放射線治療専門医試験 口頭試問対策
2020年以前の放射線治療専門医試験の口頭試問を当方が集められる限り集めまして、症例ごとに問題と解答例を提示しております。
おまけとして2021年の復元も添付しております。
返金は受け付けません。約半分は無料で公開しておりますので、ご検討の上、ご購入ください。
高悪性度神経膠腫
鑑別診断
膠芽腫、転移性脳腫瘍、膿瘍
治療方針
手術+TMZ併用放射線治療
浮腫領域に1.5~2cmマージン:40~50Gy
摘出腔に1.5~2cmマージン:60Gy/30fr.
※高齢者(71歳以上)には短期照射(40Gy/16fr.や34Gy/10fr,もあり)
高齢者の膠芽腫の特徴
一次性膠芽腫が多く、IDH wild typeで予後が非常に悪い
予後良好因子
年齢が若い、MGMTメチル化あり、IDH突然変異、1p/19q共欠損
電極の画像。これはなに。
オプチューン
頭皮の上に電極パットをつけて脳腫瘍の分裂を阻害する
ギリアデルとは
摘出空に貼り付けておいてくるタイプの抗がん剤
GTV
残存腫瘍
CTV1(拡大局所照射)
浮腫領域に1.5-2.0cmマージン
CTV2(局所照射)
摘出腔から1.5-2.0cmマージン
低悪性度神経膠腫
鑑別診断
びまん性星細胞腫、乏突起膠腫、神経節膠腫、多形黄色星細胞腫
びまん性星細胞腫:MRIにてT2-FLAIRミスマッチサイン
乏突起膠腫:前頭葉に多い、棍棒状石灰化、T2WI高信号、造影(少)
神経節膠腫、多形黄色星細胞腫:嚢胞
治療方針
手術+術後照射(50.4Gy/28fr.)
※ケモ併用で全生存率向上の可能性あり
※乏突起膠腫は術後照射ではなく術後ケモ単独もあり
GTV
残存腫瘍
CTVマージン
浮腫領域に1-1.5cmマージン
照射門数
4門以上の多門照射、ウェッジを用いた3門照射、原体照射
星細胞腫の予後○
IDH変異
予後不良因子
年齢40歳以上、腫瘍が6cm以上、正中を超える腫瘍、星細胞腫、神経症状あり
術後照射なしの場合の無増悪生存率
5年無増悪生存率:35%(照射ありでは55%)
※照射でOSに差はでない
髄芽腫@後頭蓋窩
鑑別
上衣腫、毛様細胞性星細胞腫
標準リスク
3歳以上、残存腫瘍が1.5cm3以下、播種なし
放射線治療
標準リスク群は全脳全脊髄(23.4Gy/13fr.)+後頭蓋窩にBoost30Gy程度
※これまでは全脳全脊髄(36Gy/20fr.)+後頭蓋窩にBoost18Gy/10fr.
予後
標準リスク5yOS:60~80%
高リスク5yOS:40~50%
遺伝子診断分類
WNT群、SHH群、Group3、Group4
ジャーミノーマ
生検の必要性
あり。病理によって治療方針が変わるため
行うべき検査
腫瘍マーカー測定、内分泌系検査、知能検査、視力・視野検査、髄液検査
画像:脊髄造影MRI、頭部造影MRI
腫瘍マーカー
APF、hCG(、CEA、PLAP)
放射線治療について
播種がなければ全脳室照射
ケモ後ならば24Gy、照射単独なら40~45Gy
ケモでCRでも照射は必要か
必要。その後の再発リスクを減らす
晩期障害
知能低下、下垂体機能低下、二次発がん
予後
10年OS:90~95%
上衣腫
鑑別診断
毛様細胞性星細胞腫、髄芽腫
治療方針
まず全摘を目指して手術。その後、小児でGradeⅠかつ全摘以外ならば術後照射を行う
Ⅱ:ependymoma、Ⅲ:anaplastic ependymoma
ケモは
有用なのがない
放射線治療の範囲と線量
局所照射
GradeⅠ→50.4Gy/28fr. 手術腔に~1cmマージン
GradeⅡ,Ⅲ→54~60Gy/30~34fr. 手術腔に1~2cmマージン
GTV:残存病巣と手術腔
CTV:GradeⅡ,Ⅲなら1~2cmマージン
PTV:CTVにIMとSMを加えた範囲
全脳全脊髄照射と比べたときのメリット
メリットは学習能力の低下が低減し、脊椎骨成長障害が防がれる。妊孕性が保たれる
デメリットは再発/播種のリスクがある
晩期合併症
脳壊死、二次発がん、学習能力低下、内分泌機能低下
予後
全摘なら5年OS:70~80%。全摘できなければ5年OS:25~40%
聴神経腫瘍
鑑別診断
髄膜腫、三叉神経鞘腫、類上皮腫(※造影効果なし)
治療方針
5cm以上なら手術、3~5cmならSRT(50Gy/25fr.)、3cm以下ならSRS(12Gy/1fr.)
