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2024/9/16(月)の宿題:古い写真の魅力

 『今日の宿題』(Rethink Books編、NUMABOOKS)に毎日取り組んでみる58日目。本日は畠山直哉さんからの出題。

あるアメリカの批評家が「写真は建築に似ている」と言いました。
なぜなら「古さが魅力につながることがあるから」。
確かに古い写真は、古い建築のように長い時間の堆積を感じさせ、私たちを驚かせたり感心させたりすることがあります。
ところで現在の日本では、建築はあらかじめ耐用年数が来たら壊すことを前提にして造られるようになっており、その結果「建築は常に新しい」という状況が生まれています。
災害列島でもあるせいか、
新しく建てられる建築は、永遠を目指すことなど最初から諦めているようにも見えますが、では、現代の写真はどうでしょう?
写真は永遠を目指して撮られているのでしょうか?
スマホの写真が今後「古さの魅力」を持つことはあるのでしょうか?

『今日の宿題』Rethink Books編,125頁

 写真は永遠を目指して撮られているのかということについて。

 赤ちゃんの私を両親や祖父母が撮影した写真を何枚も見て、これは永遠を目指して撮られた写真だと思った。一番かわいい頃の私を撮っておいてくれてありがたかった。
 写真を撮ることが、風景や食べ物を「映え」として消費するための行動であると認識されて、もう何年経つだろうか。SNSにアップされるための写真が、永遠を目指して撮られているとは、私は正直思えない。
 永遠を目指したものであろうがなかろうが、一度ネットにアップしたものが誰かに保存されていれば、それは完全に消してしまうことができなくなる。必然的にSNSの写真は永遠となっているのかもしれないけれど。
 そんな中でも、永遠を目指して撮られた写真もたくさんあるはずだ。子供の写真、家族の写真、美しいものの写真、戦争の写真。誰かに何かを伝えたくて、この瞬間を絶対に残しておきたくて、撮られざるをえなかった写真が。


 また、スマホの写真が今後「古さの魅力」を持つことはあるのかということについて。

 この出題は2016年7月29日のもの。きっとこの時点は、スマホの写真の画質がどんどん良くなっていた頃だと思う。
 2024年の今、スマホで撮る写真はとても鮮明になり、拡大すれば瞳に反射した風景すら見えるほどになった。
 そんな進化があるばかりではない。最近、画質の悪い写真のリバイバルしている。フィルムカメラ、写ルンです、デジカメ、ガラケーの写メ、ゲーム機での写真撮影機能まで。昨年頃からY2Kが流行り始めたことに連動しているように思う。
 言うまでもなく、ガラケー等の写メは画質がガビガビだ。そこに趣を見出すというのはまさに「古さの魅力」に注目している状態じゃないか。

 ということは、今スマホで撮る写真は限界まで鮮明だと思っていても、20年後にはなんとなく古さを感じる仕上がりになっているのだろう。そのときにはスマホの写真が「古さの魅力」を持つことになるかもしれない。

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