コト消費、トキ消費
先日のお盆の休み。普段はバラバラの場所で生活をし、集まる機会がなかなかない家族。久しぶりに休みが合致したので、密にならない場所で、今まで体験したことがないことをしようと、家族みんなで山奥に星空を見に行くことにしました。インターネットで光害が少なく、星空が綺麗にみられる場所を探し、真っ暗な中で川の字に寝転がり、みんなで星空を見つめていました。
おかげ様で天気がよく、月が欠けていたので、夜空には満天の星が輝き、天の川や流れ星が見えました。子どもの頃にみんなで夜空を眺めていたことを思い出したり、星座をみつけて話し合ったり、普段なかなか体験することができないことが出来、結構な年齢の家族ですが、童心に戻って楽しみを満喫した休みになりました。
マーケティングの世界では、こんな風に体験にお金をかける消費は「コト消費」と呼ばれていますが、こうやって体験してみると、確かにその価値がわかります。なかなか集まることがなくなった家族が集まるだけでも価値があり、その上でその家族だけで体験したことは、それぞれの人生の思い出になります。物を購入して満足していた時代とは、だいぶ違う時代が来ているのは間違いありません。
しかし、「コト消費」は非日常空間だけではなさそうです。例えばレストランなら、ただ胃袋を満たすために行く場所から、食事を通して人と人が楽しい時を過ごす場所に。小売業なら、モノを売る場所から、欲しいものを見つけるワクワク感を提供する場所に。美容室なら髪を切る場所から、日頃のストレスから解放される癒しの場にというように、「コト消費」の要素にシフトしているお店を見ていると、みんなが求めているのは、その場でしか体験できない「幸せ」なのでしょう。
さらに進んで、最近は「トキ消費」などの言葉も出てきています。体験には違いがありませんが、例えばこの間のラグビーワールドカップのように、その時にしかできないこと、繰り返し体験できないことが「トキ消費」なのだそうです。繰り返せないからこそ、よりお金をかけてもいいと思えるのでしょうね。
このコロナ禍で、家族との時間が増え、家族の絆の大切さに気づく人が増えたと言われています。外食の機会が減り、改めて外食に対する期待も変わっていくのかもしれません。この未曽有の事態を経て日本も外国も消費者のニーズは大きく変わっていくことは間違いなさそうです。そんなお客様の気持ちをいかに察知し、喜ばれる企画を提供できるか。どんな時代になってもお客様の心に寄り添うことが大切なのは変わりないのでしょう。