バイトすら辞めた私はもう何もできないかもしれない

去年の夏に始めた人生初のアルバイトを1月いっぱいで辞めた。

昔から継続して物事に取り組むことが苦手で日記はすぐに途切れるし、習い事もすぐに飽きていきたくないって駄々をこねたし、図工の時間に最初頑張って描いてた絵がどんどんやっつけ仕事みたいに雑になっていった。
それくらい私は継続することが苦手だった。
だから今回アルバイトを始めるときも本当に続けられるのか、すぐ辞めないかとか自分なりに全力で考えて応募した

わけでもなく

友達といった居酒屋で出された飯が最高に美味すぎてテンション上がってまた後日いった時偶然アルバイトを募集してたからその場で勢いとノリだけで応募した
その週の土曜日に面接に行ってその場で採用されてウッキウキで初出勤
初めての社会貢献、労働は難しいこともあったけど楽しく終わった
これが飲食店のアルバイトか、そんな大変じゃないななんて思って2回目、3回目と出勤を重ねた


初めて辞めることを考えたのは4回目の出勤の時だった
アルバイトは私以外に2人いてあとは店長とその奥さん、合計5人で店を回していた
基本的に土曜日はクソ忙しくなるため全員出勤だが日曜日はバイト2人、店長と奥さんの4人で回すことが多い
アルバイトを始めてまだそれほど日が立っていない私は仕事に慣れるためにと少し多めにシフトを入れてもらっていた
これに関してはどうせバイトなかったらクソ暇な夏休み過ごしてたし別にこれ以外にすることないしいいかと思った


その日曜日も私と一番バイト歴長い同い年の女の子と店長と奥さんの4人で店を回していた
だが私はまだ4回出勤しただけのズブズブの素人、戦力としては3.5人分あるかないかくらいだったと思う
でも自分なりに頑張ってドリンクはもちろん完成した料理をお客さんの元へ運んで呼ばれたら大きな声で返事をして注文をとってまた大きな声で厨房へ伝える
慣れないなりに、マニュアルもないなりに、その時にならないとやり方も教えてもらえないなりに頑張っていたと思う
ドリンクをやっている最中に「これ持ってってくれる?」と言われて持っていき帰ってきたら「ドリンク催促されてるよ」と言われるのにも少し慣れてきた


そしてある程度ドリンクが収まったときお皿が溜まっているのが見えた
「まずは洗い物とドリンクができればいいからね」という店長の言葉を思い出して私は溜まっていたお皿を洗い始めた
厨房にはその時私ともう一人のバイトの人と店長がいたと思う
今日はバイト初めて一番忙しい日なのかもしれない、でも週末なんてこんなものなのかなぁ、いやまじで忙しいな、っていうかドリンクの作業止めといて催促されたよはおかしくない?おかしいよな、客うぜえな、これが飲食店アルバイトのいう「お客様は神様(笑)」ってやつか、まじで客って自分以外に客いないと思ってる?など主に客への不満を心のうちに漏らしながら皿を洗っていたら店長が「これ、」とだけいってどこの部位かわからない焼き鳥の皿を私ともう一人のバイトの人の間の空間に置いた

何これ

まず頭に浮かんだのは「何これ」だった
そりゃ当然だろう、店の料理を見るのは食べにきた時を含めてもまだ6回目
当たり前のように言われても見ただけではその焼き鳥がなんなのかさっぱりわからない
また「これ、」とだけ言われてもどこのテーブルに持っていくのかもわからない
わからないことだらけだった
あれ?この店長さんもっと陽気なおじさんじゃなかったっけ、なんて考えていた

もう一人のバイトも動かないということはこれは私にいったのか?と思ったところできっと時間切れだったのだろう、店長は声を荒げた

「返事は?!」
「あっはい」

会話の前に「あっ」とか「えっ」とか付けるのはコミュ障なので仕方がないと思う
でもいきなり怒鳴られたことでめちゃくちゃびびってしまった
とりあえず私に言っていたということはかろうじてわかったので泡だらけの手を洗ってタオルで拭きながらこれは何でどこのテーブルか、という指示を待っていた
しかし店長の口から出るのは怒りの言葉だった
きっと一回怒鳴っただけでは自分の中の怒りの感情を抑えることができなかったのだろう

「あのさぁ、言われたことは一回でちゃんとやろうよ。返事だけはちゃんとしてって俺最初に言ったよね?」

そうは言われても当時は自分に言われたのかもわからなかったしそれ以上に情報が少なすぎてどうしたらいいのかわからなかったのだ

「はい、すいません、すいません」

ただただ謝ることしかできなくなった私は店長の怒りムーブをマジで泣きそうな顔で、むしろもう半泣きだったと思う、謝るしかできなかった
すると店長も自分の中の怒りの感情を抑えられるようになったのだろう、もういいよと言ってまた焼き鳥を焼き始めた
私は怒られたことで半泣きフェイスにはなっていたが心の中ではジジイの怒りマジでわかんねぇ〜!!!と叫んでいた
でもそうしていても埒が明かない、今言われたこれを運ばなければいけない、が、

これはなんですか!!そしてどこに運べばいいんですか!!!

