こんな人になりたい
2021秋
”私がおばあちゃんになって孫がボクシングを始めるって言ったら「女の子なのにー」って絶対に言っちゃうと思います”
これは女子ボクシングで金メダルに輝いた「おじぎ姫」入江聖奈選手の言葉です。
スポーツ界の大御所H氏の「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って、こんな競技が好きな人がいるんだ」発言が世間の大ひんしゅくを買い、それを受けての一言。
大あっぱれの返答だと思いませんか?
自分の言動が誰かに否定された時、私は言葉を尽くして正当性を主張するか、闘うことを諦めて沈黙を守るかの二択です。それが、彼女はこのトラブルを誰も不快にさせることなく笑って解消させてしまいました。
「頭のいい娘だなあ」と感心した後、この頭の良さにはたくさんの要素が必要だと気づきました。ピンチに対応する瞬発力、ニックネームが表す自分を低く見せるゆとり、カエルが好きというユニークさ、オードリーの若林さんを敬愛する笑いのセンス、厳しいトレーニングに対応する強いメンタル、そして敵対する相手にさえ注がれる愛情…もう神さまじゃん!
これだけのスペックを得るためにどんな生き方をしてきたのか、とても興味が湧きました。ひとつだけ確信していることがあります。これは人の中にいるからこそ身についたものに違いないということ。そこで愛され、試され、時には辛い思いをしながら培った大きな能力です。それもまだ20歳で。
人はまず愛され守られること、そして認められることでこの世に受け入れられていることを感じ、ノビノビと自分らしく生きていかれるのです。その先に興味あるものとの出会いや努力する快感などとの結びつきがあり、力を付けていく。この流れは長く子育て支援をやっていて日々目にしています。そして意外と大人になっても同じ成長のパターンはあるなあと感じることもしばしば。みなさんも思い当たることありませんか?
私も入江選手のようなユーモアと頭の回転のよさで軽々とピンチを乗り越えるおばあちゃんになりたいと、またもやアラカンの夢ができました。