SRTとSRSの違い
SRT:50Gy/25fr. 3~5cmの病変に行う。顔面神経機能温存率や有効聴力温存率が高い。PTVマージンはCTVに1~2mm。
SRS:12Gy/1fr. 3cm以下の病変に行う。PTVマージンはCTVに0~1mm
※GTV=CTVでMRIやCTで同定される腫瘍
髄膜腫
鑑別診断
髄膜腫、リンパ腫、転移性腫瘍、神経鞘腫
治療方針
基本は経過観察だが、3cm以上/症状出現(しそう)なら手術する。
GTV,CTV,PTV
GTV:CT/MRIで同定される腫瘍。GTVにdural tailは含めない。腫瘍に接する骨硬化部や浸潤部は含める
CTV:定位照射ではGTV=CTV
PTV:定位照射ではCTV+0~1mm=PTV
定位照射の処方線量
SRS:12~16Gy、SRT;25Gy/5fr
術後IMRT(or3DCRT)の処方線量
54Gy
経過観察での注意点
脳浮腫の増強や脳神経障害に注意
上咽頭癌
T
T1:上咽頭限局/中咽頭/鼻腔
T2:傍咽頭間隙/内・外翼突筋/椎前筋
T3:頭蓋底/頚椎/翼状突起/副鼻腔/斜台
T4:頭蓋内/脳神経/下咽頭/眼窩/外側翼突筋より外側
N
N1:患側6cm以下
N2:両(対)側6cm以下
N3:6cm以上、鎖骨上リンパ節転移(輪状軟骨より尾側)
Stage
Ⅰ:T1N0
Ⅱ:T2/N1
Ⅲ:T3/N2
ⅣA:T4
ⅣB:N3
ⅣC:M1
浸潤しやすい骨
蝶形骨や後頭骨:斜台
リンパ節領域
耳下腺頭側―Ib―舌骨尾側―Ⅵa―胸骨柄頭側
Ⅶb―Ⅱ―舌骨頭側―Ⅲ―輪状軟骨尾側―Ⅳ
Ⅹb―舌骨頭側―Ⅴ
行うべき検査
CT、MRI、PET、喉頭ファイバー、内視鏡検査、耳鏡
EBウイルス抗体検査、肝炎ウイルス検査、腎機能検査、脳神経学的診察、歯科受診
上顎洞の後ろの隙間と通る場所と神経
翼口蓋窩、上顎神経(正円孔→翼口蓋窩→眼窩下管)
治療方針
化学放射線療法(Ⅰ期のみ照射単独)
放射線治療
70Gy/35fr.
2Step法なら46Gy→24GyBoost
SIB法ならHigh Risk領域70Gy,Intermediate Risk領域に60Gy、Low Risk領域に56Gy
化学療法
同時併用でCDDP:40mg/m2/1w or 100mg/m2/3w
有害事象
早期:皮膚炎、粘膜炎、味覚障害、嚥下障害、中耳炎、唾液腺障害、喉頭浮腫、嗄声
晩期:口渇、味覚障害、聴力障害、中耳炎、視力障害、中枢神経壊死、甲状腺機能低下、う歯、リンパ浮腫、顎骨壊死、開口障害、頸動脈の動脈硬化、二次発がん
急性口腔粘膜炎への対処
口腔ケア、キシロカイン含嗽薬、歯科介入、鎮痛薬
皮膚炎への対処
保湿剤の使用や炎症の増強でステロイド含有の塗布剤を用いる
血球減少への対処
Grade4以上でGCSF製剤を使用し、照射を休止する
SIB法と2 Step法のメリットとデメリット
SIB法
メリット:計画が1回で済む
デメリット:低リスク部位への1回線量が低く、生物学的治療効果に疑問
2 Step法
メリット:標準分割法と同じスケジュールなので効果や副作用が予想しやすい
デメリット:2つのプランの線量分布合算ができない、2回治療計画が必要
