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『カミングアウトコンビニ』

「い,いらっしゃいませ!」



日付が変わって数分

彼が来店したことにも驚いたが、
もっと驚いたのは彼が男性を連れ添っていたからだ


「えっと35番お願いします」
「少々お待ちください」

彼のことは大学で何度か見かけたことがある
背が高く、整えられた髭に、切り揃えられた襟足がなぜか脳裏に焼き付いていた

「560円になります、ポイントカードはお持ちですか?」
「いや,無いね、このままでいいよ、ありがとね」

どちらかというと強面なのだろう彼の顔からは想像できないほどの可愛げな表情が僕に向けられた

「ありがとうございました!」

もう1人の男性が彼に寄りかかりながら、目の前のラブホテルに向かって歩き出す
その姿を見ながらふと口が動いた
「僕は、、」

「高垣くん、どうしたの??」
「あ、石田さん、いえなんでもありません」
「お弁当の検品任せていいかな」

もしかしたらこの感情は
いや,今日は考えまい
でもいつか、、、、、



彼を送り出したドアからは、夜風に紛れて甘美な大人の香りが舞い込んだ
僕は彼らが向かったラブホテルに視線だけを向けながらその夜を過ごした

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