ミュージカル・メリーポピンズを観て。
何を思い立ったのか、出勤途中のバスの中でこれを打ち始めました。
私にはたったひとりだけの観劇友達がいるんですが、その彼女とガイズ*のチケットを取るやりとりをしている際に、メリーポピンズを観劇してきたことを教えてくれました。
絶賛でした。観劇帰りにメッセージをくれたためか、興奮冷めやらぬ様子で、普段あまり文面のやりとりで絵文字を使わない彼女が末尾に☂️の絵文字を使うくらい。
浅識ながら、出演されているキャストのなかに存じ上げている方がほぼいなかったたためスルーしておりました。
ディズニー配給ということでファミリー観劇も多そうな作品はなんとなく避けがちでした。劇場内での会話が憚られる昨今、この2年は100%ひとり観劇スタイルで(まぁ2年以前もひとり観劇がほとんどでしたが)家族ないし友人や恋人同士連れ添って観劇している層が目に入ると、幕が閉じた後とか、こう 淋しさが身に沁み入るんですよね……(感受性豊かなので……)
そういえば数日前に長江くん*も観劇してファンの方にオススメされてたな〜なんてことも後押しになり当日引き換え券を探し深夜のガン決まった頭でポチりました。発券これからだけど18時公演だし寝坊しても最悪間に合う うんうん。
開演2時間前、渋谷に到着。
おかしい…せっかく渋谷に行くんだからひっそりランチでも食べようと夢見つつ昨夜寝落ちたはずなのにナ……
それにしても渋谷というか都内、人が多い。顔ぶれも若い方が多く春休み感満載。
引き換えが1時間前からなので、早々に入場待機列に並ぶ。この感覚、2年前に20世紀号に乗車できなかった悔しさ* を思い出す───なんて感傷に浸っている間にすらすらと入場。シアターオーブもといヒカリエ11Fからの景色を堪能。眼下にミニチュアのように行き交う渋谷の人々を眺め、思わず人がゴ◯のようだ!と脳内に大佐を召喚。天気は快晴!───ではなく、
めちゃ曇り。
これはこれでロンドンのようではないかほほほと内心そんなことを思っていたら開演5分前。愉快な電子音の“お砂糖ひとさじで“の開演アナウンスが流れる。
遅れぬようそそくさと自席へと着席。ふかふかの座席、落ち着く。
前に座ったお子さんはワクワクなのか体を跳ねさせて待ちきれないようだった。
可愛い。わたしもワクワク。
そして突如シャララランと幕前映像に流れ星がひと筋。仕組みがわかっていてもこの演出はワクワクしてしまう。これから素敵な物語を見せてくれると確信させてくれる。
そして開幕。
メリーさん登場の仕方から魔法だ……!と目を見張ります。それはまるでディズニーシーのタワーオブテラーでシリキ・ウトゥンドゥの降臨を初めて目にした時のような…しかしこれは魔法のほんのささやかな始まりに過ぎなかったのだと今なら書ける。
毅然と登場し、働き、みるみるうちにテキパキと姉弟を魅了していくメリーさん。
そんな子供を抱える問題のある夫婦、その日暮らしのように見えるが誰よりも明るい煙突掃除屋、富める者からホームレスまで、ロンドンの中の数あるお話のうちのひとつが、メリーさんの訪れた桜通りに住まう一家を中心に繰り広げられていきます。
明るくたのしく、テンポよく軽快に舞台は進み、カーテンコールはスタオベに包まれて舞台の幕はあっという間に閉じました。
原作も未読の初見の感想として、子供がすべてを理解できるお話かと言われるとそうではない印象を受けました。これは少し大人としてはうれしい驚きでした。
メリーさんの説くこころは現代に通ずるものがあり、なぜそのような教えになるのか、子供たちが想像するのは難しいと思うから。
しかしそれで、それだからよいのだと思います。「なんだかよくわからないけど、この人のいうことだからきっとただしいのだろう」そんな感覚がしっかり刻まれるはずです。子供のうちに観ることができれば、きっと素晴らしい体験となるでしょう。
わたしの前に座っていたお子さんは終わった後もぴょこぴょこ跳ねていた。かわいい。
とまあ長々と語ってしまいましたが、もちろん子供と呼ばれなくなってしまった人たちもワクワクすると思います。私はしました。やっぱりミュージカルが、舞台が。ものがたりがわたしは好きだ。
これを書いている今日、
新卒から長年勤めた会社を辞めます。
この長いながい通勤バスに揺られて会社に向かうのも、今日が最後。
夢、というかいったん休憩をして一息いれて、それからまた歩いてみようと思います。煙突掃除のバートが言っていた、自分の好きだと思える景色を求めて。
素敵なミュージカルを、舞台をありがとう。
貴方達が必死で作り上げ、見せてくれるひとときの夢が、
いつも誰かの希望になっています。
* ガイズ・・・ガイズアンドドールズの略 今夏 上演予定だよ!全然チケットが取れなくて泣いているよ!
*長江くん・・・長江崚行さん、筆者と同い年の素晴らしい役者さんです。
*20世紀号に乗車できなかった・・・2019年に宝塚歌劇団雪組東急シアターオーブ公演ブロードウェイミュージカル 20世紀号に乗って 当日券を求めて渋谷へ挑みましたが長蛇の列、当選できずUターン帰宅した苦い思い出ェ。