ざっくり仮想通貨vol,5.3~アルトコイン3つとビットコインを比較〜XEM
前回のざっくり仮想通貨vol,5.2~アルトコイン3つとビットコインを比較〜XRP
ではリップル(XRP)をご紹介しましたね。
今回ご紹介するのはこちら!
ネムコイン(XEM)
時価総額は2019年5月現在で第19位!
今まで紹介したイーサリアムやリップルと比べると急落した感じがしますよね??
実はそんな事は全くありません。
2017年時点では時価総額第5位まで上昇した仮想通貨なんです。
それが何故現在では19位なんでしょうか??
その理由とは2018年1月に日本の仮想通貨取引所、コインチェックで起きた大量の
ネム(XEM)流出事件によるものが非常に大きいんですね。
実際のところ、ネム(XEM)自体のセキュリティに問題はなく、管理していたコインチェックの甘すぎる管理体制によって発生してしまった事件なので完全に風評被害なんですよね。
そんな不運ながらも元々は時価総額第5位だったネム(XEM)について解説していきます。
ちなみにネムとはプラットフォームそのものを指す言葉で、仮想通貨はXEMと表記されます。
1、発行枚数
ネム(XEM)の発行上限枚数は90億XEMです。
最初に約1600人の投資家に全て配布されていて、新規発行は終了しています。
発行上限枚数全てが最初から発行済みというのは、リップルと同じですね。
有限であるということが保証されているので価値が下がりにくいと考えられています。
またネム(XEM)はNEM財団という非常に大きな組織がバックアップ、広告活動をしていますが、NEM財団はあくまでもネム(XEM)の振興活動をしているだけで仮にこのNEM財団が破産したとしても通貨の価値が消える訳ではありません。
もちろん影響はあるとは思いますが、よくNEM財団が管理者であるように勘違いされるので覚えておいてください。
ではネム(XEM)はすでに90億XEM全てが発行済みですが、どのように管理、承認されているのでしょうか??
当然全てが発行済みなのでマイニングという作業はありません。
代わりにハーベスティング(収穫作業)と呼ばれる作業で管理、承認されています。
この作業を行うノードのことをハーベストと呼んでいます。
ハーベスティングはビットコインのマイニングと比べて参加のハードルが非常に低く、低コストで行えます。
ハーベストが管理、承認する代わりに得る報酬はネム(XEM)の取引手数料から支払われるのですが、支払われる条件もビットコインとは全く違います。
ざっくり違いを説明するとビットコインはとにかく管理、承認に膨大な電力やマシンのスペックが必要で一定の規模の財力がなければ参入できません。
それに対してハーベスティングは10000XEM以上を持つ人なら誰でも参加資格を得ることができ、自宅のパソコン1台でも参加できることは非常に大きな魅力の一つとなっています。
2019年5月で1XEMあたり約9円なので90000円分のXEMを保有していれば、ハーベスティングに参加する資格は持てるということですね。
2、特徴
ネムの特徴はプラットフォーム にあります。
プラットフォームの規模としてはイーサリアムの方が大きいですが、
後から作られたネムの方が様々なプラットフォームの良いとこ取りをしています。
その中の一つにはイーサリアムが売りにしているスマートコントラクトに近いシステムがあります。
アポスティーユ(公証認証)と呼ばれるシステムです。
スマートコントラクトはブロックチェーン(安全かつ低コストな情報保護)+設定した条件、契約に合致する取引を確認できたら第三者の承認無しで自動で設定した行動を行ってくれるプログラム
と以前説明しましたが、実際のところイーサリアムのスマートコントラクトは巨大企業や行政が相手のサービスで、とても一個人が直に恩恵を感じられるようなシステムではありませんでした。
もちろん巨大企業や行政がスマートコントラクトで便利になっていくと、ゆくゆくは全ての人々の生活も便利になっていくのですが。
それに対してアポスティーユはスマートコントラクトがもっと身近になったモノと考えてください。
ネムのアポスティーユはすでに証明書の発行や所有権の登記が個人単位でも簡単にできる仕組みになっています。
例えば、自分の描いたデザインの著作権を登記しておくことや、会社のタイムカードを記録しておくこと、商品の売上データの記録など。
