#国土軸の旅(2日目⑨)夜の衣笠(立命館大学)へ行こう!
前回までのあらすじ:大体13日くらいかけて神戸から札幌まで鉄路航路を辿り帰る旅の途中、京都鉄道博物館に寄った。
私には立命館大学に行きたかった。
もしかすると「行きたいところ」が殆どないにも拘らず"発動"してしまった、この「国土軸の旅」などという虚しいダイナミズムをたたえるように名付けられた奇行の内で、たったみっつの「行きたいところ」の内ひとつがなんと立命館大学だったのかもしれない。
何故立命館なのか。
これは単純な理由で、サークルの先輩とその(元)顧問が立命館大学に在籍されているからに他ならなかった。
アポをとり、早速向かう。
まず鉄博を出てJR梅小路西京都駅なる、なんとも締まらない名前の駅へ向かう。
駅前は小綺麗で、このビミョーな駅名。
なるほど国鉄民営化前後の開業か!などと早合点していたが、2年経ってから調べてみると国鉄民営化後どころではなく、なんと2019年3月の開業らしい。
ほとんど令和の産物、出来たてホヤホヤの駅を私は訪れていたようだ。
おそらくこの駅を昭和60年代の開業だろうと早合点した要因として、私が当時札幌市民で、JRの新駅といえば昭和60年代に違いないと考えていたことが挙げられる。2021年の北海道にはロイズタウン駅も名寄高校駅も無かった(既に工事は進んでいたでしょとか言わない)し、この記事を書いている2023年の私にだってボールパーク新駅が出来るかどうかなどは分からないのだ。
実は山陰本線の一部であるらしいJR嵯峨野線に乗ることほんの数分、ちょっと暗い気持ちになりつつ高2の修学旅行以来となる円町駅に降り立った。相変わらず「京都」らしからぬ(?)猥雑な小ビルの街で、妙に印象的である。
高2の時は確かこのあたりから嵐山渡月橋へ行こうとして市内を循環するバス路線の反対方向へ行く便に乗ってしまったで、細心の注意を払いつつ市営バスの停留所を探す。
いざ意気込んでバスに乗る。
バスはどんどん込み入った路地裏に入り、うねうねとこの街でやたら見かける原付と並走して離合も出来やしない道をすいすいと進む。
これは運転士の熟練がゆえなのだろうが、しかし北海道ではまずあり得ないこのミスマッチな路地裏とバスを振り返る時、私はテーマパークを連想してしまう。
自転車と原付とバスの街・京都に感心していた私もやがて乗るバスを5年越しにまた間違えたことに気がつき慌てて降りる。もちろん一人だ。
名も忘れたその停留所からどうやって巻き返したのかは定かではないものの、おそらくは一度西ノ京円町へ戻り、どうにか立命館大学衣笠キャンパスへたどり着いたのが18:16頃のことらしい。
予定より30分遅れ程度で済んだのもまたバスの街・京都のおかげなのかもしれない。
衣笠キャンパスの瀟洒な建築群に圧倒されしょぼんとしながらキャンパス(というより街?)を歩くこと数分、防災地理研究所へ着いた。
対外的な自動ドアの玄関は既に閉じられていたので裏口から招かれて入る。
そこで私はかつて北海学園大にいたM先生と、同大人文学部を卒業した立命館大院生の先輩と会い、研究所内でケーキと電気(つまりスマホのバッテリー)を出されるなど、もてなされた。
話は多岐にわたり、トラブル続きだったマ○ブラ部とその周辺について元幹部として元顧問に報告したものの、しかし楽しかった記憶しかない。
私は友人の事前離脱というヘンな事態にまいっちゃった2日目の夜にして、ようやく、というべきか、それとも早々に、というべきか孤独感を癒やされたのだ。
そして私は2人に手を振り見送ってもらい、衣笠キャンパスのすぐ北を通る道に面する(なんと美術館の前にある。さすが京都!)立命館大前停留所よりふたたび市営バス(市バス)に乗り、おそらくは晴れやかな顔で今宵の宿タビノス京都のある五条大橋らへんへと向かった。