2019年度 放射線科専門医試験(一次試験)治療分野 解答解説


85~105まで解説しています。

公開しているまとめノートがあるとより理解が深まると思います。
返金は受け付けておりません。1/3は公開しておりますので、検討の上、申し込みください。
※2019年度は難度が高めで、頻出項目以外からの出題もあります。平均点も低かったです。


85
解答:b
内用療法を行う甲状腺癌は分化癌である

甲状腺癌
乳頭癌・濾胞癌(分化癌)
Stage
55歳未満のM0:StageⅠ
55歳未満のM1:StageⅡ

分化癌の治療はまず手術。その後、T3以上なら内用療法を行う。用いるベクレル量は遠隔転移の有無で変わる。

放射線ヨウ素内用療法(131I 半減期8日間)
① 遠隔転移例
取れるところは切除してから行う
② 術後補助(アブレーション)
外来治療可能
T3症例などに用いる

目的は残存甲状腺除去、微小遠隔転移除去、術後血清サイログロブリン値のサーベイランス精度向上

86
解答:e
実際に治療を行っていないと難しいが、耳下腺腫脹は1週間程度で現れ、非常に早期に起こりうる

全身照射
造血幹細胞移植の前処置
12Gy/6fr. 線量率は5~10cGy/min
急性期反応:悪心・嘔吐、下痢、発熱、耳下腺炎(最早期)、唾液分泌低下、色素沈着、粘膜炎、膵炎、VOD
晩期反応:間質性肺炎、白内障、成長遅延、内分泌障害、中枢神経障害、腎障害、二次発がん、不妊

87
解答:b、d
a TNM分類には小児腫瘍も対象になる。対象にならないのは脳腫瘍
b 疾患ごとに予後因子の記載がされている
c 原発巣が評価不可能な場合はTXに分類する
d TNMは迷ったら低くとるのが基本。治療機会を奪わないためとされている
e TNMは付けた段階から変化させない。治療効果を見るものではない。

88
解答:b
低線量率照射とはLDR-IGBTで使う言葉であり、前立腺癌の密封小線源療法(組織内照射)をそれだと知っておけば十分
a 60Coは192Irと同じく子宮頚癌の腔内照射で使う。HDR-IGBTである
b 125Iは前立腺癌の組織内照射で用いる
c 定位照射は外照射法の1つ
d BNCTはホウ素捕捉療法のことであり、α線での治療
e IMRTは外照射法の1つ

89
解答:e
強度変調放射線治療(IMRT)
多分割絞りなどを用いて空間的または時間的な放射線強度の調整を同一部位に対する複数方面から照射について行うことで、三次元的な線量分布を最適なものにする照射法。
線束強度を変化させた3種類以上のビームを用いる。
IMRTでは通常の普通の照射(コンベンショナル照射)のように処方点(リファレンスポイント)への処方ではなく、ターゲットそのものへのどのくらい当てるというVolume処方を行う。例えばPTV D95処方(処方線量をPTVの95%領域に投与すること)などである。
先に処方線量を決めてその後にBEAMの強さが変わるという通常の照射とは逆の治療計画の順番となるのでインバースプラン(後ろ向き計画)と呼ばれる。

a IMRTは後ろ向き治療計画(インバースプラン)
b IMRTは同一平面のBEAMでも構わない
c どの位置精度がにもよりますが、基本、IMRTでは2mm以内
d 2方向以上の透視可装置はIGRT(画像誘導放射線治療)の条件である
e IMRTは線束強度を変化させた3種類以上のビームを用いる

90
解答:c
基本的にIMRTはリスク臓器の線量低減(副作用の低減)目的で使われるが、上咽頭癌では治療成績の向上にもなる。前立腺癌でも治療成績の向上を示唆する論文がある

91
解答:a
重粒子線や陽子線は小児腫瘍や骨軟部組織、頭頚部癌(口腔・咽喉頭の扁平皮膚癌を除く)、前立腺癌、肝癌、膵癌など適応拡大が進んでいる。ただし、消化器系には難しい(穿孔リスクが高い)

92
解答:b
胚細胞腫瘍の治療方針
予後良好群(10年OS:80~90%)
ジャーミノーマ RT単独
全脳室照射で40~50Gy。ただし近年は線量低減目的にケモ併用で24~30Gy

成熟テラトーマ 手術単独

予後中間群(5年OS:70%)
未熟テラトーマ 手術+術後局所照射
悪性転化テラトーマ 手術+全脳全脊髄照射

予後不良群(5年OS:10~30%)
卵黄嚢腫瘍、胎児性癌、上皮絨毛癌など 手術+照射+ケモ

a 胚腫はRT単独で治療
b 成熟奇形腫は手術単独治療
c 絨毛癌は手術+照射+ケモ
d 胎児性癌は手術+照射+ケモ
e 卵黄嚢腫瘍は手術+照射+ケモ

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