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第57回気象専門勉強 問1~5 1/7

第57回気象予報士専門試験 
問1

気象庁が行っているラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)ラジオゾンデ観測における高度は、気球に充填する水素やヘリウムの量から計算される上昇速度と放球後の経過時間から求めている。
(b)昼間のラジオゾンデ観測では、日射の影響により温度計センサーが大気の温度よりも高い値を示すことがあるが、発表される気温の観測値には日射の影響は補正されていない。
(c)ラジオゾンデ観測においては、気温が一定の基準値以下に低下すると湿度の正確な測定が難しくなることから、基準値以下の気温での湿度データは使われない。

✖(a)
ラジオゾンデの高度は気圧から求める、もしくはGPSから高度を求めるGPSゾンデがある。上昇速度や経過時間ではない。

(b)
発表は補正されている

(c)
高度が高くなると湿度はほとんどゼロ

正解は④


資料

ラジオゾンデによる高層気象観測

ラジオゾンデによる高層気象観測の概要
ラジオゾンデは、上空の気温、湿度、風向、風速等の気象要素を観測する気象観測器です。 気象庁では、ラジオゾンデをゴム気球に吊るして飛揚し、地上から高度約30kmまでの大気の状態を観測しています。 ラジオゾンデによる高層気象観測は、世界各地で毎日決まった時刻(日本標準時09時・21時)に行われており、気象庁では、全国16か所の気象官署や昭和基地(南極)で実施しています。 この他、海洋気象観測船でもラジオゾンデによる高層気象観測を行っています。 ラジオゾンデによる高層気象観測で得られたデータは、天気予報の基礎である数値予報モデルや、気候変動・地球環境の監視、航空機の運航管理などに利用されています。


ラジオゾンデの仕組み
ラジオゾンデは、気圧、気温、湿度等の気象要素を測定するセンサを搭載し、測定した情報を送信するための無線送信機を備えた気象観測器です。
温度計と湿度計は、ラジオゾンデから突き出たアームに取り付けられており、気圧計や無線送信機、電池等は、ラジオゾンデの本体(白色発泡スチロールの収容箱)内部にあります。 ラジオゾンデの中には、気圧計を持たない代わりに、受信したGPS信号から計算される高度を用いて気圧を求めるものもあります。 風向・風速の測定には、ゾンデを吊り下げた気球が流されていく様子から計算したり、GPS信号を用いて計算することができます。 ラジオゾンデのうち風向・風速の測定にGPS信号を利用するものを特に「GPSゾンデ」と呼んでいます。
気象庁は、GPSゾンデをゴム気球に吊るして飛揚し、地上から高度約30kmまでの大気の状態(気圧、気温、湿度、風向・風速等)を観測しています。 観測を終えたGPSゾンデは、パラシュートによってゆっくり降下します。

気象庁 ラジオゾンデによる気象観測



第57回気象予報士専門試験
問2

気象庁が発表している推計気象分布は、観測データ等により天気,気温,日照時間のきめ細かな分布を算出して視覚的に把握しやすくした情報で、アメダスなどの観測所のない場所の状況も把握できる。推計気象分布について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)推計気象分布では、天気,気温,日照時間の分布が、1kmメッシュの細かさで発表され、1時間毎に更新されている。
(b)推計気象分布では、観測所を含むメッシュの値は、そこでの観測データとは必ずしも一致しない。
(c)天気の推計気象分布は、気象衛星ひまわりによる雲の観測データから晴れかくもりかを判定し、解析雨量を用いて降水の有無を判断している。
(d)気温の推計気象分布は、アメダスなどの気温を用いているが、標高による気温の違いは考慮されていない。

(a)
その通りで


(b)
その通りで


(c)
その通り


✖(d)
高度も考慮されている 当たり前 

正解は⓵




資料

推計気象分布の概要

「推計気象分布」は、アメダス気象衛星観測データ等をもとに天気・気温・日照時間のきめ細かな分布を算出し、視覚的に把握できる情報です。 こちらを利用することで、アメダスなどの観測所のない場所の状況も把握できます。
この情報は、面的には1km四方のメッシュの細かさで、天気は5種類(晴れ、くもり、雨、雨または雪、雪)、気温は0.5℃毎および日照時間は0.2時間毎のそれぞれの単位で表します。また、1時間毎に更新します。
なお、観測所を含むメッシュの値は、そこでの観測データとは必ずしも一致しません。面的な広がりに着目してご利用ください。

推計気象分布

推計方法

推計気象分布(天気)は、気象衛星ひまわりによる雲の観測データから晴れかくもりかを判定します。また、降水の有無は解析雨量を用いて判断します。雨か雪かの判別には同じく推計気象分布(気温)も用います。
この情報を利用することにより、気象レーダー気象衛星など複数のデータを個別に参照することなく、容易に天気の分布を把握できます。