実際の用途を考えてみると、自治会の規約やお金の使用用途を載せておくとか、個人間でお金の貸し借りをした時とか、「これのためだけにお金を払ってわざわざ企業に証明してもらうのはちょっと…けど大事だからちゃんと記録しておきたい」という内容を気軽に証明しておくことができるのです。
他にもマルチシングと呼ばれるお金の管理に参加者全員の同意が必要なシステムやネムのプラットフォーム を利用して独自の仮想通貨を簡単に発行することができるシステムもあり、2018年のコインチェック事件まで人気TOP5に入っていたことも頷けます。
3、用途
ネムとはブロックチェーンを活用して新しい経済圏(プラットフォーム)を創ろうとするプロジェクトの名称です。
元々、ビットコインやイーサリアムなどと比べて後発のコインなので今までのコインよりも拡張性や安定性が非常に高く作られているんですね。
ネム(XEM)の用途は、イーサリアムと同じく提供しているプラットフォーム の利用料に使用されたり、ネム(XEM)の決済が可能な店舗などでの支払いに使用できます。
アポスティーユやマルチシングという身近に利用できるシステムの提供や、
ネムのプラットフォームを利用して作られた仮想通貨の基軸通貨としての役割も果たしているので、拡張性の高さから今後も様々なサービスが展開されると予想できます。
非常に簡単にネムのプラットフォーム に参加できるようになっているので、ネムを利用したサービスが増えていけばいくほど、通貨としても使用できる場面もどんどん増えてきそうですね。
4、価値
ネム(XEM)の価値とは提供しているプラットフォーム の発展にあると考えます。
ここまで説明した通り、ネムのプラットフォーム は技術的にもコスト的にも非常に参加のハードルが低く、また拡張性や安定性も高いのでこれから様々なサービスが参加することが予想されます。
実際に2019年5月にはロンドンを拠点とする企業のズース(Zeux)とネムの統合が発表されています。
ズース はブロックチェーンを基盤とする企業で、世界初の統合された仮想&法定通貨金融投資プラットフォームを使用した世界初の暗号モバイル決済アプリケーションを構築しています。
仮想と法定通貨の両方の多くの金融機関と提携することで、モバイル決済、銀行業務、投資サービスを組み合わせた異なる金融サービスを1つのアプリケーションに統合しているんですね。
こういった大きなサービスと大勢の顧客を抱える企業との協力や統合などでさらにネム(XEM)の信頼性や流動性が増し、価値も上がっていくものと思われます。
他にも「カタパルト」と呼ばれるネム(XEM)のアップデートも注目されており、
アップデートの中で注目されていることの1つに送金速度の向上が挙げられているのですが、実現すると1秒あたり4000件の取引を処理できるようになるそうです。
実現すればネム(XEM)の価値はさらに上昇と安定が見込めますね。
今回のざっくりまとめ
・ネム(XEM)はビットコインやイーサリアムなどのコインと比べて後発のコインなので様々なコインの欠点を克服している。
・ネムのプラットフォームのアップデートや様々なサービスとの統合で価値の上昇や安定が見込める。
・ネムの提供するサービスの1つであるアポスティーユとは
イーサリアムのスマートコントラクトがより身近になったもの。
今回ご紹介したネム(XEM)はいかがでしたか??
コインチェックのハッキング事件の際に名前を聞いたことがある人が多いとは思いますが、あまり仮想通貨に詳しくない人はネムに対して悪いイメージを持ったはずです。
ですが実際のところハッキング事件の際のNEM財団の動きは非常に早く、ほとんどの盗まれたXEMの換金を防ぐことができました。
残念なことに流出したことで改めてセキュリティの高さを世界に知らしめた訳です。
ネム(XEM)は国内の取引所で円で買うことが可能です。
すでに国内にも決済に利用できる店舗などはありますが、ネムはハーベスティングというシステムを使ったり、XEMの流動性を高めるための様々な取り組みを行なっているので決済に利用できる店舗も今後まだまだ増えてくると思われます。
次回のざっくり仮想通貨vol.6~ニュースの読み方~では
具体的に仮想通貨の値動きに関連するニュースはどのような内容のものに目を通せばいいのかざっくり解説していきます。