中咽頭癌
T
T1:2cm以下
T2:2~4cm
T3:4cm以上/喉頭蓋舌面
T4a:喉頭/内側翼突筋
T4b:外側翼突筋/翼状突起/上咽頭側壁/頭蓋底
(p16+ではT4aとT4bの区別なし)
N p16+
N1:患側6cm以下
N2:両(対)側6cm以下
N3:6cm以上
Stage p16+
Ⅰ:
Ⅱ:T3/N2
Ⅲ:T4/N3
Ⅳ:M1
N p16-
N1:患側単発3cm以下
N2a:患側単発3~6cm
N2b:患側多発6cm以下
N2c:両(対)側6cm以下
N3a:6cm以上
N3b:節外浸潤あり(皮膚浸潤、神経浸潤、軟部組織浸潤)
Stage p16-
Ⅰ:T1N0
Ⅱ:T2N0
Ⅲ:T3/N1
Ⅳa:T4a/N2
Ⅳb:T4b/N3
Ⅳc:M1
口腔内所見の雛形
左/右の亜部位:前壁(舌根、喉頭蓋谷)、側壁(扁桃、口蓋弓)、後壁、上壁(軟口蓋下面、口蓋垂)に不整な隆起性病変あり
リンパ節のレベル
耳下腺頭側―Ib―舌骨尾側―Ⅵa―胸骨柄頭側
Ⅶb―Ⅱ―舌骨頭側―Ⅲ―輪状軟骨尾側―Ⅳ
Ⅹb―舌骨頭側―Ⅴ
行うべき検査
CT、MRI、PET、喉頭ファイバー、内視鏡検査
p16免疫染色、肝炎ウイルス検査、腎機能検査、歯科受診
治療方針
局所進行例は手術か化学放射線治療
CRTと手術のメリット・デメリット
CRT メリット:喉頭温存 デメリット:再発時の治療が限られる
手術 メリット:確実性 デメリット:失声
照射のスケジュール
70Gy/35fr.
2Step法のIMRTならば46Gyまで予防域を含めて照射し、その後、局所に限局して24GyのBoost照射を行う。リンパ節予防域として2.3.7(,4,5)を含める
※扁桃原発T2N1M0はヘミネック照射
化学療法
シスプラチン40mg/m2週に1度 / 100mg/m2 3週に1度
腎機能障害のある場合のケモ:セツキシマブ
有害事象
早期:粘膜炎、皮膚炎、味覚障害、嚥下障害、唾液分泌障害、嗄声、喉頭浮腫
晩期:口渇、味覚障害、甲状腺機能低下、う歯、リンパ浮腫、顎骨壊死、二次発がん
IMRTのメリット
耳下腺の平均線量を50Gy→25Gyへ、口内乾燥症のG2有害事象発生率を75%→20%へ
下咽頭癌
T
T1:2cm以下(1亜部位)
T2:2~4cm(1亜部位超)
T3:4cm以上/片側喉頭固定/食道進展
T4a:甲状軟骨/輪状軟骨/舌骨/甲状腺
T4b:椎前筋膜/頚動脈/縦隔
N
N1:患側単発3cm以下
N2a:患側単発3~6cm
N2b:患側多発6cm以下
N2c:両(対)側6cm以下
N3a:6cm以上
N3b:節外浸潤あり(皮膚浸潤、神経浸潤、軟部組織浸潤)
Stage
Ⅰ:T1N0
Ⅱ:T2N0
Ⅲ:T3/N1
Ⅳa:T4a/N2
Ⅳb:T4b/N3
Ⅳc:M1
ファイバー所見の例
左/右の亜部位(輪状後部(女性)、梨状陥凹(最多)、咽頭後壁(予後×))に不整な隆起性病変あり
治療方針
進行例:手術かCRT
化学療法
化学療法:シスプラチン40mg/m2週に1度 / 100mg/m2 3週に1度
照射のスケジュール
70Gy/35fr.