第57回気象予報士専門試験 
問3

気象庁が行っている気象レーダー観測およびそのデータの利用について述べた次の文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。
(a)気象レーダーの発する電波は大気の屈折率の分布状態に応じて曲げられ、通常の伝搬経路から大きく外れることがあり、降水の全くないところに強いエコーが現れる場合がある。
(b)山岳や地表の構造物などに電波が当たって反射され、降水のないところに強いエコーが現れることがあるが、地形のように動かないものが原因のグランドクラッタについては、降水エコーと区別して取り除く処理が行われている。
(c)気象レーダーで降水エコーが観測されていても、降水粒子が落下途中で蒸発して地上まで到達せず、直下の地上では降水が観測されないことがある。
(d)気象レーダーでは、電波が発射されてから反射されて戻ってくるまでの経路上に強い降水がある場合、その場所で電波が減衰してしまい、それより遠方では実際の降水よりも弱く観測されることがある。

① (a)のみ誤り
② (b)のみ誤り
③ (c)のみ誤り
④ (d)のみ誤り
⑤  すべて正しい

(a)その通りで送信電波が曲げられて山やビルなどに当たって反射することをいう


(b)その通りでグランドクラッタとは電波が山岳や地形によって散乱されるグランドエコーのこと。動かない現象なのでエラーとして取り除ける


(c)その通り
レーダーは届くすべての地表まで観測するわけではなく、直進しているので
その通り


(d)その通り

正解は⑤

資料

高解像度降水ナウキャストとは

高解像度降水ナウキャストは、気象レーダーの観測データを利用して、250m解像度で降水の短時間予報を提供します。
 気象庁は全国20箇所に気象ドップラーレーダーを設置して、日本全国のレーダー雨量観測を行っています。 このドップラーレーダー観測網は、局地的な大雨の観測精度の向上を図るため、平成24~25年度にレーダー観測データの距離方向の解像度を従来の500mから250mに向上させるための機器更新を行いました。
 高解像度降水ナウキャストは、これら気象ドップラーレーダーの観測データに加え、気象庁・国土交通省・地方自治体が保有する全国の雨量計のデータ、ウィンドプロファイララジオゾンデの高層観測データ、国土交通省レーダ雨量計のデータも活用し、降水域の内部を立体的に解析して、250m解像度降水分布を30分先まで予測します。


高解像度降水ナウキャストの実況解析

 従来からある降水ナウキャスト(以後、降水ナウキャスト)が気象庁のレーダーの観測結果を雨量計で補正した値を予測の初期値としているのに対し、高解像度降水ナウキャストでは、気象庁のレーダーのほか国土交通省レーダ雨量計を利用し、さらに雨量計や地上高層観測の結果等を用いて地上降水に近くなるように解析を行って予測の初期値を作成しています。 なお、降水ナウキャストでは予測初期値を実況値と呼ぶのに対し、高解像度降水ナウキャストでは解析値あるいは実況解析値と呼んでいます。

高解像度降水ナウキャストの予測手法

 降水ナウキャストが2次元で予測するのに対し、高解像度降水ナウキャストでは、降水を3次元で予測する手法を導入しています。 予測前半では3次元的に降水分布を追跡する手法で、予測後半にかけて気温や湿度等の分布に基づいて雨粒の発生や落下等を計算する対流予測モデルを用いた予測に徐々に移行していきます。

気象庁
高解像度ナウキャスト

また、高解像度降水ナウキャストでは、積乱雲の発生予測にも取り組んでいます。 地表付近の風、気温、及び水蒸気量から積乱雲の発生を推定する手法と、微弱なレーダーエコーの位置と動きを検出して、微弱なエコーが交差するときに積乱雲の発生を予測する手法を用いて、発生位置を推定し、対流予測モデルを使って降水量を予測します。

高解像度降水ナウキャストの解像度
 観測及び予測データの高解像度化は、データ容量の増加をもたらします。 高解像度降水ナウキャストでは、高解像度化とナウキャストの速報性を両立するために、陸上と海岸近くの海上では250m解像度の降水予測を、その他の海上では1km解像度により降水予測を提供します。

図の薄い灰色が250m解像度で予測を提供する領域で、やや濃い灰色が1km格子で予測を提供する領域。 さらに濃い灰色は予測対象領域外。

また、高解像度降水ナウキャストは250mの予測期間は30分ですが、予測時間35分から60分までは、30分までと同じアルゴリズムで予測した1kmの解像度で予測を提供しています。

高解像度降水ナウキャストの事例
 下の図は、平成26年6月29日の大雨を予測した例です。 特に○印の地域では降水ナウキャストと比べ、高解像度降水ナウキャストでは実況に近い強雨域を表現できているのがわかります。

