2022年度 放射線科専門医試験(一次試験) 治療分野 解答解説
70~90まで解説しています。
公開しているまとめノートがあるとより理解が深まると思います。
返金は受け付けておりません。1/3は公開しておりますので、検討の上、申し込みください。
70
解答:c
ゾーフィゴ
骨転移へ適応
223Ra(半減期11.4日)、α線(飛程は100μm以下)、排泄は糞便。
OS延長効果あり(緩和だけでなく治療の意味がある)。たまに血球減少を起こす。
バイオマーカーはALP
アビラテロン(CRPCへの抗アンドロゲン薬)と併用禁忌(骨折リスクのため)、内蔵転移に禁忌。
静注を4週間に1度。最大6回(外来で治療可能)。
a 内蔵転移に禁忌
b 適応は骨転移
c OS延長効果がゾーフィゴのすごいところ
d α線
e バイオマーカーはALP
71
解答:a、e
治療計画で用いる体積の定義
GTV:肉眼的腫瘍体積 ※術後なら存在しない
CTV:GTVに腫瘍の微小浸潤領域を加える
ITV:CTVにIM(体内移動[インターナル]マージン。呼吸などによるずれ)を加える
PTV:ITVにSM(セットアップマージン。治療機器によるずれ)を加える
PRV:リスク臓器にマージンを加える
TV:治療効果が認められる体積(一般には処方線量の95%領域)。これにPTVが入るように計画する
☆GTV<CTV<ITV<PTV<TV
並列臓器と直列臓器
直列(1箇所やられたらダメになる):脊髄、消化管、神経、気管
並列(1箇所やられても他で代償可):腎臓、肝臓、肺
直列臓器は最大線量を抑えるように、並列臓器は平均線量を抑えるように計画する
例えば脊髄の最大線量を48Gy以下にする、など
強度変調放射線治療(IMRT)
放射線強度の調整を行うことで、三次元的な線量分布を最適なものにする照射法
線束強度を変化させた3種類以上のビームもしくは回転ビームを用いる
IMRTでは通常の普通の照射(コンベンショナル照射)のように処方点(リファレンスポイント[ICRU基準点]処方もしくはアイソセンター処方[リファレンスポイントをアイソセンターとする線量処方])ではなく、ターゲットそのものへのどのくらい当てるというVolume処方を行う。例えばPTV D95処方(処方線量をPTVの95%の体積に投与すること)やPTV D50処方(処方線量をPTVの50%の体積に投与すること)である
先に処方線量を決めてその後にBEAMの強さが変わるという通常の照射とは逆の治療計画の順番となるのでインバースプラン(後ろ向き計画)と呼ばれる
高精度なプランなので症例ごとに物理学的な検証が必要
a 脊髄は最大線量を抑える
b D2とは体積の2%に当たる線量。最大線量の代わりに用いられる
c PTVをTVでカバーするようにする。一般にTVは処方線量の95%
d ITV=CTV+IM
e アイソセンター処方とはリファレンスポイント(ICRU基準点)をアイソセンターに置くこと。リファレンスポイントへ処方線量を照射する
72
解答:c
前立腺癌の密封小線源療法(ブラキ、組織内照射)
一般的には125Iを用いた永久挿入で行う(最短1日入院で可能)
低線量率照射
※線源に192Irを用いた高線量率密封小線源療法を行う施設もあるが、これは永久挿入ではない
73
解答:d
定位照射
比較的小さな標的に照射中心の固定精度を高くして大線量を投与する
適応は肺癌、肝癌、腎癌、前立腺癌、脊椎腫瘍、膵癌、オリゴメタ、転移性脳腫瘍、聴神経鞘腫、動静脈奇形
体幹部定位放射線治療:照射中心位置のずれ(固定精度)が5mm以内
74
解答:c
菌状息肉腫
全身に広がっている場合には全身皮膚照射を検討
前からと後ろからの2門照射
75
解答:d
Ⅲ期非小細胞肺癌
治療方針:耐術能なし/切除不能N0-1/N2-3ならば同時化学放射線療法+デュルバルマブ地固め療法
※対側肺門リンパ節転移例は根治照射不可能
※T4症例やSST(Pancoast腫瘍)の術前治療は化学放射線療法。SSTの5yOS:50%
※術後照射:N2で検討
※切除可能例での術前治療は化学療法
放射線治療
処方線量は60-66Gy
耐用線量:
肺:V20<35~40%(1~2%で致死的肺臓炎が起こる)
※下葉病変はIM(インターナルマージン、体内マージン)が大きいので注意。4D CT(呼吸性移動の把握)や呼吸移動対策が有用
※照射野内にairが多く、不均一補正が必要
※近年は予防的リンパ節領域を含めない方向
a 造血幹細胞移植の前処置として全身照射
b 131Iは甲状腺分化癌に用いる。肺転移は比較的予後が良い
c 子宮頚癌は腔内照射を併用する
d 肺癌への定位照射はⅠ/Ⅱ期
e 頭頚部癌へのIMRTで耳下腺を守る
76
解答:a
術前照射といえば直腸癌
直腸癌
局所進行直腸癌の治療方針:術前CRT+手術
術前照射は45Gy/25fr.(4門もしくはウェッジを用いた3門照射)
※近年では25Gy/5fr.も
※腹臥位で照射することで腸管の線量を低減できる
外腸骨リンパ節領域は照射野に含めない
ケモは5FUまたはカペシタビン
77
解答:a
ジャーミノーマ(胚腫)
15歳程度の男児に多い
治療方針:RT単独
全脳室照射で40~50Gy。ただし近年は線量低減目的にケモ併用で24Gy
5y年OS:90%以上
その他の胚細胞腫瘍の治療方針
予後良好群(10年OS:80~90%)
成熟テラトーマ 手術単独
予後中間群(5年OS:70%)
未熟テラトーマ、悪性転化テラトーマ 手術+術後照射
予後不良群(5年OS:10~30%)
卵黄嚢腫瘍、胎児性癌、上皮絨毛癌など 手術+照射+ケモ
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解答:e
上咽頭癌
治療方針:化学放射線療法(Ⅰ期のみ照射単独)
※低ステージでも全頸部に広く予防域をとる
EBVと関連
※IMRTで副作用の軽減だけでなく、生存率の改善が示されている
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解答:b、d
小細胞肺癌
※肺癌の中で15%程度で診断時からリンパ節転移や血行性転移を伴っていることが多い
※限局型と進展型に分けて治療方針を決定する
限局型(LD型)
治療方針
Ⅰ期(T1/2N0M0):手術+術後ケモ
※手術が不可能なら定位照射を行う
その後、完全奏効(CR)となれば予防的全脳照射(25Gy/10fr.)を追加する
Ⅰ期以外:ケモ+RT(ケモ開始後早期に。腫瘍の再分布)
放射線治療は加速過分割照射(45Gy/30fr./3w)を行う。※1日2回照射
その後、完全奏効(CR)なら予防的全脳照射(25Gy/10fr.)を追加する
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