さくら
桜ってムカつく、
毎年この季節になると正しく咲いて、誰からも嫌われなくて、街歩く人に誉められてムカつく
散ると散ったで別れを惜しまれて、しばらく時間が経ったらまた正しく咲いて。
誰もが正しく咲けるわけじゃないのにさくらは必ず咲く。しかもいい季節に。
正直言ってずるい、植物のくせにずるい。
せめて臭かったらいいのに、形が気持ち悪かったらいいのに、色がもっと汚かったらいいのに、!!(なんつって)
だからと言ってさくらのことは嫌いじゃない、それもまたムカつく。
捻くれてるからそんな事を思ってしまう。
主人公が難病で死んでしまう系の恋愛小説でよくありそうな例えで恥ずかしいけど、さくらを見ると思い出す人がいる。
佐藤くん
彼はサッカーをしていて、前髪が長かった。鼻筋が通っていたからサッカーをしている横顔が綺麗だった。でも、卒業してからもうしばらく会っていない、多分4年くらい。彼はバンドが好きだった、特にクリープハイプ。だからクリープハイプが好きになった、
(余談、当時彼の好きだった曲はイノチミジカシコイセヨオトメでした!)
春、
出会いや別れの季節に出会った。
彼と会わなくなったと同時にクリープハイプとここまできた、まるで乗り換えるように。だから、クリープハイプとは4年の関係。
16、17。
受験に失敗してなんとなく適当な高校に進学して、そこで友達ができた。ずっと一緒にいた。けど、喧嘩もしてないのに急に気まずくなって結局は性格が合わなくてあっという間にひとりになった。
末っ子として生まれてきた私は可愛がられて育った。5本入りのアイスはいつも多く私が食べて、母が買ってきたケーキは決まって私が最初に好きなのを選んでいた。だから辛かった。退屈で寂しくてたまらなかった。どこを見ても居場所がなかった。時々クラスメイトが手を差し伸べてくれた時もあった。でも自分に気を遣ってくれてるみたいで、ニセモノな気がして、なんか嫌だった。他人のスリッパを履いた時の、足の指の形が合わない、あの感覚に似ていた。だから拒んだ。
教室にいる時は窮屈ででも自分には何もなくて、孤独だった、わたしはいつまでも空っぽだった。
みんながあたしからいくら離れていっても音楽(クリープハイプ)は離れなかった。離れないからわたしも好きで居続けた。本も読んだし音楽もたくさん聴いた。中でも夜と朝の間の薄暗くて短い時間に散歩しながら聴くのが好きだった。その時もいつもとか変わらずひとりぼっちだったけどその時間だけはそっちの方がいい気がして得意げだった。そうやってなんとなく過ごした。
18、
高校を卒業した。かったるい日々が終わって嬉しかった。今、18、子供と大人の境目にいて、毎日もどかしい。あーゆーことをするのには心の準備ができてないし、だからと言って足をバタつかせて泣き叫ぶのはみっともない。一生大人になりたくないし、だからといって時間は止められないから美しいうちに死にてーーとか思ってた。今もちょっと思ってる。
楽しみにしていたクリープハイプのライブ。
会場に"しょうもな"のイントロ音が響いたとき涙が溢れた。なんでなのかわからないしこの涙は最後までとっておきたかった、周りの人に可笑しな目で見られても、止まらなかった。今まで頑張ったねって音に励まされてるみたいだった。会場に響く音に抱きしめられるように包まれた。
帰りの新幹線に間に合わせるために終わってすぐ会場を出た。薄暗くなった空を水溜りが反射して私には心地よかった。水踏んでを脚に跳ねた水さえも気持ちが良かった。そのとき本当にしあわせで、死にたいのに死ねなくて生きたいのに上手に生きれなくて、高校生活辛かったけど久しぶりに生きててよかったと思えて、電車でも新幹線でも家に帰っても涙が止まらなかった。
(クリープハイプのお兄さんたちへ、心からありがとう)
新生活
大学の最初の登校日、大学では友達ができて楽しく過ごしたいと思い、期待と不安をリュックに詰めて家を出た。結局そいつらは家に持ち帰った。何もしてないのに疲れた。今日に関しては何もしてないから疲れたが正しいのかもしれない。
ただ、もうこのままずっとひとりでもいいやと思った。いつもみたいに音楽だけが寄り添ってくれれば十分だと思った。あたしが贅沢だった。
渇望
今は欲張らないで、いつかは素敵なお家を買ってふっかふかの大きなベットと好きな本がたくさん置ける本棚を置いて、ときどき超美味しいご飯を食べたり高いアイス買ったりして過ごしたい、
ひとりでもいい
もし、未来のあたしがひとりで居ないのならばいっぱい愛されて苦しくなるほど抱きしめてられたい。一日中ごろごろして、たまに外でデートして。
でもそしたら私にとってクリープハイプが必要な存在ではなくなってしまうかもしれない、それが怖い、けどそんなことはわからない。私とクリープハイプの関係は何年経ってもそういうもの、
でも
死ぬまで一生愛していたいと思ってるよ、