【考察】Magic: the Getheringはファン250万人を失った?/MTG lost 2.5 million fans?
どーもこんにちは、やしまです。
近頃MTG界隈はよく炎上してますね
お祭り大好きな私としては楽しませてもらっています
え?性格が悪い?
TCGプレイヤーは相手の嫌がることをしてナンボだろ?
Alta FoxのFree the Magic運動、Bank of Americaのレポート、レポートに対するハズブロの反応、SCG等の記事を調べていたのですが、
なんかおかしくね?
と違和感を覚えることがありました
何がおかしいのか答えが見つからないのにどう考えてもつじつまが合わない
皆さん想像してください、喉に刺さった秋刀魚の小骨。
最悪ですよね
ということで今回はこの違和感の正体、
誰が嘘を付いていて誰の予測が外れているのか
人狼を探し当てていきましょう
基本的には数字をベースに推理を展開していきます
※注意※
この記事で引用している出典は全てMTGのステークホルダーがリリースした内容に準じています。それぞれの立場を考慮の上でお読みください。
各記事の時系列および概要
ここでは考察に必要な情報のみをかいつまんで掲載
くまたろうさん(@EleshNorn47)が各種記事やレポートを翻訳、要約してくださっていますので詳細が気になる方は調べてみてください
私は高校時代、全国模試で英語偏差値18を叩き出した神なのでgoogle先生に頼って読みました
2022/2 Alta Fox『Free The Wizards』
2.5%の株式を保有する管財法人Alta Foxを発起人としたハズブロ社の改造計画。Alta Foxには元MTG強豪プロプレイヤー Jon Finkelが在籍している ※新経営陣にJon Finkelを推薦しただけでした、訂正してお詫びします。
経常利益の多くを子会社であるWotCに頼っているハズブロ経営陣を批判し、WotCの分離独立化、ハズブロ社/経営陣を改造することで収益の改善を目的としている
ちなみに続報が聞こえないため提言は失敗に終わったと思われる
今回の記事で取り上げる情報は以下
・2019年には1000万人のアクティブプレイヤー
・2022年には5000万人以上のアクティブプレイヤーと推定
・MTGは2021年に収益$10億を突破すると予想
・2018年の収益は$4.04億と推定(大半がカードによる収益)
・MTG Arena(2018)の1ユーザー当たりの収益は$101
・MTG Arena(2021)の1ユーザー当たりの収益は$150弱と推定
・MTG Arena(2021)の総売上は$1.5~2.25億と推定
・MTG Arenaの平均プレイ時間は1週間あたり8~9時間である
・ブースター1パックあたりの平均収益は5年で$3.99から$6.00に上昇
2022/11/14 Bank of America『Magic: The Gathering' analysis prompts BofA to double downgrade Hasbro』
Free the Wizardsから半年、
アメリカの金融機関Bank of Americaより「ハズブロ株をBuy(買い)からUnderperform(業績不振)に2ランク降格する」と発表された
BofAのレポートでは、
・プレイヤー、コレクター、流通関係者の不満が増大している
・利益を積み上げるため商品の供給頻度を増やしたがこの戦略は裏目に出た
・戦略ミスにより将来の商品注文が減少すると予想される
・30周年パックの$999という価格設定は過度に高額すぎる
・上記によりコレクターがパニックを起こしており資産を精算している
と言及されている
この発表によりハズブロ社の株価は6%下落し、後の弁明を強要されることになった。いい気味である。
ちなみに執筆中の12/13現在、年初来から株価は40%下落しているようだ
金融機関のレポートのため特筆する情報はないが
間違いなく今も炎上するハズブロに火を放った一件だろう
2022/12/04 TCGPlayer『Is Hasbro Killing Their Golden Goose?』
金のガチョウという逸話を知っているだろうか?