2Step法のIMRTならば46Gyまで予防域を含めて照射し、その後、局所に限局して24GyのBoost照射を行う。リンパ節予防域として2,3,4(5,7)を含める
歯科への診療情報提供書
顎骨への線量、顎骨壊死リスクの説明
有害事象
早期:粘膜炎、皮膚炎、味覚障害、嚥下障害、唾液分泌障害、嗄声、喉頭浮腫
晩期:口渇、味覚障害、甲状腺機能低下、う歯、リンパ浮腫、顎骨壊死、二次発がん
※CDDP併用では腎機能低下
舌癌
T1:経2cm以下かつ深さ5mm以下
T2:経4cm以下かつ深さ10mm以下
T3:経4cm以上/深さ10mm以上
T4a:下顎骨/上顎骨/上顎洞/皮膚
T4b:咀嚼筋間隙/翼状突起/頭蓋底/内頚動脈
N
N1:患側単発3cm以下
N2a:患側単発3~6cm
N2b:患側多発6cm以下
N2c:両(対)側6cm以下
N3a:6cm以上
N3b:節外浸潤あり(皮膚浸潤、神経浸潤、軟部組織浸潤)
Stage
Ⅰ:T1N0
Ⅱ:T2N0
Ⅲ:T3/N1
Ⅳa:T4a/N2
Ⅳb:T4b/N3
治療方針
T1/2:小線源治療/手術
T3/4:手術
ヘアピン/シングルピンで用いる小線源の線源と注意点
192Ir
顎骨壊死を防ぐため鉛入りのスペーサーを用いる
※ニードルは137Cs、グレインは198Au
低線量率と高線量率小線源治療の違い
低線量:医療者の被ばく、放射線管理区域内の治療病室の設置、酸素増感比が低い、照射中に再酸素化、細胞周期の同調が起こり放射線感受性が増す
高線量率:医療者の被ばくがない、一般病棟の入院で可、重篤な有害事象の報告もある
小線源治療での注意点
舌と下顎骨の間にスペーサーを装着し、有害事象の軽減をはかる
術後に断端陽性や節外リンパ節転移があった場合
術後CRTを行う
術後照射の範囲と処方線量
予防リンパ節領域としてpN0-2aなら患側頸部、N2b以上なら両頸部へ照射する。
レベル1,2,3は必須。4,5,健側は症例ごとに。
66Gy/33fr. 40~46Gy後にBoost
術後照射の注意点
先に歯科紹介を行い、抜歯が必要な歯は抜歯する
バイトブロックやマウスピースを使用する
甲状腺癌
乳頭癌・濾胞癌の肺転移あり
Stage
55歳未満のM1:StageⅡ
治療方針
放射線ヨウ素内用療法(131I 半減期8日間)
遠隔転移例
3.7~5.55GBq
取れるところは切除してから行う
予後(肺転移)
効果良好で5yOS:60%
急性期障害
唾液腺障害、消化器症状、味覚障害
原発不明癌
行うべき検査
CT、MRI、FNA、ファイバー、PET
EBウイルス抗体検査、p16免疫染色
口蓋扁桃摘出術、ランダム生検
治療方針
手術(頸部郭清)→照射(咽頭喉頭粘膜、両側頸部)(→ケモ(特にN2や節外陽性に)
放射線治療の範囲と線量
CTV:咽頭粘膜と患側リンパ節領域レベル2,3,4,5,7と健側リンパ節領域レベル2,3,4a
上記の予防域に46Gy照射後にBoostでTotal70Gy
下咽頭と喉頭を照射野から外した場合に減少する晩期有害事象
喉頭浮腫、咽頭狭窄、軟骨壊死
急性口腔粘膜炎への対処
口腔ケア、キシロカイン含嗽薬、歯科介入、鎮痛薬
Ⅰ~ⅡA期(T1~2)肺癌
T
T1:3cm以下
T1a:1cm以下
T1b:1~2cm
T1c:2~3cm
T2:3~5cm。主気管支に及ぶが、気管分岐部に及ばない。臓側胸膜浸潤。肺門まで連続する無気肺
T2a:3~4cm
T2b:4~5cm
T3:5~7cm。壁側胸膜、胸壁、横隔神経、心膜、同一肺葉内結節
T4:7cm以上。横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、気管分岐部、反回神経、食道、椎体、同側の異なる肺葉結節
N
N1:同側の気管支・肺門
N2:同側の縦隔。気管分岐下
N3:対側の縦隔・肺門。鎖骨上窩
M
M1a:対側肺、胸膜結節、悪性胸水、悪性心嚢水
M1b:1臓器
M1c:多発臓器
Stage
ⅠA:T1
ⅠB:T2a
ⅡA:T2b
ⅡB:T1~2/N1,T3N0
ⅢA:T1~2/N2,T3~4N1,T4N0
ⅢB:T1~2N3,T3~4N2
ⅢC:T3~4N3
行うべき検査
CT、PET、気管支鏡検査、頭部造影MRI、呼吸機能検査、KL6測定、TBLB
手術なら術式
肺葉切除(基本)/区域切除
放射線治療のエネルギーと処方線量
4~6MV(ビルドアップを抑えるため)
D95処方で42Gy/4fr. アイソセンター処方で48Gy/4fr.
