分かるようになります。
さらに会社の信頼度が分かるので社債を買う時に参考にすることもできます。
投資をする際にも非常に大事な部分になり、投資先を選定する際に選ぶ基準になってきます。
ただ一時的な指標になるのでこれだけではなくもう一つの損益計算書とを合わせて考える事で長期的な目線からも会社の財務状況を理解することができます。
二つ合わせてしっかり財務状況を確認できるようになれば幸いです。
ありがとうございました。
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