図は平成26年6月29日16時00分を初期値として16時20分を予測した予測値とその時間の実況及び解析値。



降水ナウキャストとは

 降水ナウキャストは、降水短時間予報より迅速な情報として5分間隔で発表され、1時間先までの5分毎の降水の強さを1km四方の細かさで予報します。なお、気象庁ホームページでの降水ナウキャストの表示は令和3年2月24日に終了しました。1時間先までの降水の強さについては、「雨雲の動き」のページをご覧ください
降水ナウキャストの予測手法
 降水ナウキャストによる予測には、レーダー観測アメダス等の雨量計データから求めた降水の強さの分布および降水域の発達や衰弱の傾向、さらに過去1時間程度の降水域の移動や地上・高層の観測データから求めた移動速度を利用します。予測を行う時点で求めた降水域の移動の状態がその先も変化しないと仮定して、降水の強さに発達・衰弱の傾向を加味して、降水の分布を移動させ、60分先までの降水の強さの分布を計算しています。
 この手法は、降水短時間予報でも使われています。新たに発生する降水域等を予測に反映することはできませんが、短時間の予測では比較的高い精度の予測を得ることができます。また、降水ナウキャスト、降水短時間予報ともに、地形の影響等によって降水が発達・衰弱する効果を計算して、予測の精度を高めています。

降水短時間予報とは
 降水短時間予報は、6時間先までと7時間から15時間先までとで発表間隔や予測手法が異なります。6時間先までは10分間隔で発表され、各1時間降水量を1km四方の細かさで予報します。7時間先から15時間先までは1時間間隔で発表され、各1時間降水量を5km四方の細かさで予報します。

6時間先までの予測手法
 解析雨量により1時間降水量分布が得られます。この降水量分布を利用して降水域を追跡すると、それぞれの場所の降水域の移動速度が分かります。この移動速度を使って直前の降水分布を移動させて、6時間先までの降水量分布を作成します。

 予測の計算では、降水域の単純な移動だけではなく、地形の効果や直前の降水の変化を元に、今後雨が強まったり、弱まったりすることも考慮しています。また、予報時間が延びるにつれて、降水域の位置や強さのずれが大きくなるので、予報時間の後半には数値予報による降水予測の結果も加味しています。


以上は気象庁HPより調べました。


第57回気象予報士専門試験
問4

大気現象のスケールに着目して述べた次の文(a)〜(d)の下線部の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a)大気中には、様々な時間空間スケールを持った現象が存在しているが、一般的に現象の空間スケールと時間スケールとの間には、正の相関がある。
(b)準定常的な超長波(プラネタリー波)は、波長が1万km以上もある大気中で最大スケールの擾乱であり、チベット高原等の大規模な地形による力学的効果や大陸と海洋の分布による熱的効果により励起されたものである
(c)ある地点で大雨時に観測される降水強度には、数分〜10分程度の時間スケールの変動がしばしば見られる。この変動の要因の一つとして、個々の積乱雲の発生・衰弱や移動がある
(d)温帯低気圧のうち、梅雨前線上に発生する低気圧は相対的に水平スケールが小さく、対流圏上層においては明瞭な構造が見られないことが多い。

① (a)のみ誤り
② (b)のみ誤り
③ (c)のみ誤り
④ (d)のみ誤り
⑤  すべて正しい

(a)
その通り、じゃなければ困る


(b)
その通り


(c)
その通り


✖(d)梅雨前線上の低気圧は小さく上層に明確な構造がみられないは、その通り
梅雨前線で大災害をもたらすのは前線上を次々と低気圧ができるから

正解は⑤




第57回気象予報士専門試験
問5 発雷確率ガイダンス

気象庁で作成している発雷確率ガイダンスは、全国の20km格子毎の3時間内の発雷について予測するものである。発雷確率ガイダンスについて述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)ガイダンス値が小さいほど、対象領域内で発生する雷の強度が弱いことを予想している。
(b)ガイダンス値が大きいほど、対象領域内での発雷数が多いことを予想している。
(c)雷は発生頻度の低い現象であることから、発雷確率ガイダンスは逐次学習によるガイダンスではなく、過去の資料から一括学習により求めた回帰式に基づくガイダンスである。

(a)
雷の強度とは関係なく発雷確率なので


(b)発雷の確率なので多い少ないは関係ないので


(c)その通り

正解は④

資料

雷ナウキャストとは
雷ナウキャストは、雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新して提供します。
雷の解析は、雷監視システムによる雷放電の検知及びレーダー観測などを基にして活動度1~4で表します。予測については、雷雲の移動方向に移動させるとともに、雷雲の盛衰の傾向も考慮しています。

雷ナウキャストでは、雷監視システムによる雷放電の検知数が多いほど激しい雷(活動度が高い:2~4)としています。雷放電を検知していない場合でも、雨雲の特徴から雷雲を解析(活動度2)するとともに、雷雲が発達する可能性のある領域も解析(活動度1)します。

なお、急に雷雲が発達することもあり、活動度の出ていない地域でも天気の急変には注意する必要があります。

気象庁 雷ナウキャストとは より


ガイダンスとは
数値予報の予想値の系統的誤差(いつもの誤差)の修正に対して有効
予想値のランダムな誤差(たまたま出た誤差)の修正は困難

ちなみに

月別の雷日数
目視観測に基づく月別の雷日数の平年値(1991~2020年までの30年間の平均)を比べると、宇都宮※のような内陸部では夏に多く、金沢※のような日本海側の地方では冬に多くなっています。

気象庁 年間の雷日数より


数値予報に関してガイダンスも必ず出る。

こんにちは、数値予報については確実に理解できていません。

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