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エッセイヤマダ

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空をみる 風を感じる 仕事に行く 夕日をみる 雨が降る おこられる 悲しい出来事がある 花が咲く 美味しいものを食べる 人と出会う 人と別れる 旅立ちの日 旅にでる 夢をみる 汗…
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2024年8月の記事一覧

日は昇り顔を焦がす

日は昇り顔を焦がす

息子が背番号をもらってきた。
嬉しそうに。

練習から帰ってきたその顔は闘いを終えた戦士のようだ。
誇らしく言う。
「あのさぁ。背番号もらった‥」

小さい頃から自分を表現するのが下手だった。
いつも周りを気にして遠慮しながら野球をしていた。
気がつけば高校生。

いくつ何回送り迎えをしただろう。
いくつ試合に負けだだろう。
暑い寒い辛い痛い悔しい
そこにはハッピーな事なんていくつあっただろう。

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アルプススタンド

アルプススタンド

今年も高校野球夏の甲子園大会が終わった。
毎年夏になると地方の予選大会に足を運んだ。
年々暑く、観る方も大変だ。
しかし、どうしても見ない訳には行かない。
夏の白球に誘われる
まるで甘い嗜好品だ。

高校野球をしていた時代があった。
毎日遅くまで泥まみれになりながら野球をした。
電車で通学をしていて、野球が終わると毎日終電に乗る。
帰りは練習場から駅まで自転車で猛ダッシュ。
電車組には極なタイムス

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ブタブタノ森

ブタブタノ森

会社で上手くいかないことがあった。
むしゃくしゃする。
帰りの車の中
信号待ちの”赤”をじっと見つめる。
信号が”青”に変わったのに”赤”のままに見える。
後ろからのクラクションで発進する。
後ろの車は次々とウィンカーをつけては追い越していく。
今の僕にはスピードメーターは機能しない。

雨が降ってきた。
前方の車のテールランプがぼやける。
雨が強くなってきた。
ワイパーを動かさないで、よりぼやけ

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時とのかけっこ

時とのかけっこ

”時”は早歩きだ。
それは間違いない。
”時”に荷物を背負ってもらおう。
そうすれば少しはゆっくりになるだろう。
さて、どんな荷物を背負わせようか?

身体が大きくなってしまって着なくなった服?
連絡を全くとってない電話番号?
机にしまってある年賀状?
撮り溜めた過去の映像?
昔の彼女との恋文?
自分の歳の数?
歩いた歩数?
皺の数?
家族?

いやいや”それは”全部今いる”自分”が背負っているも

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習慣に余白部分を入れたら最高

習慣に余白部分を入れたら最高

朝の通勤途中
必ず寄る場所がある。
人通りが少ない小高い場所にある空き地
ここは車の荒々しいノイズもない。
車の窓を開け入ってくる朝風が爽快だ。

いつもの時間に通る貨物列車
鳴る寺の鐘

いつもの場所でいつものタイミングを取り直す。
全ては時間通りに今日も動いてゆく
それは飼い慣らした動物が期待に応えてくれるような愛おしい時間だ。

皆に合わせるように今日も一日がはじまる。
通勤途中の一服
スマ

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秋だときめつけたら起こる仕返し

秋だときめつけたら起こる仕返し

お盆が過ぎ
夏の甲子園も終わり
朝日は遅く
夕暮れも早くなった。

寝る時は暑く
朝起きる時は寒い
窓を開けて眠るときも
窓を開けっぱなしで起きたときも
ずっとコオロギの鳴く声がする。
今晩スーパーに寄った時にマロンケーキがあれば、もう今日から秋だと決めつけよう。

夏の暑さを言い訳にして
室内に篭る生活は体重を増加させていた。
元の体重に戻すのに一年はかかりそうだ。
腹の肉をつねる。
罪悪感と嫌

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野分過ぎ満月を見て盆惜しむ

野分過ぎ満月を見て盆惜しむ

台風後の満月。
満月は久しぶりだった。
布団に寝転んでカーテンも閉めず、しばらく満月を眺める。
8月18日。お盆も終わってしまった。
1年に数回しか会えない人の成長や老いを実感する。
こうやって月を見て振り返ると月日の早さに記憶が追いつかず寂しくなる。
明日の仕事がどうとか、子供の夏休みがどうとか色々な日常ノルマがある中で何か大事な事を見落としているような気がしてならない。
僕の近しい人たちはこの

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