ジジイは怒ることに夢中でそれを教えてくれなかったので今までフルスロットルで怒っていたジジイに話しかけて聞かなければならない
でも聞かない限りこのどこの部位かわからない焼き鳥はどのテーブルに運ばれることもなく冷めていってしまう、それはいけない、そう思い意を決して聞いた

「三番、セセリ」

いや知らんわバーカの言葉を飲み込んで、出てきそうになる涙も飲み込んで三番テーブルにセセリを運びながら
「やめよう、もう呼ばれてもぜって〜〜〜行ってやらねえ」
そう思った。


でも結局辞めたの1月いっぱいじゃん、そう思いましたよね!!


その通り、やめようとは思ったが結局もう少し頑張ることにした
それにはいくつか理由があるが大きく分けて二つ、初バイトということとその後の出来事である

まず初バイトだから、という理由についてだが人生で初めてのアルバイトということでこういうものなのかな、と思ってしまったのである
もちろん半年働いた今思い返すとあの場でその焼き鳥を運ぶのは明らかに私の仕事だし考える前にまず返事をするべきだったとは思う
だがあの場で怒鳴られることは決して普通ではないと私は今でも思うしもう一人のバイトが今何してるのかなんて4回目の出勤の私には絶対にわからなかった
しかし人生初のバイトということもあり、こういうものなのかなで済ませてしまった

次にその後の出来事についてだがその怒鳴られた日、お客さんがある程度帰って店全体が落ち着き店内には常連客と一つのグループしかいなくなったころに店長に私は別のフロアで話そうと言われた
私はもう怒鳴られた後涙目でレモンサワーを注ぎながら「もう辞めてやろう」と思っていたのできっとここでこのまま返されていたら辞めていたと思う
初バイト、こういうものなのか、じゃあ個人経営店合わないな、辞めてやろうで辞めていただろう
だがあの客の前で怒鳴ってきた店長と二人で面談をすることになってしまった
私の心の中はやっぱりあの時怒鳴るだけじゃ怒りの気持ち抑えられなかったか〜という気持ちと今からまた怒られるんか、きっつ、辞めるからいいけどという気持ちと私ってやっぱり何もできないゴミ人間だなという気持ちでごちゃごちゃだった

「・・・どう?忙しかった?」

意外にも優しい口調で語るぜっていう雰囲気を出すジジイに私はさらに感情がごっちゃごちゃになってしまった
え?語るの?こんな汚ねえ居酒屋で語るの?経営理念語るの?夢語るの?え?語るの?語りのジジイ?語りのジジイって何?セセリって何?
もうごちゃごちゃだった

「いや、忙しいとさ、俺もいっぱいいっぱいになって口調荒くなっちゃうんだよね、ごめんね」

いやお前20年以上店やってるって言ってただろいい加減慣れろよ私4回目だぞ私の方がいっぱいいっぱいだろなんだこのジジイ

「でもさ、俺の店で働いてもらうからには一人前になって欲しいんだよね。せっかく一緒に働く仲間になったわけだからさ、最終的には家族みたいな関係になりたいわけよ。今までバイトしてくれた子の中には久しぶりに店来たと思ったらそのまま泊まってく、なんてのもあるわけだし。そこまでは行かなくていいけど、仲間だからさ、これからできること増やして、バイトの仲間と支え合って、バイトの時間が楽しいって思えるようになって欲しいんだよね」

気づくと私の目からは涙が溢れていた

ジジイの語りに感動したからではなく昔から怒鳴られると問答無用で泣いてしまうタイプの人間だったため怒鳴られた時のことを思い出して「このジジイ理不尽だったなぁ、4回目にしては仕事頑張った方でしょマジで」という気持ちと悔しさからくる涙だった

しかしジジイは私が語りに感動して泣いてると思ったのだろう、どんどん仲間がどうの、家族がどうの、麦わらの一味か?ジジイお前ルフィか?モンキー・D・ルフィか?海賊王か?と突っ込みたくなるような「バイト先、全員仲間!(ドン!!)論」を語っていた。気持ちよさそうだったな

「別にここで折れて辞めちゃってもいいけど、せっかく仲間になったんだから」
とも言われ辞めそうなことがバレていたのでやめることができなかった

まあ簡単にいうとやめるタイミングを潰されたのである
確かに4回目のバイトの日辞職を決意しながらレモンサワーを入れたがジジイの言う通りここで逃げるのも癪だし一人前にはならないなぁ、とも思ったためその日以降もアルバイトを続けた


