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超マ○ブラ函館2021 ⓪雨中の新星編(高速バス乗車記)

7月のある朝、道新を読んでいるとついに函館の人口が25万人を割ったという記事が目に入った。それ自体は特に驚くことでもなく、函館の現在とこれから数年のことを悲観することもなかった。

何故なら函館には三つの「都心」を生み出すだけのエネルギーがまだ存在するからだ。

函館山に近く、歴史の古い順に函館駅前、五稜郭電停周辺、美原方面(産業道路)沿いのうち昨年の超マチブラ(あの仮タイトルがまさか本採用されるとは思わなかった)で巡ったのは戸井線建設用地の市道などを軸に五稜郭電停エリア・千代台公園・湯の川・銭亀沢という戦前の函館の外環地区だ。

なので、今回は超マチブラの正当続編(に秋がきたらなれるはず)として函館駅前で電動アシスト自転車(以下「電チャリ」)を借りて函館山麓をあえて坂から坂へと横切りまくり南北に移動、その後は住宅街や国道の裏にある東の浦道を爆走、前回は行けなかった函館空港の北側(搭乗口)方面を視察した後に上湯川町へ下り、その後日吉・美原方面の「裏夜景」の見えるあたりを抜けて昭和町へ向かうというプランで行こうと考えていた。

しかしこの考えはすぐに崩壊することとなる。
その流れを札幌と函館を結ぶ高速バスのひとつである特急ニュースター号の乗車時に時を巻き戻して振り返ろう

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9:40に雲量の多い札幌駅前の空の下を函館に向け滑り出したバスは道央道に入り順調に時速90キロを維持。
客は10人程度で参考書を開いている女2人と刺青を入れた若い男が印象的だった。
三列シートで基本的に同じ列に人は座らないので「ソーシャルディスタンス」は完全に保たれていた。


JRの特急と比べれば旅情などには(かなり)欠けているものの、フリーWi-Fiとコンセント、そして通路と座席を隔てる遮光幕が常備されているので特急よりは「個室性」の高いつくりとなっていた。ちなみに料金は特急北斗号の半分程度の4000円台である。

しかしそんな長閑な移動も暗雲がたちこめる。
樽前SA(苫小牧市錦岡)にて10:50から15分ほどの休憩をとった際には既に雨が降り始めていた。

黒々と濡れたアスファルトの上に立ち、いつの間にかトイレの隣にセブンイレブンとEV充電所を設けていた樽前SAのこじんまりとした現代的変貌に少し驚きつつ見つめていることも出来なかったので、さっさと用便等(おかたいワード)を済ませてバスの全景をスマホに収めてからバスへ戻った。

傘をささなくてはならない程ひどい雨でもなかったが、早めに戻った方がよいだろう。

その後は相も変わらず時速90キロで道央道を進むが当然見るべきものも車窓からは見えない。
このあたりは特急列車からですらそれほど見るべきものが多くないので高速道路がこうなのも仕方がないのだろう。

しかしそんな札幌JCT以南の道央道(実は勝手に「胆振道」と呼んでいたりする。恵庭から長万部まで胆振国なので実情に即しているはず)の車窓から見える景色が壮麗なものとなる区間が存在する。

それは室蘭ICを通過し、これまでまっすぐ南西に向かっていた道央道が絵鞆半島の基部で北西を向くようになったあたりから伊達市にかけての区間だ。まず山側に見えるのが伊達ウィンドファームと呼ばれる(正確にはユーラス伊達ウィンドファームとユーラス伊達黄金ウィンドファーム)牧草地にそびえたつ風力発電機群。シンプルながら美しい。


次は昭和新山。特に説明は必要ないだろう。
最後に見るべきは伊達(伊達紋別)市街。「北の湘南」を名乗る北海道ではやや珍しい街路構造を垣間見るのもよいだろう。

先述の通り、眺望はなかなかよいこのエリアだが高速道路(というか高規格道路)としては少しずつお粗末なものになってゆく様も同時に眺められてしまう。まず伊達市に入境したあたりから片側1車線となってしまう。(その車線数でもなんとかなる程度の交通量なのがいけない)豊浦町に入る頃には舗装はガタガタ(高速道路としては)で随分と揺らされてしまい、読書もままならなくなったのだ。
この点、特急列車はあまり揺れないのでオススメ出来る。

こうしているうちに大沼ICでバスは一般道に出る。
そう、本道では恐るべきことに未だ函館と札幌を結ぶ高速道路(高規格道路)が未だ開通していないのだ。
最後の区間(大沼-七飯)が着工したのが2015年というから驚いてしまう。


本道における高規格道路の整備状況は津軽海峡以南に較べるとかなり低いと言わざるを得ない。
まぁ単純に一般道路でもかなりスピードを出しているのが道民だから問題ナシと考えている人も多いのだろうが。

国道5号線を走っているバスは急に右折、北斗市大野の田園地帯を進んでいるうちに右折、新函館北斗駅に滑り込んだ。


この駅はもとは渡島大野といったが、線形を考慮しつつ無理矢理函館側に駅を寄せようとした結果北海道新幹線の駅に大改造(もはや新駅だろう)されたという過去をもつため周りには特に何もない。
レンタカー屋・ホテル・謎のバスケコートがあるのみで、これは地方空港前の風景にも似ていると言えるだろう。

ちなみにここで下車した人はおらず、おばさんが1人と20代のカップルと思しき男女のみだった。おそらくわざわざ北海道新幹線でここまで来て函館へ向かうつもりなのだろう。北海道新幹線に乗ってくれたことには感謝するほかない。

14:02に駅前を出たバスは七飯藤城ICから函館ICまで函館新道に乗り、その後ロードサイド商業地帯を南に進んだ後、駅名詐欺で有名な五稜郭駅前(このあたり=昭和も国道5号線があるためかロードサイド商業地帯が展開されていた)を14:27に通過、14:40に無事函館駅前に到着した。

その後すぐ空腹のため駅前のラッキーピエロに駆け込んだのだが、これは別の話。
特急北斗に対して旅情こそないが移動手段としては総合的に勝るところの多い高速バス、一度は乗ってみるのはいいだろう。


① 雨の函館は市電で観光しよう!編(仮)に続く

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