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【一次創作】弐拾壱。その日だけ特別な。【#ガーデン・ドール】

新たな実験台を定めはしたが、それから其のドールは白いドールに対して特別なにかしているわけではなく。
それでも【2人で共同で何かをしている】というだけで不思議と距離は近くなることは立証済みだ。

本人の前だとさすがに恥ずかしいのか隠そうとしてしまうが、白いドールことなたりしあは、其のドールことジオを真似て眼鏡までお手製で作っているほどだ。
想像をしていたよりも実験のスタートラインは上にあったらしい。
ならばと白衣の余りを与えたてみたら随分と喜ばれた。

さらに一歩、意識をさせるのであればそれなりの何かが必要なのであろう。
自分の分野ではないからと避けていたジャンルの本でも読んでみるべきだろうか。
かといって、それを聞く相手も少々考えないといけないのが難点だが……。

そんなことを考えながら其のドールはふと今日の日付を確認する。

「8月……15日、か……」

15日。
其のドールにとって…… 
否、自分・・にとって、少しばかり特別な日。

いい加減、振り払いたいものなのだが。

「……あれは他のドールにも好かれていたし……そういえばそれであのドールも……」

あれ……今はいない元教育実習生グロウ。
そのグロウが去った後、引き換えに現れた煌煌魔機構獣の正体に皆が疑いを持ち始めた頃。
なたりしあもそのことで随分と思い悩んでいたはずだ。
一人でろくに睡眠もとれないほど憔悴していたと記憶している。

「……こういうこと、他のドールたちも好きそうだしな」

不意に思いついた妙案をノートに書きだし、ジオはなたりしあの元を尋ねる。

【8/15・8/16 2日間限定 星散らばる夜空ゼリー】

そう書かれたノートを持って。


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