しかしそんなことがあっても辞めなかったバイトなのになぜ1月いっぱいで辞めたのか、これもジジイに全て原因がある


まず先程のエピソードでは出てこなかったもう一人のバイトの人について説明する
もう一人のバイトは私より一つ下の子で学部は違うが通っている大学が同じでよく食堂でも顔を合わせていた
そしてこの人はきっと高校の頃1軍にいたのだろう、友達の誕生日全力で祝う系女子だったのである
きっとお菓子でリュックサック作って黒板をカラフルに彩りながら主役が登校してくるのを待ち、登校した瞬間バースデーソングを歌いインスタグラムでストーリーを取りながら詰め寄りプレゼントを渡していたあのグループに属していたんだと思う

ちなみに私はそれを笑顔で見て「すげー」と口ではいうが心の中で「うるせえな、女」と毒づくタイプだった

そんな彼女はバイト先の人の誕生日も全力で祝う系ガールだったらしく、私よりも誕生日が早い同い年の人の9月ごろの誕生日も店で働いている人、ジジイの言葉を借りるとしたら仲間に協力してもらい寄せ書きのようなものを作ってプレゼントと共に渡していた。

そして12月4日、私の誕生日がすぎしばらく経った後のバイト終わりに彼女はちゃんと私の誕生日も全力で祝ってくれた
今まで心の中で「うるせえな、女」と思い馬鹿にしていた文化だったため簡易ではあっても嬉しい気持ちでいっぱいだった
年末年始めちゃくちゃ忙しいらしいけど(ジジイはともかく)バイトの人と奥さんと頑張って乗り切ろう!そう思えた

しかし私のそんな思いは家に帰って寄せ書きをしっかり見た瞬間に消え失せることになる。



「20歳おめでとう!早く戦力になってね」


「戦力になってね」

この言葉から分かる通り私はジジイに5ヶ月間必死で働いたのに、学校の課題のクオリティを下げてでも土日を潰して出勤したのに、久しぶりに友達と遊べそうだった3連休を潰してまでバイトを優先したのに、戦力だと思われていなかった

ここで心は折れてしまった

私が今まで頑張って覚えたことや自分の時間を削ってでも働いたことや蔑ろにした課題や講義など様々なことが無駄だったんだなと感じた

マジで折れた

折れるでしょこれは


その瞬間もう何がなんでも絶対に辞めることを決意した。

戦力じゃないなら別に辞めても問題ないでしょ、こんなストレス抱えてまで必死こいて働く必要なくな〜〜い??ないよね〜〜だって戦力じゃないも〜〜〜ん
という気持ちでその寄せ書きをもらった次の出勤日に
「すいません、1月いっぱいで辞めます」
と伝えた。理由は春休みの課題と3年から多忙になる、ということにした
春休みの課題は何一つないし3年から多忙になるとは言ってもきっと全くバイトができなくなるほどではないと思うがそういうことにしてやめた
1月いっぱいにしたのは私の優しさである
さすがに誕生日を祝ってくれた子や同い年で段々と仲良くなってきた子や奥さんに迷惑かけるわけにはいかなかったため優しさを見せた

それからジジイのあたりは少しキツくなったと思うし辞める宣言をしてからジジイに話しかけられたことはなかった
でも思い返してみると他のバイトの子が大きなミスをしても怒らなかったのに私に対してはめちゃくちゃ怒ってたり、他のバイトの子に対しては陽気なジジイムーブするのに私には一切そういうのなかったりしたので元々嫌われてたんだと思う


このような経緯で辞めた居酒屋のアルバイトだが辞めた当初は自由に対する喜びでいっぱいだった
これからこの春休み何をしてもいいし何もしなくてもいいし実家にも帰れる、最高すぎない??やば!!!と思ってたが好きなことだけをして毎日を過ごしているとふと自分の将来がとても不安になってしまった

こんな小さいことで心折れてアルバイトすら辞めた自分が将来就職なんてできるのか、自分には何があるのか、何もないな、マジで?やば、就活のアピールって何?無理じゃん、むしろ就職できたとしてもまた1年経たずに辞めちゃうんじゃないか、また小さいことで心折れて全部投げ捨てて逃げちゃうんじゃないか


バイトをやめることである程度のストレスからは解放されたけどその分将来に対する不安で毎日死にそうになっている

私はバイトを続けていた方が幸せだったのか、いやそれは絶対幸せだったとは言えない、幸せって何?楽しいは幸せ?まじもう無理やむ〜〜〜!!!!!


誰か大学生を救ってくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



っていうクソ長お気持ちnoteでした

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