※中枢性肺がんの場合にはアイソセンター処方で60Gy/8fr.
※中枢性肺がん;中枢気管支から距離が2cm以内/縦隔胸膜に接する場合
※超中枢性肺がん:中枢気管支に接する場合
定位照射のGTV,CTV,ITV,PTV,leaf margin
GTV:腫瘍体積
CTV:GTVと同一
ITV:CTVにIMを含めた領域
PTV:ITVにSMを含めた領域
門数
多軌道回転原体照射もしくはノンコプラナー三次元固定多門照射(6門以上)もしくは強度変調回転放射線治療(VMAT)
線量計算アルゴリズム
Superposition法以上で不均一補正を行う
Clarkson法とSuperposion法
Clarkson法は実測ベース、Superposition法はモデルベース
有害事象
早期:放射線肺臓炎、胸水、気胸、放射線食道炎、血痰
晩期:放射線肺臓炎、肋骨骨折、腕神経麻痺、心嚢水、消化管潰瘍、気管支狭窄、皮膚潰瘍
IGRTの加算条件
毎回の照射時に治療計画と照射直前の照射中心位置の三次元的な空間的再現性が5mm以内であることを照射室内で画像的に確認、記録して照射する治療。
照射位置の照合基準となる位置情報は体表面、骨構造、腫瘍のいずれかから取得できる。
呼吸移動対策
呼吸性移動対策を行わない場合に移動長が10mm以上であり、対策することで5mm以下にできるとき。
上記を毎回の照射で確認・記録すること。
呼吸性移動対策の例
酸素吸入、腹部圧迫、メトロノーム法、呼吸停止法
呼吸同期法、動体追尾法
呼吸移動対策の施設基準(人的施設条件)
医師:放射線治療を専ら担当する常勤医師
技師:5年以上の経験を有する放射線治療を専ら担当する常勤技師
精度管理者:放射線治療を専ら担当する技術者
体幹部定位照射
固定フレームあるいはシェルなどを用いて患者の動きを固定する
固定精度が5mm以内なことを毎回の照射で確認、記録
三次元的な放射線照射(5~10門の固定多門/多軌道回転運動照射)
定位照射の施設基準
人的配置:
医師:放射線治療を専ら担当する常勤医師
技師:5年以上の経験を有する放射線治療を専ら担当する常勤技師
精度管理者:放射線治療を専ら担当する技術者
施設基準
直線加速器、治療計画用CT装置、三次元放射線治療計画システム、固定フレームあるいはシェル、水ファントムを有する
治療成績
局所制御率は90%、5年OS:54%
Ⅲ期非小細胞肺がん
T
T1:3cm以下
T1a:1cm以下
T1b:1~2cm
T1c:2~3cm
T2:3~5cm。主気管支に及ぶが、気管分岐部に及ばない。臓側胸膜浸潤。肺門まで連続する無気肺
T2a:3~4cm
T2b:4~5cm
T3:5~7cm。壁側胸膜、胸壁(SST)、横隔神経、心膜、同一肺葉内結節
T4:7cm以上。横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、気管分岐部、反回神経、食道、椎体、同側の異なる肺葉結節
N ※原発巣が所属リンパ節に浸潤している場合はリンパ節転移とする
N1:同側の気管支・肺門、肺門リンパ節
N2:同側の縦隔。気管分岐下
N3:対側の縦隔・肺門。鎖骨上窩
M
M1a:対側肺、胸膜結節、悪性胸水、悪性心嚢水
M1b:1臓器
M1c:多発臓器
Stage
ⅠA:T1
ⅠB:T2a
ⅡA:T2b
ⅡB:T1~2/N1,T3N0
ⅢA:T1~2/N2,T3~4N1,T4N0
ⅢB:T1~2N3,T3~4N2
ⅢC:T3~4N3
レントゲン所見の雛形
左/右の上肺野/中肺野/下肺野に腫瘤影あり