金の卵を産むガチョウを手に入れ富豪になった家族が欲にまみれてガチョウを捌く、しかし腹の中に卵はなく金の卵を永遠に失うという話である
決してファッキン鹿泥棒の前座に出てくる極楽鳥もどきの話ではない
あっちの寓話はハッピーエンド、幼稚園のお遊戯会で公演した身としてはノスタルジーと苦しめられた嫌な思い出が共存している。ガチョウは見たら焼け。
BofAの記事に金のガチョウという単語が出てきていたため、明らかに意識した記事であろう
この記事はかなりのボリュームがあるがとてもおもしろいので読んでみてほしい、近年のMTGが置かれている状況がわかりやすく表現してある
ちなみに私はこの記事があまり好きではない
長いし、楽観的だし、楽観視するにはエビデンスに乏しいからである
MTGプレイヤーは常に確率を武器に卓上でサイコロを振る生き物だ
というか「ハズブロは金のガチョウを肉にして売っている?」
ってタイトルなのに大した根拠もなく「MTGは大丈夫、これからも元気に続くよ」はどーなんよ
2022/12/08 CNBC『Hasbro defends Magic: The Gathering strategy, says ‘there is no evidence’ cards are overprinted』
ハズブロ役員であるCynthia Williams氏が公演で語った内容とCris Cocks CEOのコメントをまとめた記事
基本的な内容としては
BofAのレポートに対する反論
インフレ・価格改定に関する話
の2つの柱で構成されている
こちらもあまり数値的な話は多くないのだが気になった発言等を列挙すると
・MTGはまもなく$10億規模のコンテンツになる
・MTGへの関心低下を示す兆候はない
・ハズブロはカードの転売(シングルカードの販売網のこと?)から利益を得ていない
・供給不足によりカード価格が高騰すると何百万人のプレイヤー(millions of players)を不幸にしてしまう
・紙の原料高騰と印刷機の需要増により半数の商品で価格改定を行った
・最終的にはプレイヤー数を増大させることが重要
・デジタルから始めた新規プレイヤーのほとんどがMTGのカード(現物商品)を購入している
あたりであろうか
ハズブロ役員の発言のため擁護姿勢であることを考えても、計画が未達なのではないか?と感じる表現が端々に散見される(気がする)
Alta Foxの2021年に$10億って予測と合わないんだよね
2022/12/09 StarCityGames 『WotC President:No Ebidence That Magic Is Overprint』
こちらはSCGのインタビューにCocks氏、Williams氏が答えた記事
CNBCの記事と同日公開のため木曜日(12/8)の公演時にそれぞれインタビューが行われたと推察している
CNBCは一般向けニュースサイト(日本では日経と協力体制を敷いているため経済誌?)であり、SCGはTCGプレイヤー向けのサイトである
このためSCGの方が高い解像度で記事が記載されている
・6年半で3倍以上のビジネス規模に成長させた
・プレイヤーの平均年齢は30歳
・プレイヤーの1/3は3年未満、1/3は10年以上のプレイ歴
・プレイヤーの80%がカジュアル、20%が競技志向
・70%のプレイヤーが統率者を遊んでいる
・コレクター層は40%台(20%の2倍以上と約50%という表記が混在)
・MTG Arenaには1000万以上のアカウントが登録
・ハイブリットプレイヤー(デジタルと紙)が最も急速に成長しているカテゴリーである
・ハイブリットプレイヤーはゲームに対する満足度が高く、一般より40%多く商品を購入している
・店頭でのプレイ参加者はパンデミック前の75%まで増加
・WPN店舗の80%が昨年同様、60%以上がビジネスが成長したと回答
・30周年パックは計画よりも減産した
と述べられている
面白いのは30周年パックを減産したという話
海外では「あまりに注文が少なかったため途中でオーダーを打ち切ったのでは?」とオーダー終了後から噂されていたらしい
250万人減ったと考える理由(ワケ)
まずCNBCの記事より『プレイヤー数が1000万人未満』であることが公言されている
ハズブロは兼ねてから誇大的に表現をする傾向があり、
900万人台なら『約1000万人(about 10 million people)』、1000万人以上なら1000万人以上というだろう。下手したら数千万人という表記をするかもしれない
彼らは経営者であり成果をよりよくプレゼンするのは当然の仕事である(株価下がっちゃうからね)
つまりそう表現できなかった理由があるのでは?と邪推しても言い過ぎではないだろう
これは『まもなく$10億規模のコンテンツになる』などの発言からも見受けられる、まだなってないじゃん
900万人台を数百万人というとは考えづらく
100万人台を数百万人とするのは誇大が過ぎる
現実的には200~900万人の範囲ではなかろうか?
