『倫理的思考スキル後編』
サービス設計に落とし込んで考えてみよう
この章では具体的に前編で学んだスキルをどのようにビジネスで活用すればいいかを説明していきたいと思います。
まず、ビジネスを始める上で重要な事は市場調査だと言われています。
いい商品やサービスを作っても、それを使う人がいなければ需要がなく価値が下がってしまうからです。
では、どうやって市場規模を見極めていくかをご紹介していきます。
主に市場調査では
3C分析⇒SWOT分析⇒4P分析⇒デプス調査⇒ペルソナ設定⇒市場調査
の順番で考えていく必要があります。
1.3C分析・SWOT分析
3Cとは
Customer:顧客
Company:自社
Competitor:競合
この3つの頭文字を取って名前がついています。
3つは相互関係があり、ビジネスを行う上で考える必要があります。
商品の販売やサービスの提供をするのは、顧客に対してだから顧客のニーズを探るために一番調査が必要だと思われますが、最も重要な部分は自社に関してです。
もちろん3つすべて必要にはなります。
しかし自社の事をわからないと相手にどう伝えたり発信していけばいいかが分かりません。
競合への対策も自社の中身が詳しくわかっていなければ、講じることも出来ません。
相手を知る前に自分の事を理解していくことが、ビジネス以外でもそうですが非常に大事な部分になっていきます。
そこで使われるのがSWOT分析になります。
これも先程の3C分析と同様、言葉の頭文字を取っています。
Strength 強み
Weakness 弱み
Opportunity 拡大可能性
Threat 縮小可能性
例)飲食店の場合(唐揚げ店)ハイボールをメインで取り扱っている
Strength
・立地が良い
・仕入れ原価が安い
・国産を使用している
Weakness
・メニューの豊富さ
・ブランド名がない
・値段が多少高めに設定
・従業員の数が少なく弁当販売等が難しい
Opportunity
・YouTuberとのコラボイベントができる
・体脂肪ケア思考でハイボール愛好会などが作れる
・休日使わない時はキッチンを貸し出して料理教室などができる
Threat
・大型休日が増える
・ヘルシー志向になっている
・外食をする人が減っている
例のように自社に対する強み・弱みなどを書き出してみる事により、『どういう懸念があるのか』や『どこを売りにしていけば経営がうまくいくか』などが見えてきます。
フレームワーク自体あるので、あとは当てはめて考える事で物事を倫理的に考えれるようになってきます。
まずはこれを使い自社の状況を知る必要があります。
やり方は簡単だが知っているか・知らないかで大きく差が開いてきます。
自社の事が理解出来たら再び3C分析に戻り、顧客と競合の分析をしていきます。
2.4P分析
次に詳細な内容をみていきます。
その時に使用されるのが4P分析になります。
これも名前の頭文字を取ってそう言われています。
Product プロダクト:製品
Price プライス:価格
Place プレイス:流通
Promotion プロモーション:販売促進
カフェの例
Product:サラリーマンが多い、また男性が多いという観点からおしゃれなメニューよりもボリュームを重視したランチメニューを用意。夜もアルコールメニューを用意。
また女性の取り込みの為にタピオカなどの競合にはないドリンクメニューを提供。また企業イベントでの設定のなどのため飲み放題パッケージも用意。
Price:価格はランチタイムのサラリーマン取り込みの為ドリンクセットで900円、夜は競合がいない為高めに設定して客単価4300円程度狙う。
Place:オフィス街にあるから一定のデリバリーの需要もあることを想定。
ランチデリバリーを宅配サービスと提携して提供予定。
Promotion:忘年会などのイベントシーズンでの利用を刈り取りするためLINE@での登録でドリンク1杯無料などを行う。看板認知が獲得できる場合はホットペッパーなどに掲載しない予定。
ランチタイムに多くのテーブルフライヤーでのクーポン配布などを実施予定
これも3C分析と同様にフレームワークが出来ているので、活用して自社としての事業の目標を当てはめ、考える事でロジカルに考える事ができるようになります。
さらに自社と競合を比較することでどこを改善したらいいかが一目瞭然になります。
ここで相手に負けている部分に関しては競合をパクリ引き分けに持ち込めば競合相手に内容で負ける事はなくなります。
TTP戦略=徹底的にパクる戦略
3.デプス調査
これまでの分析で自社と競合・顧客に関して考えてきましたが、次は本当に市場価値があるのかの部分を調べていくことになります。
ここで使われるものがデプス調査になります。
デプス調査とは年齢・性別・職業などに関係なくニーズの調査を行い、その答えによってカテゴリー分けを行い、特定のニーズが確認できたカテゴリー層の人たちを集めてさらにヒアリングを行う事です。
その際にヒアリングに行う順番としては
最初にスモールトークを行います。
(日常会話でリラックスをさせる。そして自分の事も話し相手に安心感を与える)