行うべき画像検査
CT、頭部造影MRI、PET
他:腫瘍マーカー、TBLB(経気管支肺生検)、腎機能検査、気管支鏡検査、喀痰細胞診、呼吸機能検査
気管支鏡下生検中の透視画像。何をしているか。
TBLB
マーカー
SCC:SCC、CYFRA
CEA:CEA、SLX
治療方針
耐術能なし/切除不能N0-1/N2-3ならば化学放射線療法+デュルバルマブ地固め療法
CRTの治療方針
CRT。化学療法はCD(シスプラチン+ドセタキセル)療法とCP(カルボプラチン+パクリタキセル)療法。CRT後にデュルバルマブにて地固め療法を行う。
耐用線量:
肺:V20<35~40%、V5<70%、Mean Dose<20Gy
心臓:V50<25%、Mean Dose<20Gy
食道:Mean Dose<34Gy
高齢者の場合のケモ
低用量カルボプラチン30mg/m2/day
照射後に浸潤影が拡大、その後縮小。行われた治療は
ステロイド治療(放射線肺臓炎の治療)
無気肺がある肺癌への治療への注意点
無気肺改善後に治療計画を再計画する
小細胞肺癌
T
T1:3cm以下
T1a:1cm以下
T1b:1~2cm
T1c:2~3cm
T2:3~5cm。主気管支に及ぶが、気管分岐部に及ばない。臓側胸膜浸潤。肺門まで連続する無気肺
T2a:3~4cm
T2b:4~5cm
T3:5~7cm。壁側胸膜、胸壁(SST)、横隔神経、心膜、同一肺葉内結節
T4:7cm以上。横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、気管分岐部、反回神経、食道、椎体、同側の異なる肺葉結節
N ※原発巣が所属リンパ節に浸潤している場合はリンパ節転移とする
N1:同側の気管支・肺門、肺門リンパ節
N2:同側の縦隔。気管分岐下
N3:対側の縦隔・肺門。鎖骨上窩
M
M1a:対側肺、胸膜結節、悪性胸水、悪性心嚢水
M1b:1臓器
M1c:多発臓器
Stage
ⅠA:T1
ⅠB:T2a
ⅡA:T2b
ⅡB:T1~2/N1,T3N0
ⅢA:T1~2/N2,T3~4N1,T4N0
ⅢB:T1~2N3,T3~4N2
ⅢC:T3~4N3
必要な検査
造影CT、頭部造影MRI、PET
腫瘍マーカー検査、腎機能検査、呼吸機能検査、気管支鏡検査、喀痰細胞診、生検
腫瘍マーカー
NSE、ProGRP
CT画像所見の特徴
Ⅰ型:気管支の長軸にそって気管支樹の形態
Ⅱ型:腫瘤形成
LD型とは
病変が同側胸郭内に加え、対側縦隔、対側鎖上リンパ節に限られる
化学療法
EP(シスプラチン+エトポシド)療法
GTV
肺野条件で認められる原発巣および転移リンパ節
CTV
GTV+0.5~1.0cm。予防的リンパ節領域として同側肺門、気管分岐部、上縦隔リンパ節領域を含める。
※上縦隔リンパ節転移があるときは同側の鎖骨上窩リンパ節領域を含める
※鎖骨上窩リンパ節転移があるときは両側の鎖骨上窩リンパ節領域を含める
照射スケジュール
リンパ節転移予防域を含めて加速寡分割照射:45Gy/30fr./3w
36Gy照射後に脊髄を遮蔽して局所照射を行う。
リンパ節領域
鎖骨上窩リンパ節、上部気管傍リンパ節、下部気管傍リンパ節、気管分岐下リンパ節、気管後リンパ節、食道傍リンパ節、血管前リンパ節、大動脈傍リンパ節、肺門リンパ節
線量制約
脊髄D2<36Gy、肺V20<35%
照射中に関して気をつけること
照射間隔を6時間以上空ける、早期有害事象として放射線食道炎に注意する
CRになったら行うべきこと
PCI(25Gy/10fr.)
