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人参のジュリエンヌを考える「調理技術コンクール対策」ヤングシェフ編

■はじめに

調理技術コンクールの対策として4回目になりますが、人参のジュリエンヌについてもう少し詳しく探っていきましょう。特によく質問されるのが、1ミリのスライスがどうしてもできないということです。当然ながらこの1ミリのスライスができなければ、1 mm でジュリエンヌを切ることができません。今回はスライスとジュリエンヌに特化して考えます。

**■人参の繊維はどうか? **

人参をスライスする際に、繊維はどちらを向いているでしょうか?当然ながら人参を立てて切った方が繊維に垂直に落とす形になるので簡単に包丁は通ります。しかしこの課題の場合は、人参の長さが5cm になります。 この長さの人参を立てて切るのはあまりにも不安定で手を切る危険性があります。このような場合は人参を寝かせて、繊維の方向を直角に切る形にします。たて切りと違って少し、ほんの少しですが力が入るかもしれませんが、ナイフが手入れされていれば問題はありません。

■包丁の持ち方

包丁の持ち方はどうでしょうか?洋食の場合は両刃の牛刀を使ってスライスをします。いわゆるグリップの部分ですが、日本語で言うと柄の部分になりますが、しっかりと握れるような形になっています。しかし鷲掴みはやめてください。1 mm の厚さに切るためには包丁の先端まで正しく力を伝える必要があります。できれば人差し指を伸ばして包丁に乗せてください。こうすることで簡単に包丁全体に力を伝えることができます。

■和包丁との動かし方の違いについて

西洋料理の牛刀の形をよく見てください。いわゆる和食の薄刃と違って包丁の刃にはカーブが付けられています。 もちろん刃の付け方も違いますので、全く違うものと認識していただく必要があります。特に洋包丁の場合は大きく前にスライドさせるイメージを持ってください。この大きくスライドさせるということができると1mm に切ることができます。

■1mmにスライスする

包丁の先端部分を人参の先端部分にあてがい、包丁の先端部分幅1 mm に合わせて人参のカット幅を決めます。その次に包丁に角度をつけてください。意外とまな板に平行な角度のまま包丁を使っていますが、力はたくさん入りますし、カット方向が下に向かってしまいます。こうなると力ばかり必要で、しかもカットミスがたくさん起きる方法となってしまいます。

包丁の角度をつけたらその角度のまま前にスライスして行きます。包丁には曲線がついているので自然と人参を切り終えることができます。 前に角度をつけて大きくスライスするというナイフスキルができれば、全く力を加えなく1 mm に簡単に切ることができます。しかも切り終えた1 mm のスライスは、右側に倒れ自然と積み重なっていきます。並べる必要がほぼありません。

■スライスを積み重ねる

切り終わったスライスは、本来なら斜め方向に並べて積み重ねカットしますが、今回の場合は1 mm を4~5枚縦に積み重ねてください。この薄く切ったスライスをしっかりと密着させて1枚のシート状にします。ここは特に重要なポイントです。こうすることでスライス同士がぴったりと密着し、カットをしてもバラけないようになります。この時素早く積み重ねないと、1 mm の厚さしかないスライスは、あっという間に乾燥してしまい、そっくり返る状態になります。こうなってしまったら写真のジュリエンヌを超えることはほぼ不可能です。

■ジュリエンヌを切る際の 包丁の動かし方

スライスを全てカットして積み重ねたら、今度はジュリエンヌにカットします。一つの塊ごとにカットをしますが、この時の包丁の動かし方は先ほどのスライスとは全く別で、下に向かってカットしていきます。 包丁独特のカーブの力を利用し、スライドさせながら下に力を加えます。こうすることで右利きの人の場合包丁の表側にジュリエンヌが綺麗に並んでいるはずです。もし綺麗に並んでいない場合は、カットの方法が間違っていると考えていいです。個人個人微調整しながらきれいに並ぶように調整してください。

■包丁のどの位置で切るか?

洋包丁の形は様々な形があります。先端部分のカーブが強いもの、中心部分のカーブが強いもの、刃元の部分が異常に分厚いものなど、それぞれ特徴のある形をしていますので、バラけない位置を探してください。あまりにカーブの強い部分でジュリエンヌのカットを行うとどうしてもバラけてしまいます。できるだけカーブの少ない部分で切ります。

■切りながら並べる

少し不思議かもしれませんが、ジュリエンヌを切り終わった段階ですでに包丁に綺麗に並んでいる状況を作る、これがこの調理技術コンクールでの成功する方法です。切った後に並べるのではなく、切りながら並んでいる状況を作ります。正直に言うと1 mm に切った人参がバラけた状態を後から並べるのは不可能です。残念ながら本当に不可能なんです。ですから考え方を全く変えてしまい、切りながら並んでいる状況を作っていきましょう。

綺麗に包丁の右側に並んでいれば、そのまま右側に左手を添えながらスライドさせてまな板の上に整頓していきます。考えられないぐらい綺麗に並んでいるはずです。

■まとめ

いかがでしたか?料理には写真を再現する力も必要になってきます。なぜならお客様はメニューの写真などを見て注文をされますよね。違ったものが出てしまうと大変なことになります。今回のこの人参のジュリエンヌにしても、模範写真が配布されます。既にインターネット上には公開されていますし、その写真を超えるような綺麗な作業を震災に見せつけてください。

Let's start cooking (*^^)v 料理コンクール対策に特化したnoteです。 楽しく取り組んでいきましょう! リクエストはコメント欄からどうぞ\(^o^)/