2番目にライフスタイル質問をします。
(趣味や家族構成や職業・帰宅時間・出勤時間・子供の保育園の時間など平日と休日を分けてその人の1日のスケジュールを聞き出す)
3番目にワンアヘッド質問をします。
(実際の年収や家族の経済状況、そしてローンの残高などの折り入った質問を行う)
最後にそこからやるビジネスについての意見を聞き出し、なぜそう思ったのかなどのWHYの質問を3回繰り返して深掘りし本質を考えてもらう
※この時に重要な事は2つあります。
①質問をしている時に相手から素直な発言が出た時もしっかりメモを残すこと。
②最後にサービス内容を説明すること
これを行う事で、自社のサービスにどういうライフスタイルの人や年収の人が自社のサービスを気に入るのかが分かようになります。
さらにそのターゲット層の人たちが、どれだけの人口がいるかを計算することである程度のサービスを必要としている人数を割り出すことができるようになります。
しかしこれだけではダメです。
もう一つ数字を予測する上で大事な事があります。
それはメンタルアカウンティングです。
メンタルアカウンティング(心理会計)とは、お金を使用するときの意思決定が、お金の出処や何に使うかによって、変化することを指す。※みずほ証券 ファイナンス用語集から引用
1つ例を出したいと思います。
自分一人で食べるランチと彼女と食べるディナーではお金の使い方が変わってくると思います。
私たちは常に一定の意思決定ではなく心理的にお金を奮発して出すのか、少し我慢して抑えるのかが変わっていきます。
ニーズの数だけではなく、1人当たりの単価を考える事も非常に重要になってきます。
ニーズ調査+デプス調査+メンタルアカウンティングをすることで
サービスを必要としてる人の数×そのサービスに支払うお金=市場規模
が分かります。
ここが証明できれば、やろうとしているビジネスにどれだけ需要があり、どれだけの売り上げを上げる事が出来るかが分かり、市場規模が具体的に分かるようになります。
4.ペルソナ設定
ペルソナはデプス調査で一番共通点が多かった人物像を仮想でつくり、それを例にして話を進めていく事です。
これは具体的に人物像を描くことが大事になり、あたかもそのような人がいるような体で話をしていきます。
例)Aさん
30歳子持ちの主婦
朝から子供を保育園に送った後に自分も仕事に行っている。
旦那は会社員で帰りは22時帰宅
奥さんは仕事終わりが16時でそのあと夕飯を作るために買いものを17時に行っている。
⇧
ペルソナ
このターゲット層に対してデプス調査を行ったところ10人中8人は晩御飯に宅配サービスを利用したいとの回答を得られた。
⇩
費用面に関しても1か月の夜ご飯の食費である5万円の半分(2.5万円)は出してもいいとの事。
⇩
主婦の人口はその地区で2万人はいる。
⇩
市場規模は2万人×80%×2.5万円=月間4億円 年間約50億円が考えられる。
市場規模はペルソナ分析を逆算してから考えてみる事が必要になってきます。
市場規模が分かれば目標が見えてきます。
しかし、こんなに簡単にはビジネスはうまくいきません。
市場に浸透するまでには時間がかかるので、その部分に関しても深掘りをして考えていく必要があります。
物事が浸透していくまでには段階を踏んで広まっていきます。
イノベーター⇒アーリーアダプター⇒アーリーマジョリティ⇒レイトマジョリティ⇒ラガードの順にどんどん浸透していきます。
これから考えられる事は2つあります。
①新しい事を始める時に全員が全員、新しいもの好きではなく一定の割合の人しか飛びつかないという事。
②イノベーター・アーリーアダプターへの浸透が出来なければ他の領域の人に広まる事がないという事。
50億円の市場があれば狙うべきなのは7~8億円の市場を考えて行動をしないといけないのです。
イノベーターやアーリーアダプターに興味を持ってもらうには、現在ある店舗と同じことをしていてもダメです。
A+Bをして今までなかったようなことを考えて差別化をする必要があります。
例)コーヒー店でありながら高級チョコも食べれるような飲食店
これが出来れば今まで既存に行っていた人達を集客できるようになります。
5.まとめ
倫理的思考スキルをビジネスで応用することにより、明確に市場を把握できイメージができやすくなります。
また新しくサービスを始める際や行動を起こす際は競合や顧客に目が行きがちですが、自社から分析をすることで現状を把握することができ対策を考えるきっかけになります。
人間は曖昧な目標では動こうとしません。
具体的な数字に変換することにより、理解がしやすくなり相手に行動を促すこともできます。
ビジネスを始める前にここまで考える人は少ないとは思いますが、ビジネスをする上で皆さんが成功したいと考えるはずです。
時間がかかり面倒くさいとは思いますが、それよりもお金をかけて作ったビジネスが無くなる事に比べると容易いと思います。
これからビジネスを始めようと考えられる方のお力になれば幸いです。
ありがとうございました。
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