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キルギス生活振り返り
今更すぎるキルギス生活振り返りです。2022年3月から24年3月まで2年間キルギスで仕事してました。私の仕事を簡単に説明すると、外務省の任期付き派遣職員です。大使館で働いてました。仕事の内容は、日常業務は配車やちょっとした通訳、出張者や休暇を取る人がいる場合は航空券の手配、日本からの出張者受け入れは担当者と調整してホテルを予約したりアポイントメント先への配車連絡でした。仕事の内容は派遣先の公館によってかなり違うそうです。大使館のドライバーは日本語も英語も話せないので配車連絡は全部ロシア語、ホテルの予約も航空券の手配も全部ロシア語なのでロシア語はかなり上達したと思います。ロシア語の国に1人で旅行に行っても無事に帰ってこれるくらいには旧ソ連の地域に慣れました。大使館では日本文化イベントや天皇誕生日レセプションなどのイベントをやることもあるのでそれは館全体で準備します。キルギス1年目は日・キルギス友好の節目の年だったので文化イベントはかなり大がかりで、和太鼓のコンサートと「乙嫁語り」を描いた漫画家の森薫先生を招待してキルギスの学生を対象に漫画ワークショップを開催しました。2年目は振袖を着て茶道のお茶の取り次ぎとロシア語での説明をやりました。レセプションの時は私は写真撮影を担当してました。
何も考えずにただ「ロシア語を使う仕事」というだけで応募して採用されましたがこの仕事は結構私に向いていたと思います。幸い上司や同僚にも恵まれて充実した2年間でした。
仕事以外では、安くバレエを見られたのが良かったです。ロシアから時々ゲストダンサーが来ますが、マリインスキーバレエの韓国人ダンサー キミン・キムが来た時は私と歳が近い同僚と一緒に見に行きました。私はサンクトペテルブルクに留学していましたが、私以外にも元ペテルブルク在住者が2人いたのでいつもペテルブルクの話をしてました。中央アジアのバレエ団はその国の民話の演目に持っているのでそれを見るのも楽しかったです。
長期休みは旅行に行ってました。キルギスの北にあるカザフスタンに2回行って、2年目の夏休みに1週間かけてコーカサス地方のジョージアとアルメニアを旅行しました。旅行の目的は基本的にバレエと買い物で、カザフスタン1回目はアスタナでバレエが見られなかったので2年目の年末年始にリベンジしました。ジョージア・アルメニア旅行は、ジョージアは以前からずっと行きたいと思っていて、アルメニアに行くかアゼルバイジャンに行くか迷っていた時にアルメニアでご当地バレエの公演情報を見つけてアルメニアにしました。ちなみに今はアゼルバイジャンで仕事をしてます。ナゴルノ・カラバフ戦争が終結して、アルメニアが作ったアルツァフ共和国はなくなってしまったのでアルメニアに行った時に見たアルツァフ共和国の国旗や名所のマグネットを記念に買えば良かったと少し後悔してます。
キルギス国内は、ビシュケク郊外にあるアラ・アルチャ国立公園とイシク・クル湖の近くのグランドキャニオンみたいな岩山に行きました。アラ・アルチャは景色が綺麗でキルギスが「中央アジアのスイス」と呼ばれる理由がわかります。
キルギスで最も印象的だった出来事は、キルギス人の同僚の結婚式に出席したことです。広いバンケットホールが会場で、招待客は200人くらいでした。びっくりなのがその招待客のほとんどが新郎新婦それぞれの親戚で、友達や職場の同僚はほとんどいなかったことです。キルギスの結婚式は日本とは真逆な超ハデ婚。ダンサーと歌手が出てきて歌って踊ります。客のダンスタイムは3回くらいあって、日付けが変わるまでお開きになりません。
キルギスは日本とは違って事務手続きやメールのやり取りなどはスムーズに行きません。国内用身分証明書として発行されるカードも「機械が壊れているので1ヶ月かかります」とか言われました。しかもその機械は私が来て1年経っても壊れたままでした。突発的なトラブルは日常茶飯事で半年くらい経つとたいていのことには驚かなくなります。この緩い感じが私には合ってたと思います。帰国するとファミレスの店員の接客がキルギスの高級レストランレベルの日本の様子が異常に見えて店員に感謝どころか申し訳なさすら感じます。キルギスの緩さと日本のきっちり感を上手く合わせたら良い感じになると思います。今いるアゼルバイジャンでも事務手続きのゴタゴタ(ビザの日数の誤記)がありましたが「あるある笑」で済ませてます。怒ってもしょうがないし怒ると自分も疲れるし時間の無駄なので。
キルギスを離れる時に職場の上司や同僚からは「メンタルが安定してる」「メンタル強い」と褒めていただけました。自分ではそこまで感じることはなかったのですが仕事以外の経験も含めて色々鍛えられたんだと思います。
以上がキルギス生活振り返りです。