次にAlta FoxのMTG Arena周りの推定を見ていく
推定値では1ユーザーあたりの消費額を$150、Arena全体での収益$1.5億~2.25億としている
ここから逆算するとアクティブユーザーは100万人~150万人と考えていることがわかる
Williams氏は1000万以上のアカウントが登録されていると発言していたが、あくまでアカウント数の話である。アクティブユーザーではない。
そして裏を返せばMTG Arenaのアクティブユーザーは多くても1000万に届かないのである
数年前に実質のリリースを迎えたデジタルゲームのアクティブユーザーが1割強、これは直感的にも納得できる数字ではないだろうか?
この値が正しいかはハズブロの経営報告が出てくるまで分からないが、一旦正しいものとしておこう(出ないかもしれないけどね)
次に注目したいのは
Alta Foxの『2019年のアクティブプレイヤーは1000万人』とSCGの『店頭でのプレイ参加者はパンデミック前の75%まで増加』である
まずイベント参加に積極的なプレイヤーを全体の1割と仮定し、やる気マンと名付ける。値も名前も適当である。
2019年(パンデミック前)のやる気マンは100万人、2022年はその75%なので75万やる気マンである
パンデミックの影響が完全になくなったとまではいえないにしても、日本と中国以外はほぼ戻っているだろう
今年は30周年イベントも開催されていることも忘れずに考えたい、ユーザーとイベントが増えていれば参加者はもっと増えていいはずである
しかし現実には減っている
ここが冒頭で述べた『違和感』の正体である
総プレイヤーが増えていればもっとArenaもイベントも盛況なはずである
しかし様々な値と比較するとつじつまが合わない
Arenaはインドア、イベントはアウトドア。パンデミック下で受ける影響は真逆のはずだからだ
75%まで増加したのではない、75%にしかならなかった
MTGプレイヤーが750万人に減ったから75%になった
これが真実なのではないか?
そして最後に『プレイヤーの20%は競技志向である』
この2割という数字を頭に浮かべながら最後の章を読んでいただきたい
MTGはファン250万人を失った?
さきほど上げた2割という数字、ここから様々な数値を整理していくと面白い相関性が見えてくる
・総売上$10億の2割は$2億
・アクティブプレイヤー750万人の2割は150万人
・プレイヤーの2割は競技プレイヤー
つまり半年前にAlta Foxが予想したArena売上、Arenaアクティブプレイヤー数が、この一ヶ月で出てきた競技プレイヤーの割合、イベント状況とキレイに一致するのである
そして750万人という値は
・パンデミック前の1000万人
・イベント回帰率75%
というそれぞれ別の記事から導かれた数値である
熱心な2割のプレイヤーがArenaをプレイし、イベントに参加している、しかしその影では全体の数が減っている
こう考えるとハイブリットプレイヤーの意欲が高く、消費金額が多いという情報も納得できる
まだテーブルトップ主体だった2019年は平均消費額が一人あたり$40程度であり、アリーナの平均$150というのはかなりヘビーな金額なのである
ハイブリットだから意欲が高いのではなく、意欲が高いからハイブリットだったわけだ
予測値と公表値と役員の発言が一致して矛盾がない
ここまで全てがキレイに揃うのは果たして偶然だろうか
あとがき
長々とお付き合いいただきありがとうございます
正直なところ、この問いに正確な答えは出ないでしょう
ハズブロは都合の悪い数字を出さないし、公式が情報を伏せるなら予測の域を超えることはできません
ただし肌感と数値の違和感はわかります
なんとなく気温がわかったり、数値を見なくても景気のよしあしを感じとれるようなものです
正確な値はわからずとも増えてるか減ってるかは考えられる、どれくらい増えたか減ったかをイメージできればそれでOKだとおもいます
最後にCocksCEOが口に出した『プレイヤーを増やすことが肝要です』の言葉に真摯に向き合ってくれることを期待しつつ、筆を置かせていただきます
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