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2024/9/26(木)の宿題:夢を見ながら死ぬこと

 『今日の宿題』(Rethink Books編、NUMABOOKS)に毎日取り組んでみる68日目。本日は穗村弘さんからの出題。

夢の中の自分や家族や人生は現実とはちがっていることがある。
でも、眠っている時はそれがすべてなのだ。
もしも、夢を見ながら死んだら、本人にとっての現実はどうなるんだろう?

『今日の宿題』Rethink Books編,153頁

 現実ではもう簡単に連絡できないけれど、ずっと心に引っかかっている人がいて、結構な頻度でその人の夢をみる。

 以前付き合っていた人とは変な別れ方をしたわけではないが、別れて以来連絡をとらなかった。とる用事はないし、とるべきではないと、なんとなく思っていた。しかしその人が幸せであってほしいとずっと思っていて、なんとなくあの人に別れを切り出してしまったことであの人を放り出した気持ちでいた。
 時折夢でその人を見る。元気そうに笑っている。「元気してた?」と言われる。私も笑って返事をする。ただそれだけの会話がずっとしたかった。それぞれの場所で元気で幸せでいることを確認しあいたかった。
 目が覚めてそれが夢だったことに気づくと、結構がっかりする。勝手に和解できた気になってほっとしたのは現実ではなかったのだと。

 高校時代の友人は明るくて優しいいい子で、いつも笑顔だった。卒業しても仲が良かった4人でたまに集まっていた。互いの大学生活の話をする中で、彼女が家族間で抱える問題、恋人との間に抱える問題が見えることがあった。そこに適切に寄り添えていたのか、今でもわからない。
 彼女は昨年、仲が良かった4人のLINEグループを抜けた。彼女は何も言わなかった。うち1人の結婚式にも来なかった。近くに行くから会おうと言っても断った。
 私たちがなにかしてしまったのか、彼女自身の抱える問題に由来するのか、何もわからない。彼女の負担になりそうなので、こちらから連絡するのもはばかられる。
 そんな彼女もまた私の夢によく出てくる。明るく笑っていて、「ちょっと調子悪かったんだー」と言う。私は安心して笑う。彼女の元気を確かめられて満足する。
 しかし、目が覚める。やはり今回も夢。これは絶望する。現実の彼女とはまだ連絡できない。



 こんな夢を見ながら死ぬことができたら、それは私の現実になるのに。たまにそんなことを思いながら、それでもままならない現実を生きていくほかない。


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