PCIのメリット
脳転移の減少、全生存率の向上
予後
5年生存率:20%前半 ※近年では30%前半の報告も
腫瘍随伴症候群
SIADH、ランバートイートン症候群
乳がん(乳房温存術)
ケモ中/後で切除前はyc、切除後はyp
T
Tis:DCIS、LCIS、Paget
T1mi:0.1cm以下
T1a:0.1~0.5cm、T1b:0.5~1cm、T1c:1~2cm
T2:2~5cm
T3:5cm以上
T4a:胸壁、T4b:皮膚、T4c:胸壁+皮膚、T4d:炎症性乳癌
pN
N1mi:腋窩0.2~2mm(微小転移)
N1a:腋窩1~3個
N2a:腋窩4~9個、N2b:胸骨傍LNマクロ+
N3a:腋窩10個以上/鎖骨下LN
N3b:腋窩1~3個かつ胸骨傍LNマクロ+ / 腋窩4個以上かつ胸骨傍LN微小+
N3c:鎖骨上LN
Stage
ⅠA:T1N0
ⅠB:T1Nmi
ⅡA:T1N1、T2N0
ⅡB:T2Nmi、T2N1、T3N0
ⅢA:N2/T3N1
ⅢB:T4
ⅢC:N3
必要な検査
マンモグラフィ、造影MRI、エコー、生検(FNA:穿刺吸引細胞診/CNB:針生検)
※CNBではバイオマーカーの測定ができ、悪性を疑うときに施行する
サブタイプ
ルミナルA:ホルモン治療
ルミナルB:ホルモン治療+ケモ
ルミナルHER2:ホルモン治療+化学療法+分子標的薬
HER2型:ケモ+分子標的薬
トリプルネガティブ:ケモ
※ホルモンは照射後が基本。同時もできなくはない。
※化学療法はRT前
※分子標的薬=トラスツズマブ
ホルモン治療薬
閉経前:タモキシフェン
閉経後:アロマターゼ阻害薬
ホルモン治療と照射の時期
上乗せ効果があるエビデンスもないが、重篤な有害事象も報告されていないため、必要に応じて同時も考慮して良い
術後照射について
温存乳房に術後照射を行う
50Gy/25fr.が基本だが、近年は寡分割照射(42.56Gy/16fr.)もあり(日本では50歳以上、T1/2、化学療法なしに推奨)。
断端陽性の場合の追加治療
部分切除かブースト照射
ブースト照射の範囲と線量 ※ブーストは断端陽性や若年者(50歳以下)に行う
手術時にクリップを留置しておくことが望まれる。クリップがされていないときは手術記録やエコーによるマーキングを参考に腫瘍床の正確な位置を把握して照射する。
線量は10Gy/5fr.が最も多い
寡分割照射のメリット
短期間で終了できる、有害事象(乳房萎縮、毛細血管拡張)が通常分割と同様またはやや軽度
寡分割照射の保険に関する要件
1回2.5Gy以上で1回線量増加加算が算定できる
照射に期待される効果
局所再発の減少と全生存率の向上(生存率はDCISは除く)
心臓線量を落とすには
吸気息止めで照射、IMRT
物理ウェッジの問題点は
対側乳房への散乱線の増加
温存乳房照射が禁忌
患側上肢挙上困難、活動性の強皮症やSLE、Li-Fraumeni症候群、妊娠中(絶対禁忌)、患側乳房や胸壁への照射歴
有害事象
早期:皮膚炎
亜急性期:放射線肺臓炎
晩期:色素沈着、リンパ浮腫、肋骨骨折、心障害
術後フォローアップについて
マンモグラフィを年に1回行う
乳がん(乳房切除)
ケモ中/後で切除前はyc、切除後はyp
T
Tis:DCIS、LCIS、Paget
T1mi:0.1cm以下
T1a:0.1~0.5cm、T1b:0.5~1cm、T1c:1~2cm
T2:2~5cm
T3:5cm以上
T4a:胸壁、T4b:皮膚、T4c:胸壁+皮膚、T4d:炎症性乳癌
pN
N1mi:腋窩0.2~2mm(微小転移)
N1a:腋窩1~3個
N2a:腋窩4~9個、N2b:胸骨傍LNマクロ+
N3a:腋窩10個以上/鎖骨下LN
N3b:腋窩1~3個かつ胸骨傍LNマクロ+ / 腋窩4個以上かつ胸骨傍LN微小+
N3c:鎖骨上LN
Stage
ⅠA:T1N0
ⅠB:T1Nmi
ⅡA:T1N1、T2N0
ⅡB:T2Nmi、T2N1、T3N0
ⅢA:N2/T3N1
ⅢB:T4
ⅢC:N3
抗がん剤と放射線の順番
先に抗がん剤(遠隔転移予防やリコール現象の予防のため)
