進藤実優ピアノリサイタル東京公演@トッパンホール20230812
第18回ショパンコンクールのセミファイナリスト、進藤実優さんのリサイタル東京公演を聴いてきました。
灼熱の太陽のもと、加えて3連休の中日でしたが、ほぼ満員のお客さまが聴きに来ておられました。
プログラムは以下の通りでした。
前半
ショパン:スケルツォ第4番ホ長調作品54、バラード第4番ヘ短調作品52、ポロネーズ第7番変イ長調「幻想」作品61
後半
シューベルト:3つのピアノのための小品D.946
リスト:「ドン・ジョバンニ」の回想S.418
スケ4、バラ4に加えて幻ポロという前半だけでも超ハードなプログラム。
たっぷりとした倍音を湛えた魅力的な音、サウンドから溢れる音楽性に感動しました。
音楽作りの方向性は、直感ではなく考え抜いて、練り上げたものだと感じましたが、逆に聴こえてくる音楽は音にスピード感があって、勢いのあるものでした。
スケルツォ、バラードはもちろん、幻ポロもファンタジーでありながらもポロネーズのリズムが刻まれていることなど、本当に素晴らしかったです。
「凄い!」を遥かに超えた素敵なショパンでした。
後半の1曲目のシューベルトは、内田光子さんのアルバムで21番ソナタとカップリングされて収録されているため、個人的にはソナタを聴いてそのままにしていると勝手に流れていた作品、という立ち位置だったのですが、何度も聴いているうちに作品名はちゃんと理解していないのに、知らず知らず口ずさんでいた曲でした。
晩年の作品らしく、次から次へと紡がれるメロディを集めた結果、気づいたら30分の大曲になっていたような作品。
進藤さんのピアノはそのシューベルトの思いを再現しつつも、溌剌とした勢いも感じられ、良い意味で若さも溢れていたと思います。
ラストのリストでは、まるでオーケストラを聴いているかのような分厚い響きで、ともすれば単調になってしまうリストの和音連打も、起伏に富んだ多彩な表現で、誤解を恐れずに申し上げると原曲を超える豊かな音楽を披露されました。
難なく弾き終えたようにお見受けしたのですが、演奏後のトークでは聴く方が気の毒に思うほど息が上がっておられました。
アンコールはいずれもショパンで、ワルツ作品34−1、マズルカ作品17−4、ノクターン作品27−2の3曲でした。
聴けてホントに幸せ!なリサイタルでした。
(ご本人の画像は、進藤さんから撮影許可があったものです)