愛犬・外飼いトイプードルの思い出22
アイコンタクト!
外飼いだから?か??
愛犬は普段からあまりアイコンタクトをしなかった。特に散歩中は……。
だからあのシーンはとてもよく覚えている。
最初の緊急事態宣言が発令されたコロナ禍に、近くの運動公園へ出かけた。丘陵地帯に整備された公園はいたるところに階段があって、よーし、今日は全部の階段を制覇しよう、ということになった。というか、勝手に私がそう決めた。
一つ目、二つ目、三つ目と順調に階段を駆け上がり、木々が生い茂る緑地内の四つ目の階段にさしかかった時のこと。そこは普通に歩くと一段二歩ぐらいの幅広の階段で、息を整え大股で一気に駆け上がろうとしたら、途中でつまづいて見事にバタリと倒れてしまった。
いたたたた!と顔を上げると、前方で振り向く愛犬と目が合った。それは「大丈夫?」と心配する顔ではなく、「何やってんの?」という呆れ顔だったように思う。
慌てて立ち上がるしかなかった。何事もなかったかのように……。
ところが家に帰ってくると、ジーパンは泥だらけだし、膝小僧はすりむけているし、手の平からは血が出ているし、おまけに翌日にはすねに痣ができていた。けっこう本格的な転倒だったのだ。なのに、愛犬のあの冷たい視線といったら……ひどいじゃないか。
しばらくして、膝小僧にできたかさぶたを見せながら、「あの時、痛かったんだよぉ」などと愛犬に話しかけてみたら、目を合わせてちょっと気の毒そうな顔をしてくれた。一応、同情してくれたのかな。それともいつものようにちょっと困ったような顔をしただけか?
最近は、愛犬のほうが時たま、階段でつまずくようになっていた。お互い、階段には気をつけないといけなかったのにね。天国への階段、つまずかないでね。