昔作ろうとしていたTRPGの短編資料
その昔仲間内でTRPGをやっていた時に作っていたシナリオの資料です。
昔仲間内には見せた事があります……
一応全部自分で作りました。
一応誰が読んでも楽しめるように書いてるので、よかったらスキをお願いします!
では、どうぞ!
聖母の祈り
永い後日談のネクロニカ短編シナリオ資料
[始まり]
全てが終わる前、終わりへ向かう戦争の中でも新しい生命は誕生していました。
ですが、それら全ては望まれた生命ではなくある目的のために仕組まれた存在でした。
かつてESP技術は一部の者にしか扱うことが出来ない技術でした。
未知の技術であるこのESP技術を我がものにしようとしたのが全ての始まりです。
まず、ESPの技術を我がものにするには、ESPの力を持った子供を意図的に作る必要があると判断した研究者達がその実験の舞台に選んだのはある小さな街でした。
その街は奇跡的に戦争の影響をほとんど受けておらず、貧しいながらも皆幸せな生活を送っていたのを知った研究者達は、この現状を逆手に取りこの研究を隠すためにこの街を選んだのです。
当初、戦争とは殆ど無縁に近い生活を送っていた街の住人にとって研究者達は異端の存在であり、誰もが研究者達の存在を警戒していました。
ですが、それも最初だけでした。
研究者達が街の住人を説得するのに利用したのは、この街の中心的存在であり心の拠り所でもあった修道院でした。
街の中心的存在であった修道院を研究施設として使い始めた研究者達は、「この世界の未来のため、これから産まれる子供達のための研究」と言い修道院を通じて街の住人の警戒心を解いていきました。
研究が開始されてからしばらくの時が経つとこの街に彼らを疑う者はいなくなり、街の住人は自ら進んで研究に協力するようになりました。
たとえ、望まぬ命であったとしても、研究と未来のためなら喜んで子を産みますと言う者や我が子とその未来のためと言う者。
その理由は様々でしたが、彼らはそんな子を思う気持を利用し研究を進めさらに数年後に初めてこの街の修道院で働いていた女性が実験体を出産したのです。
結論から言うとこの実験は成功でした。
ESPの能力を持ち正しく扱うことの出来る子供を産ませる事に成功したのです。
だが、それはこの街の住人や研究者達が望んでいた成功とは掛け離れた形での成功でした。
元々から資金も機材も足りない中で行われた母体の改造手術やESPを習得するための研究改造は、あまりにも不安定な作りであったがために出産した子供は成長ができない状態であり、死ぬことも出来ない永久に赤ん坊の姿のまま永遠を生きる存在になっていたのです。
完璧にESPを使いこなすための研究は成功でした。しかし、実戦登用が可能な新兵器の開発には失敗したのです。
しかも、生きてもいないし死んでもいない不完全な存在を受け入れる者は誰一人もおらず、たとえ出産した母親でさえ愛情を見せることはありませんでした。
もちろん研究者達も失敗作には興味などなく
やがて資金的にも限界だった研究は失敗という方で中止となり研究者達はこの街から去っていきました。
街の住人もこの研究の末に出来た化け物を避けるように次々と街から逃げていきました。
その結果、この小さな街に残されたのは赤ん坊の姿をした化け物とその化け物を産むだけの存在と化し苗床となった女性達だけでした。
死ぬことも許されず、ただひたすら不完全な化け物を産み続けるしかない苗床達。
それは、戦争が人類壊滅という形で集結し生ける死体が地上を支配するようになった今でも続いてるといいます。
続く