2024/8/24(土)の宿題:恥ずかしい
『今日の宿題』(Rethink Books編、NUMABOOKS)に毎日取り組んでみる35日目。本日は三角みづ紀さんからの出題。今回は全文引用する。
名前を付けること
子供やペットに名前を付けることを経験したことがない。それどころかぬいぐるみにもほとんど名前をつけない。小さい頃に書いていたキャラクターには名前をつけたけど忘れてしまった。noteを始めるときにつけた「黴原」は特に意味があるものではない。カピバラを漢字で書いたらどうなるかなと考えていたときに思いついたのをメモに残していて、苗字っぽいからそのままつけた、それだけ。他の候補は「有墓(あるぱか)」だったが、「墓」が入ってると思想強そうかなあと思ってやめた。
名前をつけることの責任から逃れたい。名は体を表すというように、名前の通りにその先の人生やペット生やぬいぐるみ生を歩んでいくことになりそうだから。
かの有名な「ちいかわ」の作者ナガノさんはもともと、ちいかわを似鳥、ハチワレを池谷、うさぎを鈍器としようと思っていたらしい。その名前だと多分いろいろ危うくて今のキャラクター生は送れなかったかもしれない。名前は大事だ。
名前の付け方、特に本のタイトルの付け方が上手すぎると思うのは、私のnoteで何度も出ているが高瀬隼子さんだ。
「犬のかたちをしているもの」、これは本を読んでいくと、愛のことを指すタイトルだとわかる。それがわからなくても、何が犬のかたちをしているの? と興味を引くタイトルだし、読めばその意味が分かって沁みる。
「水たまりで息をする」、これはタイトルと装丁でジャケ買いした。息苦しさを感じる、美しいタイトルだと思う。
「おいしいごはんが食べられますように」、これは芥川賞受賞作だ。会見の際に高瀬さん本人が言っていたが、タイトルは3人の主要人物の誰が言った言葉か、というのが読むたびに違った印象になる。おもしろい。
そのほかにも、「いい子のあくび」「うるさいこの音の全部」「め生える」「いくつも数える」などタイトルと内容が見事に調和しているが、タイトルだけでも楽しめる作品ばかりだ。
と、好きなタイトルについてひととおり語ったところで、そろそろ本題に戻らなくてはならない。自分が一冊の本だとしたらタイトルはなにか。あー、正面から考えたくないよ。
だいたい、自分のことなんか自分が一番俯瞰して見られないんだから、タイトルをつけるのなんか無理だ。
人に言われたことがあって自分も心当たりがある単語で言うと、「頑固」「繊細」「真面目」「芯が強い」……芯の話なんて、なんかろうそくのことみたいだ。ふっと吹けば消えてしまうメンタルの弱さもある。ろうそくメンタル。しかもそのろうそくは、中に花とかが埋まっているおしゃれなキャンドルじゃなくて、仏壇に立てるような、白くて真っすぐな遊びのないやつ。タイトルは『真っすぐなろうそく』とかどうだろうか。
いや、恥ずかしい。真面目に考えて名前をつけるの恥ずかしすぎる。これを読んだ人に「へえ~そういう名前つけちゃうんだ」とかも思われたくない。いつ何時も自意識が過剰で何もかも恥ずかしいと感じてしまう。やっぱりタイトルは『恥』とかにするか。それはそれで太宰治みたいで恥ずかしい。何もかもが恥ずかしい。
おすすめの曲です。
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