Twitter詩 2020.5

脱ぎ捨てたスニーカー

慣れないヒールの靴は、初めて行く場所には妙に合っていて、私の心だけを置いていく。
馴染まないスーツは、初めて会う人には妙に親しげに見せて、私の表情をも操りだす。
今なら苦手なブラックコーヒーも飲めるかもしれない。
でもいつまでも靴擦れは治らない。

(20200501)

君とダンス

まるで全てを失った
海底の豪華客船
ダンスパーティーの途中で
閉じ込められたメロウ
奏でられる音に
紛れる囁き
惑わされるな
プライドは
君を守る最後の砦
愛なんてものに
括られたくないなら
愛されることに
縛られたくないなら
この手を振りほどいてみろ
音楽はまだ
鳴り響いている

(20200501)

なくしもの

舞い上がる花びら
春の落とし物
緑の光を浴びて
駆け抜ける風
置いてけぼりをくらった
モンシロチョウ
空を仰ぎ
ここからの行き先を探している
目をつむり
息を吐く
湿った空気が
雨を降らす
ぼくの頬に
世界はこんなに眩しいのに

(20200505)

花笑む

はちゃめちゃなメロディー
ドレミファソラシドが
鳴らないおもちゃのピアノ
くまの縫いぐるみが弾く演奏会
一生懸命指揮してる
おんなのこはわたし
楽しく弾きましょう
あの頃のように
楽しく歌いましょう
いつまでも
ドレミファソラシドを
知らないあなたも
笑ってくれますように

(20200508)

夜はまた来る

雲は白くて薄くて頼りない
空は青いとみんな言うけれど
いろんな色が合わさっていて
時々わたしの好きな色になる

また明日ねって別れる
明日は今日になることがなくて
わたしはあなたが言った
明日が来るのをずっと待ってる

夜は澄んでいて
時々わたしをひとりにする

(20200511)

地上の淵で海と空の波の音を聞く 侵食する青は交わっていつか私を浚ってほしい

(20200524)

選択肢は無限にあり等しく正解なのでしょう それでも人は道を誤る

(20200526)

うつくしいもの

おはようとのぼる朝日のまぶしさ
晴れマークの天気予報
お気に入りの白いサンダル
突然の夕立で濡れる肩
初めて入るコーヒーショップ
笑うラテアート

セピア色にあせてゆく思い出でも

ぜんぶ
きみと一緒にみるせかいだから
なんだってうつくしい

(20200530)

青い鳥

旅するチルチルとミチル
メーテルリンクの青い鳥
何度も読んだ幸福探し
青い鳥症候群なんて言わないで
宇宙にだって見つけに行くよ
あの星の輝きだって
私に届いたみたいに
知らない誰かが
知っているかもしれないから
何処にだって見つけに行くよ

探さないと見つからないから

(20200530)