エキスパンダーとインプラントを入れる場合の照射の時期と合併症
インプラント後に照射
合併症:インプラント逸脱、整容性低下、被膜拘縮
傍胸骨リンパ節を入れる場合
腋窩リンパ節転移4個以上、内側区域(A/B)で腋窩リンパ節転移1~3個陽性
傍胸骨リンパ節
胸骨傍リンパ節 頭側:第1肋骨内側上面 尾側:第4肋骨上面
傍胸骨リンパ節を照射に含めるときの注意点
心臓や肺の線量に注意
再発率
RTなしで20~30%、RTありで5~10%
PMRTのCTV
手術創を含む胸壁と鎖骨上リンパ節領域(+内胸リンパ節領域)
PMRTの意義
再発率の低下と全生存率の向上
有害事象
早期:皮膚炎、食道炎
晩期:放射線肺臓炎、皮膚色素沈着、上肢リンパ浮腫、肋骨骨折、心障害、上腕神経叢障害
食道がん
T
Tis:上皮内、T1a:粘膜、T1b:粘膜下層
T2:固有筋層
T3:外膜
T4a:胸膜、心外膜、横隔膜
T4b:その他の臓器
N
N1:1~2個、N2:3~6個、N3:7個以上
※鎖骨上リンパ節はM1になる
Stage(SCCの場合)
Ⅰ:T1N0
Ⅱ:T2N0/1、T3N0
Ⅲ:T3N1/N2
Ⅳa:T4、N3
Ⅳb:M1
行うべき検査
内視鏡、生検、CT、PET
内視鏡所見の例
全周性/半周性に腫瘤性病変あり/一部に潰瘍を伴う
透視画像の所見の例
上部/中部/下部食道に不整な隆起性病変あり。
バリウムが停滞している。
治療方針
T1aN0なら内視鏡的切除。T1N0には腔内照射もあり。
Ⅰ期:手術/CRT
Ⅱ~Ⅲ期:術前ケモ+手術/CRT
Ⅳ期:CRT
T1bでのリンパ節転移率
20~40%
放射線治療
60Gy/30fr.
40Gyはリンパ節の予防域を含めて照射し、20Gyの脊髄を照射野から外したBoost照射を行う。
抗がん剤
通常はFP療法(5FUとCDDP)
腎機能障害(eGFR 40以下)はNF(5FUとネダプラチン)や5FU単独
有害事象
急性:皮膚炎、食道炎、放射線肺臓炎
晩期:放射線肺臓炎、胸膜炎、食道狭窄、甲状腺機能低下、心膜炎、心血管障害、心筋障害
予後
Ⅰ期:5yOS 80%
Ⅱ~Ⅲ期:3yOS 75%
切除不能T4/M1 lymph:5yOS 18%
直腸癌
直腸の解剖(Rs,Ra,Rb)
岬角―Rs(直腸S状部)―S2下縁―Ra(上部直腸)―腹膜翻転部―Ra(下部直腸)―恥骨直腸筋付着部上縁
Tis:上皮内癌 T1:粘膜下層 T2:固有筋層 T3:漿膜下層、直腸周囲組織
T4a:臓側腹膜 T4b:他臓器に直接浸潤
N1:1~3、N2:4個以上
M1a:1臓器 M1b:2臓器以上 M1c:腹膜転移
StageⅠ期:T1/T2N0 ⅡA期:T3 ⅡB:T4a ⅡC:T4b Ⅲ:N1/2
必要な検査
胸部骨盤CT、骨盤MRI、PET、内視鏡、生検
局所進行直腸癌の治療方針
術前CRT+手術(6~8週後に行う。CRが高いのは12週目)
術式
直腸S状部:高位前方切除術
直腸上部:低位前方切除術
直腸下部:マイルス手術
術前照射の術後照射に優る点
術前照射は術後照射に局所再発率、有害事象、肛門温存率で優る ※OSは不変
放射線治療の線量と領域リンパ節
小骨盤照射(45Gy/25fr.)、3門以上の照射、腹臥位
CTVに直腸間膜、内腸骨(閉鎖)、仙骨前リンパ節領域を含める
※T4では外腸骨リンパ節領域も含めることも考慮
GTV
原発巣と腫大したリンパ節
CTV
GTVに0.5~1cmマージンをとり、原発巣GTVに対しては頭尾側に2~3cmマージンをとる。所属リンパ節領域として直腸間膜、内腸骨(閉鎖)、仙骨前リンパ節領域を含める。
化学療法
5FU/カペシタビン(いずれにしろ単剤)
予後
術前照射でのpCR率:10~35%(20%) ※watch and waitは臨床試験内
局所進行直腸癌の5yOS:65~75%、5y局所制御率:91~94%
術後病理用語
Pn:神経侵襲、Ly:リンパ管侵襲、V:静脈侵襲
HM:水平断端、VM:垂直断端
ここから先は
¥ 4,980
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?